ビビりってダメなの?

保護犬はシャイで怖がりでビビりな性格のコが多いので、そのコのペースに合わせて少しずつ距離を縮めながらお互いを理解し合い、信頼関係を築いていくことが大切だと前回のブログでお伝えしました。

ところで、シャイで怖がりなのは、良くないことなのでしょうか?
ビビりな犬はダメな犬なのでしょうか?

そんなことはありません。実は犬だけではなく猫や人間など、哺乳類はみんな「ビビり」です。

弱肉強食のルールがある自然界で生き残るためには、敵から逃げて身を守らなければなりません。ビビりで怖がりだからこそ、五感をフル活用して生き残っていけるのです。そう考えると、野犬たちがビビりで怖がりなのは当たり前のことと言えますよね。

犬の場合、生後3か月くらいまでの「社会化期」と呼ばれる子犬のころの経験がとても大切で、その時期に経験したことがないことや見慣れないものに対して恐怖心を覚えるといわれています。
そのため、社会化期を過ぎてから初めて見たり経験したりすることに対して「え?なにが起こったの?わからないよ、怖いよ!」と恐怖を覚えるようになります。ピースワンコの保護犬たちの多くは元野犬なので、子犬の時期に人間と暮らしたことがない犬がほとんどです。保護されてから初めて私たち人間との暮らしが始まるため、人間の姿だけでなく音や光、車など私たちにとって普通のことが、彼らには恐怖の対象となってしまうのです。

また、怖がりな気質は遺伝すると言われています。命をつなぐために大切な性質なので親は子へ引継ぐのです。だから怖がりの親犬からは、怖がりな気質を持つ子犬がうまれやすい傾向があります。

怖がりでビビりな犬=ダメな犬、ではありません。問題なのは、怖がっている犬が不安な気持ちを打ち消そうとして、吠えたり興奮したり、場合によっては犬や人間に対して攻撃的になるなどの「問題行動」を起こしてしまうことです。

ビビりなコたちが少しでも安心して社会生活をおくれるように、心と身体に必要以上のストレスがかからないようにするためにも、そのコのペースに合わせた社会化トレーニングが大切です。

トレーニングといっても強制や体罰を伴うやり方ではなく、「おいしい、楽しい、うれしい」と犬が楽しく学べる方法で、焦らずゆっくり愛情をこめて行っていきます。

保護犬を家族に迎えた里親さんには、ビビりも犬の個性と考えて「そのままでもいいんだよ」と丸ごと受け止めていただきたいと思います。少々風変わりだったとしても、そのコにあったライフスタイルがあっていいのです。

次回は、犬の行動に隠された理由についてお伝えします。

 

この命を消さないために「ワンだふるサポーター」でご支援お願いします。

 

 
 
 
 

おすすめ記事

  • 保護犬を家族に迎える文化を。官民一体で「殺処分ゼロ」へ!

    ピースワンコは広島県の要請のもと、往復4時間かけて定期的に動物愛護センターへ通い、殺処分対象の犬たちを引き出しています。愛護センターは飼育放棄犬や野犬で溢れかえっており、私たちは怖がりな野犬や咬傷犬など、愛護センターでの […]
  • 終(つい)の住処になるー終生預かりボランティア制度ー

    預かるという選択 ピースワンコに在籍する、約2500頭の保護犬。 その中には、シニアや持病のあるワンコも含まれている。 人に慣れ、体調管理をしてもらいながら、穏やかに暮らす犬たち。 そういった子たちは、人が好きなワンコで […]
  • 【遺贈寄付】故人の想いが込められた浜松譲渡センター

    ひとりからみんなで イギリスの音楽家のジョン・レノンは 「ひとりで見る夢はただの夢、みんなで見る夢は現実になる」という言葉を残した。 今回は、まさに彼の名言を体現したような話を綴りたい。 ピースワンコ・ジャパンは、全国で […]
  • 保護犬を迎えて 片桐家の「ちゃこ」と「はな」

    スイートホーム 芸人、俳優、造形作家と、多彩に活躍する片桐仁さん。2頭の保護犬と共に暮らす愛犬家としての一面も、そんな片桐さんのもう一つの顔だ。保護犬を我が家に迎えること。自分たちが、その子にとっての帰る場所になること。 […]
  • 手のひらと肉球をつなぐもの

    春雷と愛犬   春雷、という言葉がある。 春の到来を伝える雷ともいわれ、 雷鳴に驚き、冬眠していた地中の虫たちが目ざめるという理由で「虫出しの雷」という呼び名もあるそうだ。 なにかがはじまるような雰囲気で、嫌い […]

Supportご支援の方法

「里親になるのは難しい...」 という方にも、様々なご支援をいただいており、
「殺処分ゼロ」を実現するためにはあなたのご支援が必要です。
寄付、ふるさと納税を使ったご支援、ボランティア、物品寄贈など、あなたにあった方法でご検討ください。