愛犬には、いつまでも元気でいてほしいもの。
しかし共に時間を過ごす中で、愛犬の体調不良や病気に悩まされることもあります。
このような状態を予防するためにはワクチン接種が必要です。
ワクチンを適切な回数で接種すると、深刻な問題を防げます。
ここでは犬に対して接種する効果的なワクチンの種類や値段、副作用などを解説します。
犬へのワクチン接種は国が義務&推奨している
接種義務がある狂犬病ワクチン
ワクチンとは、感染症の予防に使われる薬液のこと。
毒性を弱めた、あるいは毒性をなくした病原体が中に入っています。
犬に接種し、ウイルスへの免疫力を得ることで、病気の予防や重症化を防ぐ働きをします。
飼い犬には狂犬病ワクチンの接種義務があり、厚生労働省の狂犬病予防法により、年1回のワクチン接種が義務づけられています。
これは狂犬病は、ほぼ100%死に至る病気のためです。
また犬だけではなく、狂犬病の犬にかまれた人も感染してしまうため、十分に注意する必要があります。
このような理由から、飼い主が犬にワクチンを打たなかった場合は、20万円以下の罰金を命じられることもあります。
接種が推奨されている2つの混合ワクチン
接種義務はありませんが、コアワクチンとノンコアワクチンという混合ワクチンの接種が、推奨されています。
混合ワクチンには2種混合から11種混合までの種類があり、いくつかの病気に効果があるワクチンを組み合わせたものから成り立っています。
コアワクチンは、強く推奨されている混合ワクチンです。
コアワクチンを接種することで、犬ジステンパーウイルスや犬パルボウイルスといった病気の予防につながります。
犬ジステンパーウイルスは発熱、下痢などの症状が現れ、進行するとけいれんや麻痺が生じる危険性があります。
特に子犬が感染すると、重症化・死亡するケースも。また、犬パルボウイルスも、嘔吐や血便などが起こります。
子犬や抵抗力が弱い犬が感染しやすく、死に至るケースもあるのです。
飼い主の手や服などに付いたウイルスから感染することもめずらしくないため、細心の注意が必要。
一方、ノンコアワクチンは、特定の感染症に対して効果を発揮します。
例えば、下痢や嘔吐を伴う、犬コロナウイルスや咳・鼻水などが生じる、犬パラインフルエンザの予防が期待されています。
特に多頭飼いをしている場合は、これらの病気の感染のリスクが高くなるため、ワクチンの接種がおすすめです。
犬のワクチン接種の流れなどを知りたい
狂犬病ワクチンは自治体や動物病院で受けられる
狂犬病ワクチンは、生後90日以上の犬の接種が義務付けられています。
自治体の集団接種の場合は、公園や公民館などで毎年4月~6月頃に実施されます。
集団接種の狂犬病ワクチン接種は、自治体より飼い主宅へ案内が届くのが一般的です。
集団接種を希望するためには、犬を迎えたら30日以内に市町村の窓口へ登録手続きを行いましょう。
犬を迎えたばかりで、登録手続きをまだ行っていないこともあるかと思います。
そのような場合、自治体の狂犬病ワクチン接種であれば、登録とワクチンを同時に行うことも可能です。
一方、狂犬病ワクチンは、動物病院でも受けることができます。
通年受け付けているので、飼い主や犬の都合の良い日時を選ぶことができるというメリットがあります。
無事に接種が終わると、注射済票が交付されるので、首輪などに付けて大切に保管してくださいね。
混合ワクチンは主に動物病院で接種
混合ワクチンを希望する場合は、動物病院での接種が可能です。
コアワクチンにするか、あるいはノンコアワクチンを打つかという、どの種類のワクチンを受けるかは、個体によって異なります。
コアワクチンもノンコアワクチンも推奨されているワクチンですが、それぞれの犬の状態や生活環境によって接種が適切か否かは異なるため、獣医師と相談して決めるのが効果的です。
コアワクチンもノンコアワクチンも、接種は通年受け付けています。
そのため、犬の健康状態が良いときに打っておくと安心です。
ワクチンの接種後は、動物病院がワクチン証明書を発行してくれます。
狂犬病ワクチンのように接種義務はないものの、ドッグランやペットホテルなどを利用する際にワクチン証明書の提示が求められることがあるため、紛失しないよう注意してください。
ピースワンコの保護犬はワクチン管理を行っている
愛犬は、必ずしもペットショップから購入するとは限りません。
友人や知人の家から引き取ることもあれば、譲渡会などで保護犬を迎えるという選択肢もあります。
中でも保護犬の迎え入れを検討している場合は、保護施設できちんとワクチン接種を行っているか、心配な方もいるでしょう。
広島県を中心に活動しているピースワンコ・ジャパンが保護している犬は、検疫施設にて混合ワクチンの接種をしています。
診療所も設置しており、獣医師が常に健康管理を行っているため、安心して里親が迎え入れることができます。
また愛護センターから引き出した犬は、生後3週間以内に狂犬病ワクチンも打ち、自治体に登録しています。
狂犬病ワクチンと混合ワクチンの値段は?
