2022年2月7日

保健所から犬を引き取りする場合に必要なこととは? 条件や方法を紹介

テレビ番組でも頻繁に取り上げられていることから「保護犬」への理解が一般にも広がってきています。

ペットショップでワンコを購入する以外の選択肢として、保護犬を保健所(動物愛護センター)や保護団体から引き取りする「譲渡」にも興味をお持ちの方が増えています。

この記事では譲渡の具体的な方法や、自治体別の情報や譲渡方法について紹介します。

家族との出会いを待っているワンコがいます

保健所で保護犬を引き取りするときの基本

保健所(動物愛護センター)で、ワンコを引き取りする(譲渡を受ける)場合に必要なことにはどのようなものがあるでしょうか。
譲渡に必要な条件や、心構えなどを確認しましょう。

保健所で行っている犬の譲渡について

動物愛護センターとは、各都道府県の保健所が管理する動物保護施設。
ワンコを収容するための設備があり、保護されて持ち込まれたワンコを一定期間保護するための施設です。

動物愛護センターで保護しているワンコ、いわゆる保護犬は何らかの理由で飼い主が飼うことをできなくなった犬であることから、多くは成犬です。

成犬はペットショップで購入する子犬とは違い、飼い主となる人のライフスタイルにあった性格のワンコを探しやすいことが特長です。
成長しているため体が丈夫でケガや病気の心配が少ないなど、基本的な世話の負担が軽いことも特長に挙げられます。

保護犬は動物愛護相談センター以外には、ボランティア保護団体から譲渡を受けることも可能です。

譲渡ってなに?|東京都動物愛護相談センター

動物を飼うということ

ワンコを飼うということはそのワンコを最期まで飼うことができるかどうか、ということがもっとも重要になります。
逆をいえば、もし最期までの自信がなければ「今は飼わない」という判断をすることも大事。

ワンコと一緒に過ごすためには以下のようなことを考えなければなりません。

  • ワンコを最期まで飼うことができるか:
  • ワンコは15年以上生きます。

  • 飼い主の健康と体力が必要:
  • 毎日欠かさず散歩に連れて行かなくてはなりません。

  • ワンコを飼うにはお金がかかる:
  • ワンコの生涯必要経費には、医療費を含めて平均160万円かかるといわれています。

  • 飼い主の責務は法律や条例で定められている:
  • 動物の健康や安全を保持し、他人への迷惑を防いだり、逃げ出したりしないような対策を取ったりする必要があります。

犬や猫を飼う前に考えてほしいこと|東京都動物愛護相談センター

譲渡ってなに?|東京都動物愛護相談センター

家族との出会いを待っているワンコがいます

保健所で保護犬の引き取りするときの条件

ワンコを引き取るためには、ある意味厳しい譲渡の条件や確認が課せられます。
その根底には「ワンコに二度とつらい経験をさせたくない」という思いです。

それはワンコと幸せに暮らすためのエチケットともいえるでしょう。
どのようなエチケットがあるのか確認しましょう。

譲渡条件とは?

