2023年11月15日

【保護犬との暮らし】 後悔から感謝へ。先代の愛犬が繋いだご縁 ~ ペットロスを乗り越えて ~

子どもの頃からずっとワンコのいる生活だった北村様。先代の愛犬「アッシュ」さんが2011年7月、あと3日で18歳の誕生日を迎えるというときに虹の橋を渡ってから、日々涙が止まらず食事も喉を通らなくなり、夜も眠れず息をするのも苦しい…という、重度のペットロスになったそうです。辛い気持ちをかかえたまま「ワンコのためになるなら」と保護犬の譲渡会のお手伝いを始めてピースワンコの活動を知り、「ふるさと納税」を通じたご支援も始めてくださいました。

「アッシュ」さんが旅立ってから5年が経ったある日。ピースワンコが保護した「マナ」を見つけてくださり、神奈川から広島の神石高原シェルターまで会いに来てくださいました。そして現在。北村様の隣には「マナ」と、もう一頭の可愛い女の子「マルバ」が寄り添っています。ペットロスを乗り越えて、保護犬を家族に迎えてくださった北村様にお話をお聞きしました。

※里親様と愛犬たち(右:マナ、左:マルバ/里親様ご提供写真)

辛いペットロス。「またワンコと暮らしたい」と思ったきっかけは?

「アッシュ」が2011年7月に虹の橋を渡ってからずっと涙が止まらず、あの時ああすればよかった、と自分を責め続けて後悔して前向きに生活することが難しい状態でした。知人から誘われて、仕事が休みの日に保護犬の譲渡会のお手伝いをしたり、殺処分廃止のために何ができるのか考えながら、ピースワンコという団体があることを知ってふるさと納税で寄付したりしていました。「アッシュ」が旅立って5年ほど経ち、「何か実際に行動を起こさなければいけない」という気持ちが強くなりました。そんなとき、ピースワンコのSNSで「アッシュ」そっくりの「マナ」を見つけたんです。

「マナ」ってどんな子なんだろう?
ピースワンコって実際どんな感じなのかな?

不安もあったのでピースワンコに電話して、対応してくれた方にいろいろ質問し、お話しました。
応対してくれた人は、静かで穏やかで、「この引き込まれるような優しく丁寧な対応はなんだろう・・・」と思うほどの語り口調。動物への誠実な愛情が心にしみ込んできて、広島に会いに行こう!と決めました。この時に応対してくれた方が、ピースワンコ・ジャパン プロジェクトリーダーの安倍誠さんでした。

※里親様の先代の愛犬「アッシュ」さん(里親様ご提供写真)

「マナ」と出会い、家族に迎えることを決めるまで

日帰りで広島の神石高原シェルターに行った時、「マナ」は皮膚の状態が非常に悪く、譲渡対象ではなくなっていて治療中のワンコが暮らす犬舎にいました。安倍さんに案内してもらって会いに行ったら、SNSで見た可愛らしく首をかしげていた姿とは異なり、「マナ」は勇ましいほどに凛とした美しい姿勢でこちらを見つめていました。人懐っこくシッポを振って歓迎してくれましたが、安倍さんを見つけると何度かジャンプしながら嬉しそうに駆け寄っていく「マナ」を見て、二人の信頼関係が一瞬で分かりました。

帰りの新幹線の都合もあり「マナ」に会えたのはほんの数十分でしたが「マナ」の良さや可愛さが伝わってきて、「マナ」を家族に迎えたい!と心が固まりました。家についてから母に、「マナ」を家族に迎えたいことと、皮膚の状態がとても悪くてお腹一面に毛がないことを話したところ、
「それがどーしたのよ、あんたが決めたことに何で反対なんてすんのよ」
と言われてびっくり。今までの人生反対しかされたことがなかったので(笑)

そして「アッシュ」がお世話になっていた獣医さんにも5年ぶりに電話して「マナ」のことを相談したら、
「保護犬を飼うことは大賛成!あなたはアッシュのこともよく面倒を見てたから皮膚のケアなんて全然大丈夫!」
と言ってもらえました。

母と獣医さんに背中を押してもらい、たとえ皮膚の状態がどうであろうと元の白い美しい姿に戻す!と決意して、「マナ」の譲渡を正式に申し込みました。「マナ」が家族になる日をドキドキしながら待つこととなりましたが、広島と神奈川で距離が離れていることや「マナ」の皮膚の状態が悪かったことから、迎える日までしばらくかかりました。そして、年の瀬が近くなった2016年12月26日、安倍さんが「マナ」を連れて神奈川まできてくださり、とうとう「マナ」と私たちの新しい人生が始まったのです!

