2024年5月2日

ピースワンコに望むことーワンだふるサポーター・石森虹花さん

想いに支えられて

広島県内の犬の殺処分ゼロを目標に始まり、全国での殺処分ゼロも視野に入れながら、成果を重ねてきたピースワンコ・ジャパン。

その活動はさまざまな支援を通じ、想いを託してくれる方々がいてくれるからこそ実現できるものだ。

支援者の方は何を願い、ピースワンコに心を寄せてくれるのか。

活動に対して望むのは、どんなことか。

支援者のひとり、タレントの石森虹花さんに、その想いをうかがった。

幼い頃から、動物と共に

欅坂46のメンバーとして活動していた当時から、大の動物好きとして知られている石森さん。

幼少期から動物と家族として暮らすことが自然になっていたと語るその表情には、笑みがこぼれる。

「私が育った祖母の家には、大きな雑種のワンちゃんがいたんです。幼い頃からその子と一緒に遊んだり、お散歩をしたりして育ちました。雑種の子が亡くなってからも、姉が拾ってきた三毛猫や、チワワの子が加わって、賑やかでしたね」

動物全般が、幅広く大好き。

そう話す石森さんは今、とりわけ深い愛情を犬たちに注いでいる。

ただ可愛がるだけではなく、犬たち全体の幸福を願い、保護活動の支援にも取り組んでいるのだ。

現状に心を動かされ

石森さんが保護活動に関心を持ち始めたのは、3年ほど前。

SNSで犬の保護団体やボランティア活動の情報を目にし、少しでも力になりたいとの切実な想いを抱くようになった。

「保健所や劣悪な環境でのブリーディングといった悲しい情報を目の当たりにして、胸が苦しくなりました。Instagramでピースワンコのプロジェクトリーダー、安倍さんの個人アカウントをフォローしたのも同じ時期。ピースワンコの活動については、テレビで密着取材を観て知っていたのですが、あらためて安倍さんの投稿から熱い想いを感じ、胸がじんわりと温かくなったのを覚えています」

ピースワンコへの支援

痛ましい状況に対して、自分にできることは何だろう。

その答えの一つとして石森さんが選んだのが、ピースワンコの継続支援制度「ワンだふるサポーター」だ。

「ワンだふるサポーターは、1日約30円分の寄付からスタートできる支援で、私も3年前から毎月、少額ですが寄付をしています。1匹でも多くの子たちのワクチン代やご飯代に貢献できていたら嬉しいですね」

2021年秋には施設見学のため、ピースワンコの神石高原シェルターにも足を運んだ。

「安倍さんやスタッフの方に案内してもらいながら、イエロー犬舎やオレンジ犬舎、ドッグランなどの施設を見学しました。特に印象に残っているのは、シニアや病気のあるワンコたちが暮らすオレンジ犬舎でのこと。名前や推定年齢、病気やケア方法、ご飯のあげ方や投薬時間など、一頭ずつ違う内容を一人のスタッフさんがすべて把握していて、細かく説明してくれたんです。保護犬の子たちを大切に思って、一つの命として寄り添っていることに感銘を受けました」

神石高原町で出会った保護犬たち。

石森さんの心には、その瞳の印象が今も残っている。

「眼差しから、強い生命力を感じたんです。愛情を込めて接し続けたら、こんなにも目が変わって、楽しそうにしてくれるんだとあらためて思いました」

ピースワンコに望むこと

そういった保護犬たちが新しい家族を見つけられるように、より多くの人々にとって、譲渡という選択肢が身近になってほしい。

石森さんは続ける。

「ピースワンコの譲渡センターが、もっと全国に拡充したらいいなと思います。そして、できるだけ足を運びやすい立地にあれば、より多くの方に足を止めてもらえるのかなと。ワンコたちが家族を見つけるためには、里親さんが安心できるように、施設や団体が信頼できることも重要ですよね。譲渡センターや活動拠点が、各地に拡がっていったらと望んでいます」

