特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が災害救助犬育成や殺処分ゼロに向けて取り組む「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトでは、今年4月から、広島県内の動物愛護センターで殺処分対象となった犬を全頭引き取ることにしました。3月30日には、広島県庁県政記者クラブで記者会見を開き、これまでの活動および今後の展望を説明し、決意表明を行いました。
ピースワンコ・ジャパンでは、犬猫殺処分数全国ワースト(2011年度)を記録した広島県で犬の殺処分をゼロにするため、2013年9月の動物愛護週間から「広島県の犬の殺処分ゼロを目指す1000日計画」に取り組んできました。
広島県の犬の殺処分数は、2011年度が2,342頭、2012年度が2,229頭、2013年度が1,682頭、2014年度が1,292頭(速報値)と徐々に減っており、2015年度は、4~12月までが566頭(同)でした。PWJは現在、600頭を収容可能にするために犬舎の増築を進めており、犬の引取り体制整備の見通しがついたことなどから、6月15日の期限を前倒して4月から全頭引取りを開始し、2016年度の広島県内の犬の殺処分ゼロを実現します。
現在も、動物保護団体や個人ボランティアの努力により、広島市の動物愛護センターでは殺処分がほぼ止まっており、私たちが犬を引き取る場所は主に広島県動物愛護センター(三原市)になると思われます。今後も他団体との連携を広め、飼い主らへの啓発活動を行いながら、最終的に殺処分される寸前となってしまった命を救うセーフティネットの役割を務めます。そして、まずは犬猫殺処分数全国ワーストを記録した広島県で犬の殺処分ゼロを実現し、このモデルを全国に広げて行きたいと考えています。
広島県庁県政記者クラブで開いた会見には、PWJ代表理事・大西健丞、国内事業部長・國田博史、「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトリーダー・大西純子、神石高原町環境衛生課の横山邦正課長、殺処分寸前で救われた災害救助犬・夢之丞(ゆめのすけ)らが出席。大西(健)は「犬舎の建設、ふるさと納税による資金調達などから、1000日計画の期限を2か月前倒しし、広島県で殺処分対象となった犬を全頭引き取れる状態になったと判断をした。これで終わりではなく、ゼロを維持する挑戦が始まったと認識している」と決意を表明しました。
その後、國田がPWJのこれまでの取り組み、広島県の犬の殺処分数の推移、新犬舎の建設状況などを説明。最後に大西(純)が「夢之丞を動物愛護センターから引き取ったことで日本の殺処分の現状を知り、変えたいと思った。ドイツのティアハイムの存在を知り、その仕組みを日本に持ち込めば日本の現状を変えられるのではないかと思い、活動をしてきた」と振り返り、「(犬猫の)殺処分数が全国ワーストだった広島でゼロが実現できれば、『やればできる』ということに誰もが気づき、全国に広がると考えている。これからの活動は私たちだけで成し遂げられるものではなく、多くの人たちの努力によって成り立つものだと思う。譲渡に関しては、譲渡率90%をめざし、ペットを迎える際の選択肢として保護犬や保護猫がいることを伝えていきたい」と話しました。
ピースワンコ・ジャパンは今後も、保護施設の拡充とともに、譲渡のペースを上げるための新たな譲渡センターの設置や、保護犬・猫をペットとして迎えてもらうための啓発活動に力を注ぎます。引き続き、温かいご支援、ご協力をよろしくお願い致します。