広島県神石高原町は、積雪もなく、比較的暖かい2017年の正月を迎えた。ピースワンコ・ジャパンの施設では、約900頭の保護犬たちがスタッフと一緒に年を越した。
一年前の今ごろは、施設で保護する犬はまだ200頭ほどだった。昨年4月、広島県で殺処分対象になったすべての犬の引き取りを始めてから、頭数が急増。特に12月は県内3カ所の動物愛護センターと神奈川県動物保護センターからの引き取りが、計200頭を大きく超えた。全体で40人ほどになったスタッフも日夜奮闘しているが、「殺処分ゼロ」を維持するために厳しい試練が続いている。
一方で、活動に対する共感と支援は着実に広がってきた。ふるさと納税を通じた寄付の申し込みは、昨年1年間で約5億円に達した。プロジェクトを継続的な寄付で支えてくださる「ワンだふるサポーター」の会員も、1万人の大台に乗った。12月20日に開設されたばかりの東京・世田谷の譲渡センターには、年末年始も連日たくさんの里親希望の方が訪れ、第一号として「としき」と「ドイル」の2頭が1月7日に卒業。他にも6頭に声がかかり、まずは順調な滑り出しだ。
今年、ピースワンコはさらに活動を拡大する。譲渡センターや犬舎の増設を急ぎ、広島での殺処分ゼロを是が非でも継続することが第一の使命。そして、全国から殺処分をなくすという次の目標に向けても、各地の保護団体との協力を少しずつ広げていこうと考えている。
1月6日の夜に開いたピースワンコの年始ミーティングでは、一人ひとりのスタッフが目標を発表した。
自分が担当する犬のトレーニングを課題に挙げる者もいれば、動物看護師の資格を持つスタッフからは「採血のときの保定(犬が動かないように抱えること)をもっと上手にしたい」「感染症の兆候を見逃さず、深刻な状態になる前に対処できるようにしたい」などの声が出た。また、人馴れした子犬の譲渡を進めるため、犬たちのプロフィールをスタッフ間で共有し、SNSなどによる情報発信の頻度を高めることも目標として掲げられた。
年齢的に先輩格のスタッフからは、「同じエリアを担当するスタッフ間の風通しをよくする。目の前の犬の世話だけでなく、全体を俯瞰した仕事を心がけたい」「春に入ってくる新人を自分たちで育てていく」という頼もしい発言もあった。それぞれが自分の役割を見つめ、どう貢献できるかを考えるのは、大切なことだ。
幸いにして全国の数多くの方々にご支援いただき、活動を続けられていることを本当にありがたく思う。今後、保護犬の数が2000頭以上に達することも覚悟しているが、1000日以内に譲渡センターを10カ所以上に増やし、年間の引き取り数と譲渡数を均衡させる計画だ。また、病気や高齢などのため里親さんが見つからない犬たちも幸せな生涯をまっとうできるように、老犬介護の施設も作る必要がある。引き続き目標の実現に全力を尽くすことを、私も年頭にあたって誓いたい。
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