ワンコを引き取る時には譲渡するための条件があります。その確認内容は以下のようものが一般的です。

  • 1:飼い主の家族構成:
  • 子供の有無・年齢、シニア、学生、同居、独身など

  • 2:ライフスタイル:
  • 職業や収入、住所、転居があるかないか、旅行時の対策、緊急時のための後見人など

  • 3:飼い主の情報:
  • 身分証明書、名刺、写真撮影、譲渡後の定期報告義務など

  • 4:飼育方法:
  • 屋内なのか屋外なのか、散歩の回数やワンコが留守番する時間など

  • 5:飼育環境:
  • 段差があるかないか、脱走防止柵の設置など

  • 6:不妊去勢手術の義務を履行できるか
  • 7:マイクロチップ装着の義務、終生飼養

保護犬や保護猫、引き取りたいけど難しいかも? 譲渡の条件とは|[ シッポ ] 犬や猫ともっと幸せに

保健所から直接引き取りする場合

保健所が管轄する動物愛護相談センターから直接引き取る場合の一般的な手順は以下になります。

  • 1:受付
  • 2:講習の受講
  • 3:マッチング
  • 4:譲渡決定

家庭訪問や飼育環境の確認などが行われ、正式な譲渡が決まります。

犬や猫を保健所や団体から引き取りたい!迎え入れる流れや里親になる条件は?|いぬらぶ・ねこらぶbyわおん

登録団体から引き取りする場合

ボランティアの登録団体から直接引き取る場合、一般的には以下のような手順になります。

  • 1:Webサイトなどで里親募集案内を確認
  • 2:お気に入りの子を見つける
  • 3:応募
  • 4:トライアル
  • 5:譲渡決定

犬や猫を保健所や団体から引き取りたい!迎え入れる流れや里親になる条件は?|いぬらぶ・ねこらぶbyわおん

家族との出会いを待っているワンコがいます

保健所で保護犬を引き取り方法:自治体別

動物愛護センターで保護犬を譲渡する場合の方法について、東京都、大阪府、埼玉県、神奈川県について紹介します。

保健所の保護犬引き取り:東京都

東京都動物愛護相談センターは、「ワンニャンとうきょう」という名称でサイトを運営しています。
世田谷区に所在し、多摩市に支所があります。
東京都動物愛護相談センターが主催する譲渡会情報だけでなく、ボランティア団体の譲渡情報も提供されます。

  • 受け付け機関名:東京都動物愛護相談センター
  • 機関公式HP:https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/
  • 住所:東京都世田谷区八幡山二丁目9番11号
  • 電話番号:03-3302-3507
  • FAX:03-3302-3507
  • 開庁時間:(電話)平日午前8時半から午後5時45分、(窓口)平日午前9時から午後5時
  • 譲渡の流れ
  •  ーステップ1:飼い主になるための条件確認。
     ーステップ2:飼う前の心構えと準備の説明(譲渡事前講習会)
     ーステップ3:犬・猫とのお見合い/適正な飼い方の説明(譲渡講習会)
     ーステップ4:書面等による手続き

  • 譲渡の条件
  •  ー都内にお住まいで20歳以上60歳以下の方
     ー現在、犬や猫を飼育していない方
     ー家族に動物に対するアレルギーを持っている方がいない方
     ー飼うことを家族全員が賛成している方
     ー最期まで責任を持って飼い続けることができる方
     ー経済的、時間的に余裕がある方
     ー動物に不妊去勢手術による繁殖制限措置を確実に実施できる方
     ー集合住宅・賃貸住宅の場合は、規約等で動物の飼育が許されている方
     ー東京都動物愛護相談センター主催の譲渡事前講習会を受講している方

保健所の保護犬引き取り:大阪府

「アニマル ハーモニー大阪」として親しまれる大阪府動物愛護管理センターは、ワンコが単なるペットではなくコンパニオンアニマル(伴侶動物)として存在になるような啓蒙活動も積極的に行っています。

  • 受け付け機関名:大阪府動物愛護管理センター(アニマル ハーモニー大阪)
  • 機関公式HP:https://www.pref.osaka.lg.jp/doaicenter/doaicenter/
  • アニマルハーモニー大阪:https://animal-osaka.com/
  • 住所:大阪府羽曳野市尺度53番地の4
  • 電話番号:072-958-8212
  • FAX:072-956-1811
  • 開庁時間:電話10時~16時(月曜〜金曜日) 窓口9時〜17時45分(平日)、9時〜17時30分(土日祝日)
  • 譲渡の流れ
  •  ーステップ1:譲渡についての必要書類を動物愛護管理センターに提出。
     ーステップ2:譲渡前調査の日程調整。
     ーステップ3:自宅訪問(飼育する場所の確認)
     ーステップ4:譲渡前講習会を受講
     ーステップ5:動物とマッチング
     ーステップ6:譲渡完了

  • 譲渡の条件
  •  ー1.大阪府内在住である。
     ー2.譲り受けた動物の飼育継続が困難になった場合は、責任をもって動物の世話を引き受ける人がいる。
     ー3.営利又はこれに類する目的ではない。
     ー4.大阪府又は大阪市が実施する譲渡講習等を受講できる。
     ー5.終生飼養できる。
     ー6.動物を適正に飼うための知識を持ち、動物の飼養に関する法令等を遵守できる。
     ー7.動物を適正に飼養するための必要な費用を負担できる。
     ー8.不妊・去勢手術を受けさせることができる。
     ー9.飼養にあたり家族全員の同意がある。動物アレルギー等健康を損なう恐れのある同居者はいない。
     ー10.動物が飼えない場所への転居の予定はない。
     ー11.日常的に家人が不在にならない。
     ー12.飼養する場所は近所に迷惑をかけない場所。
     ー13.集合住宅や借家でも動物の飼養が承認されている。
     ー14.譲渡申込み及び誓約書の内容を理解し遵守できる。

