犬猫の殺処分ゼロを広島から全国へ広げるために、私たちが重要なポイントと考えるのが、志を同じくする各地の団体との連携である。2020年までに日本で殺処分ゼロを実現するという目標を昨年打ち出した際にも、譲渡センターの新設や人材育成などと並んで重点項目に挙げた。
その具体策として、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は2月1日、民間非営利団体の殺処分ゼロに向けたさまざまな取り組みを応援する「殺処分ゼロ・チャレンジ推進助成事業」の立ち上げを、ウェブサイト上で発表した。3月15日まで申請を受け付ける。
広島の山間部でシェルターを運営し、保護した犬たちに首都圏を含む都市部の譲渡センターで新しい家族を見つける活動は、譲渡のペースアップという大きな課題はあるが、一定の成果をあげてきた。しかし、全国でいまだに8万頭を超える犬猫の殺処分をなくすには、自分たちの努力だけでは到底らちが明かない。各地の団体とパートナーとして手を組み、力を合わせてゴールを目指す戦略が欠かせない。
助成の対象となる活動は、犬猫の引き取りや譲渡、啓発活動、人材育成など、殺処分ゼロを目指すものであれば種類を問わない。新しい発想や先進性があり、継続した取り組みにつながる内容を期待している。助成金額は1件当たり300万円まで。人件費や備品の購入費、広告宣伝費など、使途に制限はない。初年度は5-10件程度の支援を想定しているが、すでに何件か問い合わせが入り、関心の高さを感じている。
助成事業とは別に、熊本では震災支援の一環で地元の団体「ドッグレスキュー熊本」の活動に今月から協力している。当面1年間は、被災した飼い主から一時預かりしている32頭の犬の飼育を支援する計画だが、ゆくゆくはシェルターや譲渡センターの開設など、熊本の殺処分ゼロに向けた取り組みでも連携したいと考えている。
PWJは17年前、当初から手掛けている国際協力の分野で「ジャパン・プラットフォーム」という組織の立ち上げに参画した。外務省のODA(途上国援助)資金や民間の寄付金を集め、難民などの緊急支援にあたる日本のNGOに助成する仕組みだ。これまでに400億円以上がNGOに流れて活動を後押ししただけでなく、NGO同士が競争し切磋琢磨することで、活動の質の向上にもつながった。
とかく横の連携が弱いと言われる動物福祉の分野でも、資金やノウハウを結集して分配する「プラットフォーム(土台)」を構築できれば、同じような成果が期待できる。助成や事業協力の先に、そんな将来の姿も展望している。
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