野良犬を保護するには?保護の方法や動物保護団体への支援方法を解説

「野良犬を発見したときはどうすればいいのか」「保護した犬は飼えるのだろうか」と疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。

昔ほどは見かけなくなったかもしれませんが、今でも野良犬は存在しています。
野良犬は保健所に保護されたとしても、飼い主が見つからなければ殺処分されてしまうのです。

本記事では、野良犬を発見した際の対処法やその後の流れ、動物保護団体の活動内容を解説します。
また、自分で保護する以外の支援方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

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野良犬の保護について知っておきたいこと

見つめ合う保護犬と動物保護団体のスタッフ

野良犬について知っておきたいこととして、以下のことを解説します。

  • 野良犬とは
  • 日本にいる野良犬の数

目にする機会が減った野良犬ですが、決していなくなったわけではありません。
また、野良犬と同じく野放しになっている野犬も、人を怖がる傾向にはありますが、保護犬として飼うことができます。

まずは、野良犬についての知識を得ましょう。

野良犬とは

野良犬とは、飼い主の元から脱走して迷子になった犬や、飼い主に捨てられた犬など、さまざまな理由で飼い主が分からない犬のことです。

一方で、同じく飼い主がいない犬として、野犬がいます。
野犬は野生で繁殖した犬のことをいい、人間に飼育された経験がありません。

そのため、人間への警戒心がとても強いです。
首輪をしていない限り、一目でその犬が野良犬なのか野犬なのかを判断することは難しいでしょう。

日本にいる野良犬の数

日本にいる野良犬の現状として環境省の調査によると、令和3年度に引き取られた犬は約2万4000頭います。
そのうち、所有者が不明な犬は約2万1000頭と引き取られた犬の数の大半を占めているのです(注1)。

犬・猫の引取り及び処分の状況
(出典:犬・猫の引取り及び処分の状況|環境省

引き取られた犬や猫は、元の飼い主に返還もしくは里親に譲渡されなければ、殺処分されてしまいます。

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野良犬を発見したらすべきこと

寂しそうにこちらを見つめる1匹の野良犬

野良犬を発見したときは、以下の行動をとりましょう。

  • 緊急性があれば保護する
  • 緊急性がなければ連絡する

基本的に野生で犬が長く生きるためには、以下のようなさまざまなリスクがあります。

  • 食べ物や飲み物の確保
  • 交通事故に遭う危険性
  • 病気にかかる可能性

たとえ保健所に保護されても、殺処分の対象になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、上記のようなリスクがあることを視野に入れ、目の前にある命を救うための行動を覚えておきましょう。

緊急性があれば保護する

緊急性がある場合は、一時保護も検討しましょう。
交通量が多い場所でさまよっている野良犬は交通事故に遭う危険性があり、連絡をして対応を待つ間に車にひかれてしまう可能性さえあります。

ほかにも、虐待を受けている場合や、灼熱や極寒など気温により衰弱している場合も緊急性があるかもしれません。

しかし、野良犬のなかには人間に馴れていない犬や、狂犬病のワクチン接種を受けていない犬もいます。
野良犬に近づく際は、不安感を与えないよう慎重に接するようにしましょう。

緊急性がなければ連絡する

緊急性がない場合は、警察・保健所・動物愛護センターなど公的機関に連絡しましょう。
連絡する際には、分かる範囲で以下のことを伝えます。

  • 発見した日時や場所
  • 首輪やリードの有無
  • 犬の特徴
  • ケガの有無
  • 犬が移動したらその方向

通常は警察が引き取った後に、保健所に連絡をして犬の引き取りが行われます。

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野良犬を保護したらすべきこと

何かに向かって走る2匹の野良犬

野良犬を保護したらすべきことは、以下のとおりです。

  • 自分で保護して飼う
  • 元の飼い主や里親を探す
  • 動物保護団体に相談する

殺処分を免れるために自分で保護したい場合や、自分が引き取りたい場合など、理由に関わらず、まずは警察に連絡をしてください。
動物も法律上は財産(所有物)になるため、犬も拾得物として扱われるからです(注2)。

さらに野良犬が人に慣れていたり迷い犬であったりする場合、飼い主が届け出を出している可能性も考えられるため、保健所にも伝えておきましょう。

自分で保護して飼う

自分で保護して飼う方法もあります。
犬を保護したら、まずは少しずつ水と食事を与え、健康診断やしつけなど必要なことを行います。

しかし、勝手に野良犬と判断し飼うことはできません。
まずは警察や保健所に連絡して、飼い主が見つかるまで保護することを伝えます。
警察に伝えた後、6ヶ月間飼い主が現れなければ、そこで初めて飼い主になれます。

