4月28日、広島県福山市の市街地にピースワンコ・ジャパンの保護犬譲渡センターがオープンした。里親さんとの出会いの場となる譲渡センターの開設は、昨年暮れの東京・世田谷に続き4カ所目。神石高原町のシェルターから車で約1時間と近く、足元での譲渡を進めるための待望の拠点である。
福山譲渡センターは、JR福山駅から東へ約2.5km。商店、住宅、工場などが混在する地域にある。同じ敷地内には接骨院、インドアテニススクール、ホットヨガ教室が相次いでオープンし、健康やスポーツに関心の高い人が多く集まる場所になりそうだ。
鉄骨平屋建てで面積は約116平方メートルあり、既存の各譲渡センターと比べて最も広い。保護犬用の14の個室のほか、犬とふれあえる2カ所のリビングスペース、ミーティングスペース、さらにトリミングルームも備えている。保護犬と里親さんとのマッチングを進めるだけでなく、犬との適切なかかわり方や、動物本来の性質を尊重する「アニマル・ウェルフェア」の考え方についての、情報発信の拠点にもしたいと考えている。
朝日新聞をはじめ地元メディアでも報道され、オープン後すぐに迎えたゴールデンウィークは、多くの里親希望者や見学者などでにぎわった。特にボランティア登録をしてくださる方が多く、さっそく犬たちの散歩に活躍してもらっている。
福山市は、広島県で2番目の約47万の人口を抱える、県東部の中核都市。新幹線の駅や高速道路のインターチェンジもあり、交通の便がよい。神石高原まではなかなか来られないという人も、福山になら気軽に足を運んでもらえる。他の譲渡センターに比べると犬の移動もしやすく、まさにピースワンコの「アンテナ」として、さまざまな接点づくりに活用できそうだ。
ピースワンコ事業で犬の保護・譲渡活動を始めた2012年以降、当初30%台だった譲渡・返還率は、広島と湘南の譲渡センターを開いた2014年には約67%、15年も60%と比較的順調に推移した。しかし、県内の殺処分対象犬の全頭引き取りを始めた16年は、保護数の増加ペースが譲渡・返還数の伸びを大きく上回った。譲渡・返還率を再び5割以上に引き上げることが当面の目標である。
福山譲渡センターの効果ではないが、4月の1カ月間にピースワンコを「卒業」した犬は過去最多の27頭を数えた。5月も前半は同じようなペースが続いている。福山を含む各譲渡センターがしっかりと役割を果たし、理解ある里親さんとの出会いをどんどん増やしていきたい。
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