保護犬との生活を楽しむ ~元野犬のアザレアとランクルの物語~

 

 

ピースワンコが保護しているワンコのほとんどは、野山の中で生きてきた「元野犬」です。人と暮らしたことがないので警戒心が強く、怖がりで慎重な子が多いです。どの子も優しい家族に迎えてもらって幸せな犬生を送れるように、神石高原シェルターでお散歩や人馴れのトレーニングを重ねています。

 

 

トレーニングを経たワンコは、譲渡センターへ移動して里親様とのご縁を探します。ワンコにとって移動先の譲渡センターは、今までと全く異なる初めての環境。どんなにトレーニングを重ねても、警戒心や苦手なものが完全になくなるわけではないので、スタッフが毎日優しく大切にお世話をしても、触ろうとすると逃げてしまう子やお散歩で出会う知らない人や車への恐怖心が消えない子、心を開いてくれるのに時間がかかる子もたくさんいます。

 

 

福山譲渡センターから2022年12月3日に卒業した「アザレア」もそんな一頭でした。怖がりな性格で、スタッフが近づくだけで警戒してしまい、おやつをあげようとしたり触れ合おうとしても、触られまいと必死に逃げ回っていました。なかなか人と接することに馴れなかった「アザレア」ですが、“ うちでゆっくり馴れてほしい ” と「アザレア」の怖がりな性格も丸ごと受け入れてくれる里親様に迎えていただきました。

 

 

「アザレア」は新しいお家でも、最初は部屋の隅っこにいたそうです。里親様は「アザレア」を怖がらせないように、無理のない範囲で触れ合ったり声かけをしながら、毎日真剣に向き合ってくださいました。そのお陰で、今では触られるのが大好きになり、自分から「撫でて」と催促するまでになりました!小さなお子さんとも仲良しになって同じベッドで一緒にリラックスして寝ているそうです。里親様に迎えていただいてから初めて見せてくれた一面には、お世話をしていたスタッフも驚きの連続でした。

 

 

そして、「アザレア」と対照的だったのは、同じく福山譲渡センターから卒業した「ランクル」です。譲渡センターにいた頃はスタッフにお腹を出すほどの甘えん坊で、初対面の人にもぐいぐい近寄って行く明るい性格のワンコだった「ランクル」は、2022年10月1日にお姉ちゃんたちがいる楽しいご一家に迎えていただきました。

 

 

けれど意外なことに、新しいお家では生活音や人の動きに怖がってしまい、ケージから全く出てこれなくなったのです。もちろん、新しい環境に慣れるまでには時間が必要ですが、なかなかケージから出てこれない「ランクル」を心配した里親様から、譲渡センターへ相談のご連絡をいただきました。

 

 

まずはお部屋に慣れるよう、できるだけケージの外でおやつやご飯をあげていただきました。ケージの外に出れば美味しいものをもらえる、良いことがあると認識してもらう為です。最初はケージに後ろ足を残したまま、体を伸ばして恐る恐るおやつを食べていた「ランクル」ですが、毎日続けていただくことで少しずつですが着実にケージの外へ一歩を踏み出せるようになり、徐々に行動範囲が広がってきました。今ではお部屋を自由に歩けるようになり、ご家族でご飯を食べていると「僕には?」と訴えかけるように側にいるそうです。そんな姿がとても可愛いと里親様も喜ばれていました。

元野犬のワンコと暮らすとき、慎重に接することはもちろん大事ですが、ワンコにとってはたくさんの経験を積むことや、家族の愛情を注いでもらうことが何より大切です。それらは苦手なことや怖いことを、嬉しいことや楽しいことへと変える力になってくれます。

 

 

「アザレア」や「ランクル」の里親様のように、元野犬の保護犬を家族に迎えてから不安や悩みがでてくるかもしれませんが、私たちピースワンコのスタッフが全力でサポートさせていただきます。諦めずに真剣に向き合えばワンコはその気持ちに必ず応えてくれるので、その過程も含めて保護犬との生活を楽しんでいただければと思います。
保護犬のお迎えを考えられている方、まずはお近くのシェルターや譲渡センターにお越しください。きっと素敵な出会いがありますよ!

 

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