元野犬のワンコたちを見て「怖がっていて可哀想…」そう仰る方が多くいます。
野生として生まれたワンコたちは、初めての【物や人】【環境】を怖がることで自分の身を守り懸命に生き抜いてきたので、安心だと分かるまで怖がってしまうのは当たり前なんです。頭で分かっていても、端っこで固まって震えているワンコの姿を見ると、可哀想に感じてしまいますよね。
ピースワンコ・ジャパン世田谷譲渡センターで里親募集中の「ミシェル」も、そんな怖がりなワンコです。
「ミシェル」がどんなふうに成長していったのか、ご紹介させていただきます。
東京都世田谷区にある世田谷譲渡センターは、車通りや人通りの多い住宅街に建っています。ワンコたちの故郷である広島県の神石高原シェルターのように自然がいっぱいな環境ではないので、神石から世田谷にやってきたばかりのワンコは、異なる環境にドキドキすることが多いです。
「ミシェル」が世田谷にお引越ししてきたのは2024年の2月中旬。移動してきた当初、「ミシェル」は人が近くに来たり身体に触れたりするたびに、ビクッと大きく緊張し、抵抗がある様子でした。
散歩に連れていくためにスタッフがハーネスをつけようと近付いただけで、緊張感をあらわにしていた「ミシェル」。少しでも怖がらないようにストレスにならないように、スタッフはゆっくり静かに近寄ってハーネスを優しく装着しました。「ミシェル」は、「大好きなお散歩にいけるから、緊張するけど頑張る…」そんな風に言っているように見えました。
世田谷譲渡センターには「ミシェル」のほかに、「ガイア」や「ももか」「アリ」など、人に寄ってきて甘えるワンコたちがいます。
ある日のこと。「ガイア」たちがスタッフに甘えている様子を「ミシェル」が後ろの方で、不思議そうにじっと見つめていました。
スタッフは「ミシェル」に特別な対応はせず、いつものように接していました。すると「ミシェル」はスタッフの背中の匂いを嗅ぎ始め、緊張で張りつめていた表情が少しずつ変化し、気が付くとスタッフのすぐ近くに来ていました。
そしてとうとう、「ミシェル」の方から近寄ってきてくれるようになったのです!
センターで暮らしているワンコたちが「ここは安心できる場所だよ!」と「ミシェル」に教えてくれているのかもしれませんね。
今では、スタッフがハーネスを持つと、尻尾をフリフリしながら近付いて装着させてくれるようになりました。そして、スタッフの横に伏せながら「触って!」と撫でるのを催促したり、オヤツをおねだりしたり。すっかり甘えん坊さんになりました!
大好きなお散歩も、途中で工事音やバスの発車音など大きな音がしても動じずに、スタッフとアイコンタクトを取りながらニコニコと楽しそうに上手に歩いています。
ワンコたちは、人を信じて、日々成長してくれています。
数日間で一気に成長した「ミシェル」の変化に感動しながら、「ワンコが持つ可能性」を信じたい、と改めて強く思う機会になりました。
「ミシェル」に優しく寄り添ってくれるご家族とのご縁が、少しでも早く繋がるように、スタッフ一同心から願っています!
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