情報発信の大切さ

そのうえで、根本の願いは、保健所や愛護センターなどに収容される犬たちが減っていくこと。

そのために求められるのは、どんな活動だろう。

「多くの方に認知してもらえるように、SNSでの譲渡会の紹介や配信などの情報発信を通して、よりたくさんのメディアに保護犬に関するコンテンツが広がっていくといいですよね。また、やはりテレビの影響力は大きくて、幅広い年齢層の方に情報を届けられますから、保護活動を紹介する番組などで、たくさん取り上げてもらえたらいいなと思います」

自身のSNSを通じて

団体やボランティア支援にとどまらず、石森さんはInstagramで「石森虹花(アニマルアカウント)」を開設し、自ら情報発信も行っている。

投稿の内容は、保健所や多頭崩壊ブリーダーの現状、保護活動支援の紹介といった厳しい現実だ。

 

「ピースワンコをはじめ、保護や啓発に懸命に取り組んでいらっしゃる方々が、前向きに発信を続けていらっしゃいます。微力ですが、実情を伝えていくことで私も貢献したいという想いから、発信を始めました。これは社会問題なので、多くの方に知ってほしいんです。アニマルアカウントでは、保護活動に取り組む方とやり取りもさせていただくのですが、そういった方には、犬たちへの想いを支えに、無報酬で活動していらっしゃる場合も多いのが現状。本当にすごいことなのですが、自己犠牲を伴わずに活動を持続させるため、保護活動が一つの職業として成り立つように社会が変わっていかなくてはと、強く感じています」

相棒との暮らしから見えるもの

現在、9歳のロングコートチワワ、ピノちゃんと暮らす石森さん。

彼女は相棒でありパートナーです、との言葉には、迷いがない。

「ピノは事情があって家族を探していた子で、3歳で引き取りました。成犬で、気も強いので、仲良くなるのに時間は少しかかりましたが、今ではすっかり小さな相棒。毎日一緒にいると言葉も通じてきますし、お互いの気持ちを感じ取れるようになってくるんです。他のワンコに唸ってしまうのでカフェなどには行けませんが、ふたりで過ごす日々は本当に幸せですね。持病があるため、生活リズムの中心はこの子の服薬の時間。可愛いがるだけでは飼い主として務まりませんから、最期まで犬生が幸せだったと思ってほしくて、私も日々、頑張っています」

共に過ごす中で、愛犬は「犬」以上の存在になっていく。

一緒に築いた信頼関係は、かけがえのない宝物だ。

その素晴らしさを感じてもらえれば、不幸な犬たちも減らせるはず。

石森さんは、それをよく知っているからこそ、終生を共にする大切さを伝えていきたいと強く望んでいる。

「保護犬」のいない世界のため

「『保護犬』という言葉は、人間の身勝手が作り出したもの。家族とずっと一緒にいられるなら、本来は必要ない言葉だったはずです。都内の保健所へ見学にうかがったこともあるのですが、トイプードルやチワワなど、お店やブリーダーさんからお迎えされたような子たちが悲しそうな瞳で過ごしていました。保護犬はもちろん、どこからお迎えしたとしても一つの命。犬たちと過ごす幸せが広く認知され、動物を大切に扱ってもらうための法整備も進んだら、状況を少しずつ、変えていけるのではないでしょうか」

愛らしい表情に強い意志を浮かべながら、石森さんはこう結んでくれた。

「保護犬を迎えたいと思ってくれている、その人を待っている犬たちは、必ずいます。譲渡を受けた方を見て、周りにもその行動が広がってくれたら嬉しいですね。小さな力も、集まれば大きな力に変わるはず。私もそのために、諦めず、ささやかにでも貢献していきたいです」

取材・執筆:林りん
ライター、編集者、イラストレーター。シニアの愛犬が相棒。
インバウンド向け情報メディアの編集部に勤務後、フリーに。
雑誌やライフスタイル系WEBマガジンでの編集・執筆、企業オウンドメディアのデレクション、コピーライティング等を行う。
近年はイラストレーターとして、出版物の挿絵やノベルティグッズのイラスト等も手がける。

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