犬との出会い 気づくといつも、そばには犬が

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物心ついた頃から、犬と暮らす生活がありました。記憶をたどってみたいと思います。
 
最初の犬は父が知人からもらったオスの三河犬の「クロ」。
 
 両親が共働きで、幼稚園の頃から「かぎっ子」生活だった私にとって、クロは何でも話を聞いてくれる、いいお兄ちゃん的存在でした。両親の帰りが遅くなったある夜、私がクロと肩を並べて座り、幼稚園で上手くできない鉄棒の話をしていたそうです。
 
 2頭目はわが家にやってきたというより、私が拾ってきた雑種のメス「コロ」。新興住宅街に住んでいた私は、当時はその住宅街に小学校がなかったため、子供の足で片道40分かけて最寄りの小学校へ通っていました。往きは集団登校ですが、帰りは必ずと言っていいほど寄り道をしながら帰ります。
 
 ある日の帰り道、子犬が4頭入っている段ボールを友達とみつけました。私たちは拾い上げ、その子犬たちを飼ってくれる家を探して歩きました。垂れ耳で白くてモコモコしているその子犬たちのうち、幸い3頭はすぐにもらい手が決まり、残り1頭となりました。頭にボーダーコリーのような茶色のハチ割れ模様があり、一番コロコロしていたその子を私が持って帰ることにしました。これで家には2頭の犬がいる状況に。コロの面倒は私がみるようにと、母が「犬の飼い方」という本を買い与えてくれました。それが私のバイブルとなりました。
 
学校の帰り道の犬、急に会えなくなった日
 その後も私の寄り道は続きます。
 
 よく行く池の近くで白い犬に出会いました。1歩近づくと1歩離れる。なかなか近くに行くこともできないその犬は、野犬だったのかもしれません。給食のパンを残していたことを思い出し、パンをちぎっては投げ、犬にあげていました。
 
 そんなことが数日続き、もう少しでさわれるかもしれない距離まで近づくことができるようになっていました。
 
 ある日、放課後に私の地域の子供たちだけが、学校に残されました。「帰っていい」と言われるまで校庭で遊んでいました。そして先生の「帰ってもいいよ」という声かけを聞いて、私は一目散にあの池に向かいました。
 
 いつもなら私のパンを待っていてくれていたのに、この日はいません。「いつもと時間が違うからいないのかな」と思い、その日は帰宅しました。
 
 母に、なぜ今日の放課後は学校に残されたのかをたずねたら、「野犬狩りがあるから子供たちは危ないので、終わるまで学校で待たせます」というお便りがあったらしいのです。その日を境に、あの池で白い犬には二度と会えませんでした。
 
犬が教えてくれた、「においの世界」
 中学生になり、13歳になったクロとの別れがあり、犬の寿命は人よりも短いことを知りました。
 
 そして両親の知人が離婚することになり、飼えなくなったという1歳のメスのゴールデンレトリバー「イヴ」がやってきたり、秋田犬の「小鉄」を迎えることになったりと、わが家では犬がいないという生活がありませんでした。
 

 
 秋田犬の小鉄と散歩をすると、面白いことがたくさん起こりました。なんでもにおいを嗅ぐことが好きな小鉄が、雨上がりに川から上がってきていた亀のにおいを嗅ぎ、そのにおいを追い、驚いた亀が小鉄の鼻にかぶりついて離さなくなったこと。草むらの中を嗅いで財布を見つけ、一緒に警察に届けに行き、後日、落とし主からケーキをもらったこと……。「犬を飼う」ということで、人の日常生活の中では気づくことができない、においの世界を犬が教えてくれていたのだと、今になって気づきます。大切な思い出とともに。
 
 その後、実家を離れ、犬との暮らしが遠のいていたのですが、12年前に広島へ移住し、大人になってからの初めての犬、『ボーダーコリー』を迎えたことがきっかけで、私は住む場所も職業も変わりました。そして日本の犬猫がおかれていた現状を知ることになるのです。
 
 そのお話は、また次回ということで。
 

 

 
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