このたび、当団体が保護し飼育している犬のなかに、狂犬病の予防注射ができていない犬がいるのではないか、として、先日、広島県警の捜査を受けました。今年度につきましては、法令に適合した形で遅滞なく接種を進めておりますが、過年度において、一部の保護犬の狂犬病予防注射が一時的に追いつかない状況が生じていたため、支援者の皆様、お世話になっている地域の皆様をはじめ、多くの方々にご心配をおかけしました。心からお詫びするとともに、今回の問題の経緯を以下にご説明します。
私たちは、広島県内の自治体との協議に基づく密な連携の下で、捨て犬や野犬の殺処分を防ぐために犬たちを引き取り、新たな飼い主への譲渡を目指して飼育しています。2016年4月以降は、県内で殺処分対象になったすべての犬を受け入れ、「殺処分ゼロ」を維持しています。
保護した犬に適切な飼育環境と医療や健康面のケアを提供するため、本拠地である神石高原町などのご協力で7万平方メートル以上の用地を確保し、日本最大級のシェルターを整備してきました(施設紹介動画→https://www.youtube.com/watch?v=WT4pvHHiqYE)。飼育スタッフや獣医師を含む人員体制の強化や、譲渡センターの増設などにも取り組んできました。しかし、県動物愛護センターなどから引き取る犬の数はいっこうに減らず、活動は苦闘の連続です。全頭引き取り前の2015年度、県内の犬の殺処分数は792頭まで減っていましたが、私たちが16年度に保護した犬の総数は約1400頭、17年度はさらに増えて約1800頭でした。
そうしたなか、過年度において、月に100-150頭という、想定を超える引き取りへの対応に追われ、一部の犬の狂犬病予防注射が一時的に追いつかない状況が発生しました。遅れを取り戻すため、私たちは外部の獣医師にも協力を要請するなどして接種を進め、現時点では、生後まもない子犬や重篤な病気など接種不適格の犬を除き、飼育するすべての保護犬について、法令通りに2018年度分の予防注射を済ませています。
遅れが生じた背景には、想定を超える引き取りに対応したことのほか、一時期、県動物愛護センターから引き取った犬から犬パルボウイルス等の致死率の高い感染症(人体へは感染しない犬独自の感染症です)が発生し、その治療や予防対策に忙殺されてしまったという事情もあります。多数の保護犬の命と健康を守るうえで、シェルター内での蔓延を防ぐための対策の優先度が高いと判断したためです。一方で、私たちは、遅れの解消に最大限努力するとともに、広島県に対しても接種が追いつかない状況を隠すことなく説明し、具体的な対応を協議してきました。
可能な限り法令を順守して接種を進めようと努めながら、一時的とはいえ保護犬の一部について狂犬病予防注射が遅れていたことは、私たちの力不足です。その点は真摯に反省し、今後そうしたことがないよう、接種作業やデータ管理のシステム化をさらに進め、適時・適切な接種の徹底に努めていきたいと考えています。また、「殺処分ゼロ」を維持するためには、啓発などを含めた自治体の包括的な協力が不可欠であり、広島県などの関係自治体と緊密に連携しながら活動を続けていく所存です。
本件に関し、支援者の皆様、関係する皆様にご心配をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。今後とも当局の事実確認には全面的に協力し、適切に情報を開示する考えです。引き続きご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン