保護犬を引き取りたい時、まず気になるのは条件ではないでしょうか。
どの施設でも、保護犬の引き取り条件は、やや厳しく設定されています。
今回は保護犬引き取りの流れを説明するとともに、引き取り条件について詳しく解説します。
保護犬を引き取りたいと検討している方は是非参考にしてみてください。
最後に引き取り以外で保護犬を救う方法も紹介します。
保護犬はどこから来る?動物愛護センターなどでの流れを説明
保護犬とは、動物愛護センターや保健所などで引き取られ飼養されている犬のことです。
捨てられた犬や野良犬、ペットショップで売れなかった犬など、飼い主のいない犬が保護犬となります。
施設によりますが、保護犬を飼養し続けるには経費がかかるため、保護されてから一定の期間を過ぎた保護犬は殺処分されるのが一般的です。
殺処分はガス室で行われます。
薬剤を使用した安楽死のほうが犬にとって苦しみや恐怖の少ない方法と言えますが、経費や獣医師の人手不足などの問題からなかなか普及していません。
各保護施設やピースワンコ・ジャパンを運営するピースウィンズ・ジャパンはじめとするNPO法人は、殺処分される犬に新たな飼い主を見つける活動を行っています。
都心の場合は保護犬の多くが人間に飼われた後に捨てられた犬です。
しかし、ピースワンコ・ジャパンがある広島県では保護犬の9割がこれまで誰にも飼われたことのない野良犬。
飼い犬としての経験がない犬は扱いが難しいのではないか?と思う人もいるかもしれませんが、犬は元々人懐っこい性格のため、家族として大切に愛情をかければ十分に懐いてくれます。
人間の家族として迎えられるべき犬が日々たくさん保護犬として施設に収容され、殺処分を待っているのが現状です。
保護犬へ新たな家族を。保護犬の引き取りの流れ
殺処分される犬を救うために、保護犬を家族として迎え入れたいと思う人は多いでしょう。
保護犬を飼うためには、手続きや段階を踏んで引き取りが完了するまで、2週間以上の時間を要することもあります。
こちらでは、保護犬の引き取り方の流れを紹介します。
保護犬引き取りが可能な施設を探して申し込み方法をチェック
保護犬の引き取りができる場所は複数あります。
動物愛護センターや保健所、もしくはピースワンコ・ジャパンの様に殺処分予定の犬を預かって飼養する団体などです。
中には里親募集中の犬をホームページで紹介している施設があるほか、定期的に譲渡会を開催している施設もあります。
現在は主にインターネットで情報を公開している施設がほとんどです。
検索し、足を運べそうな譲渡会会場や日時を探してみましょう。
引き取り手の居住地が施設と同じ地域にあることを条件の場合もあるため、なるべく自宅に近い施設を探すのがおすすめです。
譲渡会や説明会への参加、保護犬と面談をする
施設が決まれば、実際に譲渡会や面会に足を運びます。
施設によってはあらかじめホームページの申し込みフォームや電話で参加希望を伝える必要があるので、事前に手続きしておきましょう。
一番初めに犬の飼い方に関する講習の受講を求められる施設もあります。
譲渡会や面会では実際に保護犬と対面し、犬の性格や特徴、飼い方などの疑問点を質問できます。
参加したからといってその日に迎え入れる犬を探す必要はありません。
家族として迎え入れたい、と思う保護犬が見つかるまで何度か足を運んでも良いです。
こういった段階を踏んだ後、保護犬を迎え入れられる環境が整っているか、犬を飼う心得があるか、といった引き取り条件の審査があります。
引き取り条件は厳しく設定されているため、条件をしっかりチェックしておくことをおすすめします。
スタッフが実際に家まで足を運んで調査を行う施設も多く、保護犬といっても決して簡単に引き取れるわけではありません。
条件を満たせば引き取り完了
ほとんどの施設は、引き取り予定の保護犬を1~2週間ほどお試しで飼ってみるトライアル期間を設けています。
これから先もずっと飼い続けられるかを見極めるために、トライアルはできるだけ受けておく方が良いでしょう。
そうして各種の条件やお試し期間をクリアし、保護犬との相性に問題がないとされれば、晴れて引き取りが完了します。
引き取りには、施設に何万円かの手数料を支払う必要があることも忘れてはいけません。
料金は施設によって異なります。
施設が予防注射やマイクロチップの埋め込みなどをした際の費用や、譲渡にかかった手数料として支払います。
保護犬の引き取りが、無料で犬を手に入れるための手段ではないことを認識しておきましょう。
保護犬引き取りの条件とは?
こちらでは、保護犬引き取りの条件について解説していきます。
引き取り手の年齢や家庭環境だけではなく、心構えも非常に重要です。
条件は施設によっても変化するため、必ず各施設の概要をチェックしてください。
引き取り希望者に必要な条件
まずは、引き取り希望者に必要な条件を紹介します。
- 年齢
- 家族構成
- 金銭面
- ライフスタイル
条件を大人(18~20歳)になってから60歳までとしている施設がほとんど。
(施設や保護犬によっては61歳以上でも引き取り可能になる場合があります。)
これは、飼い主の病気や死亡などで再び犬が保護犬となってしまう可能性を防ぐためです。
一人暮らしの場合、引き取りを断られる施設もあります。
飼い主が突然飼えなくなった際、代わりに面倒を見る人が必要だからです。
一人暮らしの場合でも、代わりに世話のできる保証人をたてれば引き取り可能になる場合もあります。
また、家族の中に犬が嫌いな人や飼うことに反対の人がいたり、動物アレルギーを持つ人がいたりする場合も不可とされます。
餌代をはじめ、犬を飼い続けるためにはさまざまな費用が必要となります。
突然の病気や怪我で多額の医療費がかかることも。
そのため、安定した収入があるなど金銭的にある程度余裕があることも大切です。
家を長く開けることがあったり、散歩に連れていけなかったりなど、犬を飼う際に必要な条件を満たさないライフスタイルの人は引き取りを断られる可能性があります。
引き取り先の環境に必要な条件
次に、引き取り先の環境において必要な条件を紹介します。
引き取り希望者が条件に一致していても、実際に犬を飼う環境が整っていなければ譲渡不可となります。
- 広さ
- ペット可の物件
- 犬が逃げ出さない環境
- 指定のケージなどをの用意
- 先住犬の有無や状態
保護犬を引き取る場合、室内飼いであることを条件としている施設がたくさんあります。
そのため、家に十分な広さを求められる場合がほとんどです。
部屋数を条件に入れている施設も多く、ワンルームに住んでいる場合は断られることもあります。
集合住宅の場合はペット可の物件かどうかも重要です。
ペット可かどうかを証明するため、不動産業者もしくは大家さんによるペット許可証の提示を求められます。
犬が逃げ出してしまう可能性のある環境の場合、引き取りを断られます。
玄関で飼う予定だったり、十分な防護柵が用意できていなかったりする場合は引き取り不可とされるかもしれません。
施設によってはサイズが指定されたケージを用意する必要があります。
施設のスタッフが訪問する際に指定品の有無を確認されるので、条件に合ったものを用意しましょう。
保護犬を迎え入れる家で既に犬を飼っている場合、先住犬の頭数が多かったり、去勢済みでなかったりする場合は断られるケースもあります。
引き取り後の心構えや必要事項などに関する条件
これまで紹介した条件以外に、引き取り後の飼い主の心構えは大変重要です。
どの動物で言えることですが、単に自分が寂しいから、SNSで注目を集めたいから、などの理由で気軽に保護犬を引き取ろうとしてはいけません。
自分が思い通りにならないこともお金がかかることも考慮し、大切な家族を迎え入れる気持ちが大切です。
そういった心構えについては施設の面談や家庭訪問などで十分に審査されます。
また、すでに施設で行われている場合もありますが、保護犬の引き取り後に予防注射やマイクロチップの埋め込みをすることが絶対条件の施設がほとんどです。
とりわけ狂犬病の予防注射においては、厚生労働省の狂犬病予防法において生後3ヶ月以上の犬に年1度の接種が義務付けられています。
引き取りの際に必要なもの
最後に、保護犬を引き取る際に必要なものを紹介します。
用意するタイミングは面談や引き取り時など施設によって異なりますが、主に下記のものが必要です。
- 身分証明書
- サインや押印をした誓約書
- ペット可物件である証拠(集合住宅や賃貸住宅の場合)
- 保証人のサインや押印のある書類(保証人を要する場合)
身分証明書や誓約書はほとんどの施設で必須ですが、その他の必要書類は状況によって変わります。
せっかく引き取り条件に当てはまっても、必要書類が不十分だと責任能力を疑問視される恐れもあるので、十分確認して忘れないようにしましょう。
保護犬の引き取り条件が厳しい理由
これまで紹介した保護犬の引き取り条件を見て、想像以上に厳しいと感じた人もいるのではないでしょうか。
保護犬の中には捨てられた犬や虐待された過去を持つ犬、人間に飼われたことのない犬がいます。
ファッション感覚や思い付きで飼われ、手に負えなくなったからと捨てられた犬、生まれた時から安心して生活できたこのとない犬。
そういった傷ついている犬に幸せな家庭を与え、二度と傷つかないようにするのが保護犬を引き取る目的です。
引き取り先で犬が不幸になってしまっては意味がありません。
引き取る側は、犬にとって十分快適な環境を整える必要があります。
環境を用意するだけでなく家族として迎え入れ、自分の理想とはかけ離れたことがあっても大切に飼い続けられる気持ちを持つことも大切です。
そういった理由から、保護犬の引き取りには厳しい条件が設けられています。
条件の厳しさを見れば、動物を飼うということは命を預かることだと改めて気づかされるでしょう。
保護犬の引き取り条件に当てはまらない人ができること
保護犬の引き取り条件に当てはまらなくても、殺処分される犬を救うためにできることがあります。
こちらでは、引き取り以外で保護犬を助ける手段を紹介します。
保護犬を預かる施設への寄付
犬を保護する施設へ寄付をする方法があります。
保護犬を預かり、新しい飼い主を探す活動にはさまざまな費用がかかるため、寄付を募っている団体が多いです。
ピースワンコ・ジャパンの場合、動物愛護センターから保護犬を預かった後、専用のシェルターで予防接種やマイクロチップの埋め込み、健康管理などが行われます。
その処置だけでも1頭につき5万円ほどがかかると言われています。
引き取ってから新しい飼い主が見つかるまでにも餌代や医療費、人件費などの費用が常にかかるため、寄付をすることが間接的に保護犬を救うことにつながるでしょう。
ピースワンコ・ジャパンではクレジットカードを使用した単発の寄付が可能。月額1,000円からのサポーター制度やふるさと納税を用いた寄付も用意されています。
自分に合った方法を選んで寄付できることが魅力です。
ボランティアとして保護犬の世話を手伝う
保護犬を預かる施設でボランティアをするのもおすすめです。
保護犬を救うためにボランティアとして参加し、労働力を提供しますボランティア活動の内容は主に、保護犬の散歩や掃除、ドッグランの草刈りやペンキ塗りなど。
犬を飼うことと同じく、軽い気持ちで参加してはいけませんが、犬が好きな人にいち押しです。
ボランティア募集はピースワンコを・ジャパンをはじめ各施設で定期的に行われているため、ホームページや新聞などで募集記事を探してみましょう。
保護犬を救うために私たちができること
保護犬の引き取り条件が厳しいのは、不幸な犬を1頭でも減らすためです。
殺処分を免れても、保護犬が引き取り先で不幸になっては意味がありません。
保護犬を引き取る際は中途半端な気持ちで申請するのではなく、大切な家族を迎え入れる心と飼い続ける責任感が大切です。
ピースワンコ・ジャパンは殺処分される犬を救う活動を行っています。
寄付も募っているので、引き取りは難しいけれど1頭でも保護犬を救いたい、と考える方は是非寄付にご協力ください。