犬を飼おうと思ったときに、里親として受け入れることを考える人もいるのではないでしょうか。
しかし、犬の里親になるにはどこに行けばいいのか、どうやって探せばいいのかわからなかったら、里親になるのをあきらめてしまうかもしれません。
本記事では、犬の里親になる方法や条件、受け入れる前の準備および注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
犬の里親になる方法
犬の里親になるには、主に以下の譲渡元から犬を受け入れる方法があります。
・動物愛護センター
・民間の保護団体
・保護犬カフェ
インターネットでまずは住んでいる都道府県からこれらの譲渡元を探してみましょう。
自宅からできるだけ近いところを選べば、どんな性格の犬なのか、自分との相性は合いそうなのかなど、実際に会って確認できます。そのほうが、受け入れ後の生活をスムーズに送りやすいからです。
犬の里親になる条件
犬の里親になるには、一般的に以下のような条件があります。
・飼養経費、健康管理費などを負担できること
・不妊去勢手術を受けさせること
・現在飼っている犬の不妊去勢手術をしていること
・責任を持って終生飼養すること
・成年であること
・64歳以下であること(ただし、団体によって後見人など例外制度あり)
・販売、繁殖を目的としないこと
・一人暮らしではないこと(例外あり)
・留守の時間が長すぎないこと
・動物アレルギーの家族がいないこと
・妊婦、または乳幼児がいないこと
・同居家族全員の同意を得ていること
・ペット飼育可能な住居に住んでいること
・狂犬病予防法に規定する登録、予防注射をおこなうこと
・すでに2頭以上飼育していないこと
・散歩をさせること
里親になる条件は譲渡元によって変わりますが、上記のような内容は犬を飼う上での基本的な条件です。すべての条件を満たせるくらいの環境を整えるようにしましょう。
また、一人暮らしの人で里親になりたい人は先に譲渡元に相談してみてください。後見人を立てたり、不在時に面倒を見てくれる人が近くに住んでいたりすることで例外的に認められる場合があります。
犬を受け入れるまでの流れ
続いて、保護犬を受け入れるまでの一般的な流れを譲渡元ごとに紹介します。
動物愛護センターから受け入れる場合
動物愛護センターとは、各都道府県にある動物保護施設です。
犬猫の収容設備があり、保護されて持ち込まれたり保健所から移送されてきたりする動物を一定期間保護します。
1、譲渡条件を満たしているか確認
里親になる条件を満たさなければなりません。
2、事前講習会への申し込み
譲渡条件に合えば、これから犬を飼う人のための事前講習会に申し込み、参加します。
3、動物愛護センターのスタッフとの面談
講習会では、飼育環境調査や家族構成などについての面談があるので、ありのままを伝えてください。
4、譲渡先の決定
愛護センターのスタッフは聞いた情報を細かくメモし、スタッフ間で議論して慎重に保護犬の譲渡先を決めます。希望者が複数の場合は抽選制にしているところが多いです。
5、犬の受け入れ
無事、犬を迎え入れたらしばらくのあいだは愛護センターから状況把握の電話があったり、家庭訪問があったりします。何か困ったことや問題があればその時に相談してください。
譲渡費用(主に避妊去勢手術代、マイクロチップ装着代など)については、動物愛護センターによって変わります。
民間の保護団体から受け入れる場合
民間の保護団体から保護犬を受け入れることも可能です。ここでは具体例として「ピースワンコ・ジャパン」を紹介し、犬を受け入れるまでの流れを説明します。
ピースワンコ・ジャパンは、活動拠点を広島県に置く団体で、全国8ヵ所に譲渡のための施設があります。
1、実際に犬に会いに行く
施設に出向いて犬たちを実際に見てみましょう。スタッフが家族構成やライフスタイルに合った犬をご紹介します。
2、申込書の提出
自分に合いそうな犬を見つけたら、里親希望申込書を提出します。公的な身分証明書の提示も必要です。
3、スタッフによる現地確認
犬との相性や申込書の内容に問題がなければ、ピースワンコのスタッフが家庭訪問をして環境の確認し、飼育方法などの相談があれば受け付けます。
4、犬の受け入れ