その時、安倍さんから書類をもらったんですが、そこには「マナ」がピースワンコで暮らしていたときの様子や、治療の記録がびっしりと書かれてあり、「マナ」が安倍さんをはじめ、ピースワンコの皆さんに可愛がられて大切にお世話されていたことを改めて感じました。先代の愛犬「アッシュ」の記録とともに、私の大切な宝物になっています。

「マナ」の宝物は、卒業のときに安倍さんからプレゼントしてもらった、ピンクのウサちゃん。大好きすぎて、キュッキュッという音が出なくなるまで噛み噛みするので、定期的に鳴き笛を変えてあげています。眠るときは必ず二階のベッドに連れていって、今でも一緒に寝ています。

「マナ」を家族を迎えて良かったこと、ペットロスのこと

「マナ」を家族に迎える前は、保護犬に関する色んなことを調べたり考えたり勉強したりしながら「マナを迎えたら絶対に幸せにするぞ!」と思っていました。でも「マナ」が家族になってからは、幸せにしてもらっているのは私たち人間の方だ、と気が付いたんです。季節ごとの花や景色を美しいと思えるようになったし、「マナ」が生きていてくれることや元気でいてくれること、そして自分が生きていることに感謝するようになりました。

ペットロスの状態も完全に変わりました。「アッシュ」が虹の橋を渡ってから、毎日泣き続けて夜も眠れなくなり「あの時ああすればよかった」と過去の選択や行動に対する後悔で、自分を何年も責め続けていました。でも「マナ」が家族になってくれてからは、彼女の笑顔や彼女を撫でたときのぬくもり、彼女からたくさんの愛情をもらって、重度のペットロスの状態がおさまっていたんです。「アッシュ」に対しても後悔の気持ちしかなかったのに、一緒に暮らした時の幸せな瞬間をたくさん思い出せるようになっていました。きっと「アッシュ」が私の姿を見かねて、「マナ」とのご縁を繋いでくれたんだと思っています。

そして2021年に、「アッシュ」や「マナ」に似ている野犬出身の可愛い女の子と出会いました。ピースワンコに保護されていた「マルバ」です。「マナ」の妹分として、12月に「マルバ」も家族に加わってくれました。「マナ」が来てから譲渡会のお手伝いはできなくなりましたが、野犬出身の保護犬を家族に迎えて一緒に暮らして幸せにすることも、命を救う活動に繋がっていると思っています。

※里親様に抱っこされている「マルバ」が気になる「マナ」

※「マルバ」は優しい「マナ」が大好き(右:マルバ、左:マナ/里親様ご提供写真)

ペットロスで辛い思いをしている人へ。

自分の最愛の子を失うことは、非常に辛いことで、その気持ちはよくわかります。特に思い出の特別な日が近づくと、悲しみは一層強くなります。でも無理やり忘れる必要は全くないと思います。悲しかったらいっぱい泣いていいと思います。感情を表現することの方が健康的かもしれないです。ただ、後悔を引きずることはよくないです。最愛の子と一緒に過ごした時間を否定することにつながりなりますから…。
ワンコを迎える環境や将来の自分の生活状況を考え、その時にワンコの介護ができるなら(終生飼養)、保護犬を迎えることをおすすめします。保護犬がかわいそうだからじゃありません。保護犬は幸せを運ぶ存在だからです。保護犬は優しい子です。あなたにもご家族にも新たな幸せと愛をもたらしてくれます。

※二人はとっても仲良し(右:マナ、左:マルバ/里親様ご提供写真)

取材を終えて

栄養士の資格を持っている北村様は、先代の愛犬「アッシュ」さんが若い時期にクッシング症候群を発症したことをきっかけに、ワンコの手作りご飯について学んだそうです。「アッシュ」さんの症状にあわせたご飯を毎日作って食べさせながら、ケアをしておられたとのこと。「マナ」を家族に迎えてくださったあとも、皮膚の状態に合わせた身体に優しい手作りご飯で腸から体質改善に取り組んでくださいました。そのお陰でアレルギーは完治!現在の「マナ」は真っ白で美しい体毛に覆われています。北村様に大切にしていただいてる「マナ」と「マルバ」の様子、ぜひ Instagram からもご覧ください。「マナ」、「マルバ」、これからも北村様ご家族と一緒に、幸せな犬生を楽しんでね!!

※「マナ」と「アルバ」の様子はこちら
https://www.instagram.com/mana_ash_michi/

※推定12歳の「マナ」と推定2歳の「マルバ」(手前:マナ、奥:マルバ/里親様ご提供写真)

 

 

※ピースワンコは、皆さまからのご寄付だけで活動しています。一頭一頭に寄り添ったお世話ができるのも、皆さまのご支援のお陰です。これからもワンコの命を守る活動を続けていくために「ふるさと納税」からのご支援をよろしくお願いいたします。

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