2014年12月24日、湘は、元々は人に飼われていたワンコです。飼い主さんの病気入院などにより、動物愛護センターに引き取られ、ピースワンコで保護しました。
保護当時はスタッフにも他のワンコにも警戒心が強く、近づくと噛みつこうとするようなワンコでした。
そのため、お散歩のときに他のワンコとすれ違う一瞬のときでも、スタッフは気を配りながらお世話をしていたほどでした。
●つらい経験をしてきた彼だからこそ、幸せを感じてほしい。ワンだふるファミリーの仲間に。
保護した犬の中には、「高齢」や「病気・障がいを抱えている」そして、湘のように、「気性難」などにより、長い間、家族に恵まれない犬がいます。
スタッフは、新しい家族を見付けることが難しい湘に「そんな彼だからこそ、遠くからでも寄り添ってくれる、家族を見付けてあげたい。少しでも幸せを感じて欲しい。」という思いを込めて、ワンだふるファミリーの仲間に入れることにしました。
湘のワンだふるファミリーさまに贈った会員証明書
●気持ちの余裕も生まれ、他者への寛容の気持ちが。
これまで他のワンコとすれ違う際にも細心の注意が必要でしたが、ピースワンコでの暮らして5年以上の月日が流れたころ、他の一部のワンコとも一緒に、楽しく遊ぶことができるようになりました。
そして、馴れたスタッフであれば、わしゃわしゃと触っても怒ることなく、嬉しそうにしてくれるようになったのです。
友だちワンコと神石高原シェルターにて
湘の怒りっぽいところは、彼の一部にしか過ぎないということを実感し、私たちスタッフのことも成長させてくれました。
自分以外の他者全てを敵視しているような保護当初の彼の姿は、日々を重ねるごとに、薄れていきました。
●湘くんの幸せを、諦めない。長い月日で繋がった「幸せ」
歴代のお世話スタッフ、そして何よりも、湘のたくさんのワンだふるファミリーの皆さまが、彼の「個性」に親しみ、真心で彼の日常を支えてくださいました。
日々たゆまずに寄せられる、湘に対する「幸せ」を願う気持ちは、保護から約8年以上が経過した今年5月、ついに、一組の心優しいご家族のもとに繋がりました。
●今は亡き、愛犬とのかけがえのない日々
新しい里親様は、湘を家族に迎え入れる前に保護犬を家族に迎え入れ、12年間を過ごされたそうです。
先代犬の生涯を振り返り、お話してくださったエピソードの中には、湘の姿にも重なる部分がありました。
それは、湘の気性の荒い性格を、愛で包み込む里親様の思いから、知ることが出来ました。
「あの子(先代犬)も、ときに歯が出てしまう性格でした。けれど、なによりも私たち家族を幸せにしてくれた、大きな存在でした。—スタッフさんから性格のことの説明も受けましたが、そんな湘のことを、怖いとは思いませんでした。身を守るためにそうしていると理解しているからです。」
今は亡き愛犬の姿と重なる湘の性格を、温かい愛情で包み込んでくださいました。
●彼のありのまま受け入れてくれた、ご家族のもとで
徐々に穏やかな気持ちで一日の大半を過ごすことが出来るようになった湘ですが、それでもシャンプーや診察の時、また、抱っこや足の裏を拭くことは嫌がります。
けれど、そういったところも彼の性格のひとつとして、ご理解を示してくださった里親さんの優しさは、真っ直ぐに彼自身にも伝わっているようで、おうちの中では、ずっと里親様にくっついて回っているそうです。
卒業してまだ数週間も経たないうちから、お留守番の際は寂しくて鳴いてしまったり、家に帰ると顔をペロペロして大喜びしてくれるとのこと。
息子さんのことも大好きになったようで、なんと、チュウまでしてくれると、近況を報告してくださいました。
●あの子も空の上で、きっと見守ってくれている
湘と里親様を繋いでくれたのは、もしかしたら、お空の上で見守ってくれている、今は亡き先代ワンコの計らいかもしれません。素敵な縁を結べたことを、彼も喜んでいてくれていたら、嬉しく思います。
ピースワンコで保護して以来、多くの先輩後輩ワンコの卒業を見送ってきた湘。やっと繋がった家族の温もりの中で、これからも湘らしく、健やかに過ごして欲しいと願っています。
湘の幸せを諦めず、私たちと共に命を繋いでくださった日本中の皆さまに、心から、感謝申し上げます。
湘!卒業、おめでとう!たまにはシェルターに遊びに来てね!
ピースワンコでは、様々な理由で譲渡が難しいワンコのために
シェルターでの生活をサポートしてくださる「ワンだふるファミリー」を募集しています。