私たちは広島県からの要請を受けて、いまも定期的に動物愛護センターから殺処分予定のワンコたちを引き出しています。6月13日の引き出しも、たくさんの行き場のないワンコを助け出しました。9割は野犬ですが、飼い主に棄てられたワンコもいました。くくり罠での外傷がある子、医療処置がされていない高齢犬、様々な疾病を患うワンコたち。猶予期限もない子たちです。
「野犬が全国的に殺処分になっているので、野犬を保護して、人に馴らして、譲渡に出していく。そういう良い循環をつくっていきたい。日本に野犬を迎える文化を創造していきたいです。」
ピースワンコ・ジャパン プロジェクトリーダーの安倍誠はそう語ります。
野犬の子は人と接したことがないので、人が怖くて怯えて、身を守ろうとして噛む子もいます。この日、安倍は何度も噛まれました。噛まれた腕は傷だらけ。スタッフが心配すると、
「全然大丈夫。痛くもかゆくもないです。かすり傷です。傷のうちに入らないです。」
安倍は全く意に介さずに淡々と答えました。どんなに牙を向けられても、ワンコたちに優しく愛情を持って向き合っていきます。
「ドリームボックスと呼ばれる殺処分機は、二酸化炭素を注入して殺処分を行います。ナチスのアウシュビッツの虐殺の際は一酸化炭素が使われましたが、処分の方法はほとんど一緒。半世紀も前の人類の過ちを未だに日本で、日本人が行っている。恥ずかしいよね。文化的には後進国だなあと思います」
「殺処分も動物に対する差別。弱い立場の命を人間の都合で処分しているという感じ。殺処分はどんな方法でも残酷であることは変わらないから、肯定できない。変えなきゃいけない問題でもある」
「たくさんの方に支えて頂いているおかげで、広島は7年以上、殺処分機の稼働が止まっています。これを永久に維持して、全国に殺処分ゼロを目指して拡げていきたい」安倍はそう語ります。
広島県内にある複数の動物愛護センターからワンコたちを引き出した後、神石高原シェルターに戻って、獣医師と共に1頭1頭、診察や必要な処置を行います。この日は緊急引き出し要請があったワンコも助け出したため、診察は深夜まで続きました。
安倍の想いは、ピースワンコの想いです。動画からもぜひご覧ください。