生後4ヶ月半くらいの野犬の子犬の「ラグアス」は、2023年3月28日にピースワンコの神石高原シェルターへやってきました。検疫犬舎で約1ヶ月ほど過ごした後、5月9日に岡山譲渡センターへ。人馴れトレーニングをしながら里親様との出会いを探すことになりました。通常、譲渡センターへ移動するワンコは、神石高原シェルターである程度の人馴れトレーニングを行ってきた子がほとんどですが、時おり「ラグアス」のようなケースが生じることがあります。
譲渡センターにいるワンコは、来店されるお客様やボランティアの方々など、スタッフ以外のいろんな人と触れ合う環境の中で過ごすため、日常的に人馴れが進みやすくなります。まだ若く人と触れ合った経験も少ない「ラグアス」は、譲渡センターで人との接し方を学んだ方が早く成長でき、家族とのご縁も繋がりやすくなる、という判断で移動が決まりました。
検疫犬舎で同じくらいの年頃のワンコたちと仲良く過ごしていた「ラグアス」にとって、1頭だけで岡山へ移動して、初めて会う先輩ワンコや知らない人間に囲まれて過ごすのは、とても怖かっただろうと思います。お散歩の練習を始めたばかりの頃だったので、スタッフがハーネスを着けようとして近寄ってきただけで「ラグアス」は怖がり、目を泳がせながら全身カチカチの状態に。立ち上がるとウンチを漏らしていることもありました。
岡山譲渡センターに来てからの数日は、リードに繋がれて犬舎から出るのも恐々、屋外に出ると座り込んで歩けなくなる状態でした。けれど少しずつ、スタッフの周りをオロオロと動き回ったり、急に飛び退いたりしながらもなんとか進めるようになっていきました。先輩ワンコたちと一緒に練習を重ねるうちに、お散歩の楽しさが分かってきたようで、少しずつ自信が持てるようになったのか、表情にも変化が見られました。
譲渡センターで開催している「ふれあいイベント」では、他のワンコ達に混じってお客様の手からオヤツをもらえるようにもなりました!ワンコ同士で遊ぶのが大好きなので、知らない人がいる室内でも仲間がいれば大はしゃぎ。お散歩もみんなと一緒なら、尻尾をあげてルンルン歩けます。
けれど、1頭だけになると恐怖心が強くなってしまうようで、日々お世話をしているスタッフであっても、近寄って行くと逃げてしまいます。お散歩も1頭だけで出発すると、何度も振り返って他のワンコが来るのを待ちながら、尻尾も下がったまま。少しでも人との距離が縮まれば…と思い、スタッフは「ラグアス」の犬舎に入って “目を合わせない、声を掛けない、触らない” 状態で、様子を見ることにしました。「ラグアス」は、人が近寄って来ても怖いことは何もされない、ということが分かってくると、自分からスタッフに近づいて来て靴ひもを齧ってみたり、脚の下に潜ろうとしてみたり。気が付けば、スタッフの足をあご枕にしてお昼寝できるようになっていました!
そんな時、「ラグアスを家族に迎えたい」とのお申し出を頂きました!里親様は、先代ワンコを亡くされてペットロスになっている時、ピースワンコのInstagramで「ラグアス」をみてご連絡くださったそうです。岡山譲渡センターで開催している「保護犬お迎えセミナー」に参加してくださった後、「ラグアス」に会いに来てくださり、怖がりな性格もご理解くださったうえでお申し込みを頂きました。
「ラグアス」はお家で過ごすのも初めての経験なので、卒業するまでに少しでも自信をつけて欲しいと思い、スタッフ宅でお泊り練習をしました。初めての人間の家は「ラグアス」にとって見たことが無い物ばかり。座り込んだまま動けませんでしたが、大好きなご飯とちゅーるは、しっかり食べることができました!その姿を見て、時間はかかってもこの子のペースできっと新しい家族に慣れてくれるはず!と、スタッフは安心しました。
心も体もまだまだ成長中の「ラグアス」くん。2023年8月28日に、新しいご家族のもとへ卒業していきました!優しいご家族に愛情をたっぷり注いでもらいながら信頼関係を築き、幸せな犬生を過ごしてくれると思います。
里親様、「ラグアス」を家族に迎えてくださりありがとうございます!
生涯末永く「ラグアス」を宜しくお願いいたします!