汚れてボロボロになってもわが子を守ろうとする母犬との出会い。
動物愛護センターで出会った1頭の母犬。それは同時に、ボロボロになった母犬の下に隠れていた、2頭の子犬たちとの出会いでした。不衛生な環境下で暮らしていたと思われる、お母さんと生後数週間の子どもたち。急いで施設へと連れて帰り、すぐに獣医師による健康状態の確認を行います。
動物愛護センターから連れ帰った保護犬は、感染症の確認やワクチン接種、マイクロチップの埋め込みなどを行い、少なくとも2週間を検疫犬舎という場所で暮らします。犬舎で働くのは、これまで数多くのワンコたちを迎えてきたスタッフたち。ピースワンコに到着したその瞬間から、人との距離を縮めるトレーニングが始まります 初日は近づくだけで唸ったり吠えていた母犬。ご飯もうまくあげられるんだろうか…とスタッフも不安になるほどでしたが、時間をかけて「ここは安全な場所なんだ」と分かってもらえるように接することで、少しずつ落ち着いてきた様子。
ピースワンコに来て数週間、スタッフが仔犬の面倒を見ることを母犬は少しずつ許してくれるようになってきました
2頭の兄弟犬を引き取ってくれるすてきな里親さんが現れた!
母犬はまだ譲渡できる状態にはありませんが、仔犬たちには最適な家族が見つかるかもしれないと福山譲渡センターへ。福山譲渡センターは、譲渡できる段階になった保護犬たちが、未来の里親さんと触れ合う出会いの場です。ワンコたちはこの場所でたくさんのお客さんと触れ合い、卒業に向けた最後のトレーニングを行います。
さっそく、2頭の仔犬には理想的な里親さん候補が見つかりました
怖いもの知らずで、何にでも立ち向かっていく2頭の兄弟犬。ずっと一緒に遊んでいるほど仲が良く、そろって同じ里親さんに引き取ってもらえることは、スタッフとしてもうれしい出来事でした。
里親になってくれたのは、以前にも保護犬と暮らした経験のある素敵なご家族。「ころすけ」と「いのすけ」というかわいい名前もプレゼントされました。
最初は1頭だけを引き取りたいと考えていた里親家族のお母さん。しかし、それに待ったをかけたのは、3人兄弟のお兄ちゃんでした。
「この子にしようかと言ったとき、いのすけが「えっ?」っていう目をしたのを見て、置いていけないと思ったって言っていました。そんな風に見えた?って聞いたら、見えたんじゃなくて、本当にそんな目をしてたって言うから。兄弟で一緒の方が、この子たちにとってもだぶんいいかな〜」と話してくれました。
保護犬を引き取ること。それは大切な命を預かるということ
しかし、かわいいからという理由だけで譲渡はできません。2頭を生涯お世話できる環境が整っているかをスタッフが入念に確認し、先住犬や家族との相性をみるトライアル期間を設けました。すべての課題をクリアし、最後のサインを交わします。
「2頭の引き取りは予想外だったけど、今いる先住犬の遊び仲間がいたらいいなと思ったのがきっかけで。お散歩できるようになったら、家族みんなで3頭を連れて散歩したいなとか、ドッグランに行きたいなとか、一緒にお出かけするのがすごく楽しみですね。もちろん毛が抜けるとかありますけど、何にも変えがたいものがありますよね。子どもたちと一緒に成長していってくれるのも楽しみですし。幸せですね、この子たちがいてくれたら」とお母さん。
犬と人、両方の幸せを願って。ピースワンコ・ジャパンの挑戦は続く
ボロボロになり、殺処分寸前だった2つの命。母犬がつないだ2つの命は、たっぷり愛情を注いでくれる素敵な里親さんの元へと旅立って行きました。そのしらせを受け、担当スタッフも喜びます。
「すごくよかったです。もしかしたら、もうちょっと子どもたちと一緒に過ごしたかったかもしれないなという気持ちもあるんですけど。きっとうさぎ(母犬)も喜んでいるはず。うさぎは、初対面の人に対して怖がるところがあるので、もう少し状態が落ち着いてから新しい譲渡先を探そうと思っています。ワンコたちそれぞれに適した譲渡先を見つけることが我々の使命。今後も引き続き探していきたいと思います」
ワンコと人、両方の幸せを願う私たちの挑戦はこれからも続きます。
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