2023年12月26日

年単位で成長を見守る。~超怖がりな「フォール」と里親になったスタッフの物語~

 

2018年1月23日、動物愛護センターから引き出されてピースワンコの神石高原シェルターへやってきた野犬の子犬がいました。その名は「フォール」。ゴールデン・レトリーバー風の容貌が目を引く生後3か月くらいの男の子は、里親募集のホームページで紹介したところ、問い合わせが殺到。“どうしても引き取りたい!” という里親希望者様のところへトライアルに行くことがすぐ決まりました。

 

 

けれど、運悪く、里親希望者様が体調を崩されてしまい、トライアルは中止。

“何があってもフォールを引き取ります” という里親希望者様の言葉を信じ、里親募集中のホームページの掲載を削除してその方の体調回復を待つことになりました。そこから数か月。トライアルを待っている間に「フォール」はどんどん身体が大きくなり、成長につれてだんだんと怖がりな性質が出てきて“超ビビり犬”になっていました。

「フォール」が生後10ヶ月位になった頃、お申し出を頂いていた里親希望者様の体調が整い、トライアルがスタートしました。「フォール」は、部屋の隅から1歩も動く事が出来ず、里親希望者様も根をあげられてキャンセルに!

「フォール」はピースワンコに戻ってきました。
 

 
ちょうどその頃、ピースワンコにスタッフ・横山が入職し、極度に怖がりで譲渡は難しいかもしれない..といわれはじめていた「フォール」と出会いました。横山は「フォール」の状態を変えるべく、彼を自宅に連れ帰って “環境慣れ訓練” を始めることにしました。
「フォール」は横山が車に乗せようとすると嫌がって暴れ、家に連れ帰ってもトライアルの時と同じように部屋の隅で固まって動きません。横山は「フォール」が自分や家に馴れることが先決だと考え、これが正解かどうかは分からないけれど、夜も一緒に寝ることを決めました。

 

 

最初、横山は「フォール」を数日だけ連れ帰るつもりでした。「フォール」はなかなか懐きませんが、だんだん情が湧いてきた横山は “連れ帰らない” という選択が出来なくなり、4ヶ月後、「フォール」を家族に迎えました!

これまでにも保護犬と暮らした経験がある横山でしたが、野犬の保護犬に接するのは初めてでした。犬が人から逃げる、異常に人を怖がる、など知らない事ばかり。「フォール」と向き合いながら、「フォール」を通じて様々な経験と学びを重ねていきました。

 

 

『怖がりな子には、とにかく時間をかけて辛抱強く待ってあげる事が必要です。数日とか月単位ではなく、年単位で。

だから「フォール」にトレーニング的な事を始めたのは、家に来てから1年が過ぎた頃からなんです。“座れ・待て” などと言っても、最初はただ怯えるだけでしたので。今でも彼はかなりのビビリです。でも、表情が明るくなり、自信のようなものもを見せてくれるようになってきました。車にも飛び乗りますし、抱っこも何の問題もありません。怖がりながらもどんな人混みの中も歩けますし、家の中も自由に動き回っています。ただ5年経ってもこれくらいの感じです。

せっかく家族に迎えられても、たまに返還になって戻ってくる子もいます。「フォール」を迎えたいと言ってくださった方は、数日で諦められましたが、保護犬を、特に野犬の子を家族に迎えようとされる方は、年単位で成長を見守って頂きたいです。ぜひ、彼らにもっと時間を与えてあげて欲しいと思います』

横山はそう話してくれました。

 

 

ピースワンコには「フォール」のように怖がりなワンコがたくさんいます。すぐに懐いてくれなくても、すぐに思ったようなワンコライフができなくても、ワンコのペースに合わせて、年単位で成長を見守ってあげてください。そしてその成長過程を楽しんでいただけたらと思います。

これから保護犬と暮らしたいと思っておられる方も、現在保護犬と暮らしている方も、何かあったらぜひ神石高原シェルターや譲渡センターへ足をお運びください。ワンコも人も全ての家族が幸せになるように、ピースワンコスタッフがサポートさせていただきます。

 

 
※ピースワンコは、皆さまからのご寄付だけで活動しています。一頭一頭に寄り添ったお世話ができるのも、皆さまのご支援のお陰です。これからもワンコの命を守る活動を続けていくために「ふるさと納税」からのご支援をよろしくお願いいたします。

\ ふるさと納税で支援する /

 

いいなと思ったらシェア

おすすめ記事

  • 保護犬を家族に迎える文化を。官民一体で「殺処分ゼロ」へ!

    ピースワンコは広島県の要請のもと、往復4時間かけて定期的に動物愛護センターへ通い、殺処分対象の犬たちを引き出しています。愛護センターは飼育放棄犬や野犬で溢れかえっており、私たちは怖がりな野犬や咬傷犬など、愛護センターでの […]
  • 終(つい)の住処になるー終生預かりボランティア制度ー

    目次預かるという選択ケアボラ制度預かり先の声岸さんとポップ(13歳)シニアならではの落ち着きペット葬の現場から得た思い大久保さんと朱雀(15歳)「もしも」の先に備えて期待と不安とこの子にしてあげたいことケアボラというパー […]
  • 【遺贈寄付】故人の想いが込められた浜松譲渡センター

    目次ひとりからみんなで犬のぬいぐるみと一緒に犬たちにできること東海で最大の取り組みを「静岡のワンコたちも救う」苦労も超えるオープンに向けて ひとりからみんなで イギリスの音楽家のジョン・レノンは 「ひとりで見る夢はただの […]
  • 保護犬を迎えて 片桐家の「ちゃこ」と「はな」

    目次スイートホームちゃことはな犬のいない散歩なんてコキア色のちゃこはなのお迎え愛すべきギャップ「なんなんだ?」といえる愛 スイートホーム 芸人、俳優、造形作家と、多彩に活躍する片桐仁さん。2頭の保護犬と共に暮らす愛犬家と […]
  • 手のひらと肉球をつなぐもの

    目次春雷と愛犬音響トレーニング雷の轟音をやり過ごす方法雨宿りの思い出ずぶ濡れでなぜ悪い犬と暮らせば勇気だって湧いてくる 春雷と愛犬   春雷、という言葉がある。 春の到来を伝える雷ともいわれ、 雷鳴に驚き、冬眠 […]

Supportご支援の方法

「里親になるのは難しい...」 という方にも、様々なご支援をいただいており、
「殺処分ゼロ」を実現するためにはあなたのご支援が必要です。
寄付、ふるさと納税を使ったご支援、ボランティア、物品寄贈など、あなたにあった方法でご検討ください。