広島県の動物愛護センターからピースワンコ・ジャパンの保護施設に入ってくる犬の数が、このところ急増している。毎週火曜にスタッフが引き取りに出向いているが、11月は計67頭、さらに12月は前半の2週だけで70頭にのぼった。その7割をまだあどけない子犬が占める。
4月に県内の殺処分対象犬の全頭引き取りを始めてから、保護した犬の総数はすでに650頭を超えた。予想以上のハイペースで、年間の引き取りが昨年度の殺処分数を上回るのは間違いない。要因はいろいろあるだろうが、私たちが全頭引き取りを宣言したことで、「これで大丈夫」という一種の緩みのようなものが生じたとしたら、残念なことである。
ともあれ、私たちとしては、なんとしても殺処分ゼロを途切れさせないようにしなければならない。保護犬舎の増築も必要だが、新しい家族を見つけ、譲渡を加速することが最大の課題だ。
その拠点の一つとして、12月20日、東京・世田谷区にピースワンコの新しい保護犬譲渡センターがオープンする運びになった。譲渡専用の施設としては、広島(広島市)、湘南(神奈川県藤沢市)に続き3カ所目、都内では初の開設となる。都会でも飼いやすい小型・中型の犬たちが常時5~8頭ほど、ここで里親さんとの出会いを待つ。
世田谷譲渡センターができるのは、東京農業大学や馬事公苑に近い静かな住宅地。商業施設の一角にある広島、湘南と違い、ペット可のマンションの1階にある。改装にあたって、周囲の住民のみなさんに迷惑をかけないよう、壁や天井に入念な防音工事を施した。広さは約68平方メートルあり、これまでで最も広い。明るい色調の店内には、大小8つの犬舎のほか、保護犬と触れ合える5畳ほどのフリースペース、ミーティングスペースなどがある。
世田谷はもともとピースワンコの支援者が多い地域。工事はまだ終わっていないが、そばを通る人に「何ができるの?」と声をかけられることも多く、手ごたえは悪くない。お隣が動物病院というのも、いざというときに心強い。
東京では小池百合子知事が「殺処分ゼロ」をめざすと宣言した。広島から一方的に犬を連れて行くのではなく、少数でも東京で殺処分になってしまう犬を引き取り、湘南と同じように相互協力の形を作りたいと考えている。犬との望ましい付き合い方や、アニマル・ウェルフェアに関する情報発信にも力を入れるつもりだ。ピースワンコの新たな看板施設として、多くの方に訪れてもらえる場所にしたい。
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