ピースワンコの保護犬は元野犬のコがほとんどで、保護されてから初めて人との暮らしが始まるので怖がり(ビビり)なコが多いです。個体差もありますが、私たちにとって当たり前の事が彼らには恐怖の対象となるため、ビビりなコが人や環境に慣れるには時間がかかります。
<参考記事:「ビビりってダメなの?」https://peace-wanko.jp/hogoken/post-4436/>
もしあなたがそんな保護犬のありのままを受け止めて家族に迎え入れたとき、一番心配なのは「家族や新しい環境に慣れてくれるかな」ということではないでしょうか。
新しい家族の一員として家へ連れて帰った日、保護犬が緊張してクレートの端っこで小さくなって出てこない、水を飲まない、ご飯を食べない、散歩に連れ出してもオシッコしない、という状態になることがよくあります。
警戒心が強いビビりなコには必要以上に「見ない」「触らない」「声を掛けない」ことが大切ですが、少しづつ警戒心をとるにはどうすればいいのか、事例を混ぜながら具体的なプロセスをお伝えしたいと思います。
●怖がりな保護犬の環境の整え方
犬が何か行動を起こすための欲求階層には、下の図のように7つの階層(段階)があると言われています。
「犬の欲求階層」と呼ばれるこのピラミッドは下から、
①生命の安全(Safety)
②飲食(Eating & Drinking)
③健康管理(Body Care)
④睡眠と休息(Sleep & Rest)
⑤運動(Motion)
⑥探査活動(Exploration)
⑦縄張り活動(Territory)
と、7つの階層で構成されており、 ① から ⑦ まで順番に全ての項目を満たしていくことで、犬の警戒心やストレスが軽減されるようになります。「①生命の安全」がすべての行動の土台となる最も重要な欲求で、「①生命の安全」が満たされないと他の項目の行動をすることはありません。
ただ個体差があるので、新しい環境にやってきて内心まだ落ち着かないけど、とりあえず目の前のフードやオヤツは食べちゃえ!とパクパク食べるコ(②)もいますし、新しい環境の臭いをクンクン嗅いで回るコ(⑦)もいます。でも、それらの行動が見られたとしても、その前の段階の項目全てが満たされているわけではありません。
新しい環境にやってきた保護犬は、初めての環境に不安や警戒心を感じて、ご飯もお水も口をつけることができず、クレートの中で気配を消して動かないことが多いです。でもそんな時、そっとしてあげておいてください。
見つめられたり声をかけられたりされるとビビりなコは「襲われるのかも!」「命に危険があるのかも!」と余計に怖がってしまうからです。せっかく家族に迎えたコがクレートから出てこないと心配になると思います。でも、犬の様子を目の端で見る程度にして、どうかそのままそっとしてあげてください。そうすると少し余裕があるコはクレートから顔を出したり、クレートの外に出てきたりするかもしれません。
いずれにしても犬が「この場所は、生命の危険がない安全な場所なんだ」(①)と分かってくれるまで「待つ」姿勢が大切なのです。みなさんも知らない場所で知らない人から声をかけられると警戒しますよね?知らない人から何かもらうなんて、怖いですよね。それと同じです。同じ空間にいて、何も攻撃的なことがないと分かれば、何気に目を合わせたり、挨拶をするようになる。そのように犬からコンタクトしてきたら、目を合わせたり、優しく声をかけてみましょう。
「①生命の安全(Safety)」であることが分かると、次の階層「②飲食(Eating & Drinking)」へ進み、少しずつご飯を食べたり水を飲んだりできるようになっていきます。
次回も引き続き、犬の欲求階層ピラミッドを読み解きながら、犬の行動についてお伝えします。