ワクチンの値段は、狂犬病ワクチンと混合ワクチンで異なります。
一般的に、狂犬病ワクチンの値段は3,000円程度です。
自治体、動物病院それぞれほぼ同じ費用相場ですが、動物病院の方が少し高い傾向が見られます。
一方、混合ワクチンの値段は、狂犬病ワクチンのように一律ではありません。
なぜなら、混合ワクチンの場合はワクチンの組み合わせ数によって、値段が違ってくるからです。
例えば、2種混合~8種混合までを参考にすると、3,000円~1万円程度だと言われています。
しかし、多くの場合は5種混合~8種混合を選ぶことが多いとされており、5,000円~1万円程度だと思っておくといいでしょう。
なお、愛犬をドッグサロンなどの他の犬と触れ合う可能性のある場所によく連れて行く場合は、3種混合以上のワクチンを接種していることが求められるケースもあります。
値段だけに焦点を当てるのではなく、愛犬の生活スタイルに合わせたワクチンの予算を検討しておくことが重要です。
ワクチンの適切な接種回数とは
狂犬病ワクチンと混合ワクチンでは回数が異なる
狂犬病ワクチンは国の法律で定められているように、年に1回必ず接種しなければなりません。
しかし、混合ワクチンは、それぞれの犬の状態や個体差が影響します。
中でも、コアワクチンは効果が長持ちしやすいと言われているため、3年に1回の接種が推奨されています。
一方、ノンコアワクチンは、特定の感染症の予防のために打つワクチンです。
そのため、通常よりも感染リスクが高いと思われる場合に打つのがより良いとされており、年に1回の接種が勧められています。
また、コアワクチンとノンコアワクチンの推奨回数は示されているものの、犬によって十分な抗体を持っている可能性もあります。
その際は無理に接種せず、見送る選択をすることが最善です。
理由は抗体が十分あるにも関わらずワクチンを接種すると、過剰摂取になることがあるためです。
過剰摂取は副作用のリスクを上げるとされているため、ワクチンの回数のみにこだわりすぎない方が良いでしょう。
犬に抗体があるか確認するには、定期健診などに合わせて抗体検査を行うことがおすすめです。
抗体検査をすると、犬が持っている抗体の量を知ることができます。
それを参考、適切な頻度でワクチンを接種することができるように、獣医師と相談しながら決めてください。
ワクチンの副作用について理解しておく
ワクチンは、犬の病気を予防する大切なものです。
しかし、犬によっては副作用が出ることもあります。
ワクチンの副作用にはさまざまな例がありますが、代表的なものとして発熱や下痢、嘔吐、元気がなくなるといった症状が見られます。
場合によっては副作用がひどく出ることもあるため、愛犬を苦しませないためにも、健康状態が良いときに打ってもらうことを心がけてくださいね。
また、ワクチン接種前にシャンプーをしたり、興奮する出来事が起きたりすると、思いがけず犬がストレスを抱えてしまうことも。
そのため接種前はいつもと違う環境は控えることが重要です。
さらに、ワクチン接種の際は接種当日や接種後にも十分気を配ってください。
例えば、激しい運動を控えるなどです。
また、ワクチンを打った当日は何も起こらなくても、数日後に副作用が生じることもあります。
飼い主が少しでも愛犬の状態が悪いと感じたときは、すみやかに獣医師に相談し、診察や処置を行ってもらいましょう。
犬のためのワクチンは飼い主の熟知が大切
愛犬と過ごす毎日は、幸せを感じられます。
しかし、犬を迎える生活は楽しいことばかりではありません。
人間と同じように、環境や状況によってストレスを味わうこともありますし、病気になる場合も少なくないのです。
それらを少しでも予防するために、飼い主はワクチン接種に対して十分な知識を持つことが求められます。