譲渡可能と判断されたら、犬をきちんと飼養することを約束する誓約書にサインをします。準備が整い次第お迎えに行ってください。
譲渡までの養育費と医療費の一部やマイクロチップ装着費、避妊去勢費用などは里親が負担します。譲渡費用は1頭一律50,000円、年齢や病気などの理由があり避妊去勢手術を受けられなかった犬は30,000円です。
保護犬カフェから受け入れる場合
動物愛護センターや民間の保護団体に比べると数が少ないかもしれませんが、保護犬カフェから受け入れることもできます。東京のとある保護犬カフェを例として紹介します。
1、犬に会いに行く
保護されている犬の多くは、何らかの疾患があります。病気や性格、行動パターンなどを、保護犬カフェに何度も通ってじっくり観察して理解します。
2、スタッフとの面談
面談・ヒアリングを受けます。
3、誓約書に同意
誓約書の内容を確認したら同意します。
4、犬の受け入れ
譲渡費用については、「寄付金」というかたちで30,000円からお願いしています。寄付金は保護犬の飼育費用や予防接種、避妊去勢手術などに充てています。また、施設で食べていたフードを与えて欲しいので、フードの購入も必要です。
犬の里親になるにあたっての注意事項
ペットショップで犬を買うのとは違い、保護犬は人を怖がったりトラウマを抱えていたりすることが多いです。そのため、最初は犬がどんな性格でどんな行動をするか注意深く観察しながら慎重に接することを心がけてください。
急に飼い主や環境が変わるとストレスを感じる犬も多くいます。慣れるまで場合によっては年単位で時間を費やすことを覚悟で受け入れましょう。
いきなり正式に受け入れるのが不安な人は、「トライアル期間」を設けている譲渡元で犬を探すことをおすすめします。
犬を受け入れる前に準備すること
犬を受け入れる前にハウス、トイレ、フード、リードなどの基本的な道具を揃えましょう。
犬の大きさや年齢、犬種によってサイズや種類は変わりますが、揃えるべきものはほとんど同じです。
譲渡元で使っている道具の種類を聞いて同じようなものを買ってもいいでしょう。フードに関しては、譲渡元で与えていたものを買うように指示される場合があります。
犬のことを考えて、快適に暮らせる環境をしっかり整えてください。
その他準備しておくと安心なのは「ペット保険」です。保護犬は病気を持っていることが多く、医療費がかかります。ペット保険に加入して少しでも医療費を抑えましょう。
また、万が一受け入れた犬を飼えなくなったときのために先に後継人を探しておくことをおすすめします。飼えなくなったときに急に探し始めても見つからないこともあるからです。
犬を受け入れた後に注意すること
保護犬は、飼育放棄をされたり劣悪な環境で育ったりした犬が多いため、心のケアが必要です。新しい環境に慣れてもらうために根気よく犬と向き合ってください。なかなか慣れてくれなくても無理にスキンシップを取ろうとせず、そっとしておくことをおすすめします。
また、ストレスで逃げてしまうかもしれませんので、万が一のことを考えて早い段階で写真を撮っておきましょう。
学生や社会人で一人暮らしの人はどうしても日中不在になりがちです。留守番が苦手な犬は飼い主がいないと不安で問題行動を起こしたり、ストレスで病気になったりすることがあります。最初はとくに、可能な限り在宅時間を増やし、犬に「安心できる場所」として認識してもらうようにしましょう。どうしても留守番の時間を短くできないときは、ペットシッターに来てもらうのも1つアイデアです。
普段困ったことがあればすぐ相談できるよう、譲渡元はもちろん口コミなどで信頼できるドッグトレーナーを探しておくのもいいでしょう。
準備万端で犬を迎え入れよう
犬の里親になるための条件や、一連の流れを紹介しました。独身一人暮らしの人は、譲渡元に相談の上で一定条件を満たせば里親になれますので、一度問い合わせてみましょう。
訳あって前の飼い主と離ればなれになった保護犬との生活は、大変なことが多いかもしれません。環境面や受け入れる心の準備など、犬を迎え入れる体制を整えてくださいね。
縁があって出会った犬との生活がスタートします。少しずつ信頼関係を築き、ある日懐いてくれる日が来たらこれほど嬉しいことはありません。愛情をたっぷり注いでお互いの距離を縮めてくださいね。