保健所の保護犬引き取り:埼玉県

「埼玉県動物指導センター」は、「いじめないで(虐待防止)・長いおつきあいで(終生飼養)・増やさないで(繁殖制限)」を原則として動物と共存できる環境構築のための活動を行っています。

  • 受け付け機関名:埼玉県動物指導センター
  • 機関公式HP:https://www.pref.saitama.lg.jp/b0716/doubutu-jouto-1.html
  • 住所:埼玉県熊谷市板井123/埼玉県さいたま市桜区在家473 (南支所)
  • 電話番号:048-536-2465/048-855-0484(南支所)
  • 開庁時間:8時30分~17時15分(土日及び祝祭日、年末年始の休業日を除く。)
  • 譲渡の流れ
  •  ーステップ1:電話又は来所により譲渡希望の申込み→飼育環境等について口頭確認。
     ーステップ2:来所にて成犬を確認。
     ーステップ3:来所にてマッチング(犬との相性確認のため、複数回来所)
     ーステップ4:譲渡講習会
     ーステップ5:犬の譲渡

    ➤ 参考:https://www.pref.saitama.lg.jp/b0716/doubutu-kaikata-seikennojyouto-1.html

  • 譲渡の条件
  •  ー1.譲渡する動物が一生を終えるまで、愛情と責任を持って飼うことができること。
     ー2.食事・散歩・そうじなどの世話が毎日できること。
     ー3.新しい動物を飼うことに家族全員が賛成していること。
     ー4.家族に動物アレルギーの方がいないこと。
     ー5.譲渡後、避妊又は去勢手術を受けさせること 。
     ー6.動物を飼っても良い住宅であること。
     ー7.譲渡後、速やかに畜犬登録するとともに、年1回狂犬病予防注射を受けさせること。
     ー8.習性に応じた 「しつけ」などができること。
     ー9.屋外で飼う場合は、つないで飼うこと。
     ー10.屋内で飼う場合は、玄関や窓から飛び出さないよう配慮すること。
     ー11.動物指導センターの譲渡講習会を受けること。

    ➤ 参考:https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/21437/atarasiikainusiboshuusiteimasu.pdf

保健所の保護犬引き取り:神奈川県

平塚市に所在する神奈川県動物愛護センターは「動物を処分するための施設」から「生かすための施設」へと2019年にリニューアルしました。
対応地区は横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・茅ケ崎市・寒川町の六市一町以外のエリアを担当しています。

  • 受け付け機関名:神奈川県動物愛護センター
  • 機関公式HP:https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/1594/awc/receive/
  • 住所:〒259-1205 神奈川県平塚市土屋401
  • 電話番号:0463-58-3411
  • FAX:0463-59-4931
  • 開庁時間:8時30分〜17時15分(月曜日から金曜日、祝祭日及び年末年始を除く)
  • 譲渡の流れ
  •  ーステップ1:わん・にゃん教室(譲渡前講習会)を受ける。
     ーステップ2:個別面接を受ける(電話による事前予約制)
     ーステップ3:譲り受ける。

  • 譲渡の条件
  •  ーわん・にゃん教室(譲渡前講習会)を受講した方であること。
     ー神奈川県に在住で、原則として65歳以下の成人であること。
     ー譲り受けようとする犬、猫の習性、生理等を理解し、適正に終生飼養することができる状況にあること。
     ー動物を飼養できなくなったときの預け先があること。預け先予定者は65歳以下の方に限ります。
     ー飼養環境が集合住宅又は借家の場合は、動物の飼養が認められていること。
     ーご家族に動物に対するアレルギーをお持ちの方がいる場合は、面接時に個別にお話を伺います。
     ー誓約書の内容を遵守できること。

    • 譲渡会情報:https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/1594/awc/receive/information.html
    • 家族との出会いを待っているワンコがいます

      保健所から保護犬を引き取りするときに私たちにできること

      現在、社会は持続可能性を重視する動きが活発化しています。
      ワンコを家族として迎えることにおいても、安易に購入するのではなく、そのままでは命を絶たれてしまうことになる保護犬を迎え入れることは大きな意義を持っているといえるでしょう。

      私たちピースワンコでは殺処分対象のワンコを保護し、健康管理をおこなって、トレーニングとともに、里親探しを実施しています。
      この持続可能な社会を推進する活動のために、全国8カ所で譲渡するための施設も運営しています。

      ワンコを家族として迎えたいとき、ペットショップで購入する選択肢だけではなく、自治体や保護団体から保護犬を迎え入れることも視野にいれて検討してみてはいかがでしょうか。

      家族との出会いを待っているワンコがいます

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