仮に飼い主が見つかった場合は、保護している間にかかった費用を請求することができるため、 レシートなどを保管しておくことも重要です。

元の飼い主や里親を探す

警察や保健所に届け出をした後に、元の飼い主や里親を探すことも可能です。
大事に育てられていた犬の場合、飼い主が探していることが考えられます。

近年はインターネットが普及しているため、SNSで拡散することで家族のもとに早く帰れるかもしれません。
また、元の飼い主がいない場合でも、里親が見つかれば殺処分の対象から免れます。

動物保護団体に相談する

動物保護団体が保護の方法や里親の探し方など、相談に乗ってくれる場合があります。

ただし、動物保護団体は、行政から補助金などをもらっているところは少なく、命を救いたいという思いで日々活動しています。
犬の保護をお願いするのではなく、 自分が保護をするからアドバイスをもらいたいと相談してみるとよいでしょう。

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野良犬が動物愛護センターで保護された場合

ゲージの中から悲しげな表情で見つめる保護犬

野良犬が動物愛護センターで保護された場合の手順は、以下のとおりです。

  • 飼い主を探す
  • 動物保護団体が引き取る
  • 引き取り手がいなければ殺処分になる

動物愛護センターは自治体が運営しており、運営費用は税金でまかなわれています。
トレーニングを行うことはなく、病気やケガの治療も行いません。

そのため、攻撃的な犬も譲渡の対象にはならず、殺処分の対象になってしまうのです。

飼い主を探す

まずは元の飼い主を探すために、届け出がされていないかを確認し、無事に見つかると返還されます。
届け出がされていない場合は、一定期間収容され、引き取りたい人を待ちます。

自治体の中には譲渡会を開催するなど譲渡活動を行うところもありますが、予算も限られているため、積極的に活動するわけではありません。
あくまでもホームページ上で募集を行うのみです。

その後、引き取り手がいなければ殺処分されてしまいます。

動物保護団体が引き取る

動物保護団体に引き取られると、健康な生活が送れるだけでなく、新しい飼い主が見つかるようサポートもしてもらえます。
野良犬には身に付いていないしつけ、心や体のケアなど、人間と過ごすために必要なことが身に付き、心を開きやすくなります。

また、動物保護団体は引き取り手に対しても、動物の飼育に関する講習などを開催する場合が多いです。
引き取り手のサポートも行い、より保護犬が幸せに暮らせるよう支援してくれます。

引き取り手がいなければ殺処分になる

保健所や動物愛護センターでは収容できる数に限りがあり、保護期間を決めて数を制限する必要があるため、引き取り手がいなければ殺処分しなければならないのが現状です。
以下の場合、殺処分の対象です(注3)。

  • 譲渡することが適切ではない(病気や攻撃性)
  • 譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難
  • 大型などの理由により、適切な飼育管理ができない

現在、殺処分は炭酸ガスによる窒息死や薬による安楽死が行われていますが、できる限り苦痛を与えない方法が求められているため、殺処分の方法を見直す自治体も増えています。

殺処分の方法について理解を深めたい方は、こちらをご覧ください。
【残酷】安楽死と殺処分機は何が違うのか

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野良犬を保護する動物保護団体の活動とは

保護された野良犬と動物保護団体のスタッフ

野良犬を保護する動物保護団体の活動には、以下のことが挙げられます。

  • 動物愛護センターからの引き取り
  • 里親探し
  • 災害救助犬として育成する
  • 啓発活動

動物保護団体は、殺処分の対象となる動物を減らすためにさまざまな取り組みを行っています。
ただ命を守るだけでなく、保護犬の幸せや可能性を引き出すことも欠かせません。

それぞれの活動の内容についてみていきましょう。

動物愛護センターからの引き取り

動物愛護センターから引き取られた保護犬は、まず獣医師による健康診断を受けます。

  • ワクチン接種
  • マイクロチップの挿入
  • 必要に応じて病気やケガの治療

その後、一定期間は検疫施設で過ごし、健康状態に問題がなければシェルターに移ります。
基本的には食事や健康の管理、保護犬のトレーニング(しつけや散歩など)を行っていますが、なかには劣悪な環境で過ごしてきた犬も多いため、心や体のケアが必要な犬もいるのです。

ピースワンコ・ジャパンが行っている保護犬のトレーニングに興味がある方は、こちらをご覧ください。
【保護活動】くくり罠で大怪我をした「ハイビル」保護犬の未来を描く

里親探し

動物愛護センターから引き取った保護犬に、新しい家族を見つける活動を行っています。
譲渡会を開催したり、里親募集サイトで発信したりすることで里親を探します。

この譲渡会の開催にも費用がかかるため、寄付が必要なのです。
また、里親が見つかり譲渡した際は、譲渡後の相談を受けるサポートも行っています。

里親に興味がある方は、こちらをご覧ください。
保護犬たちの里親募集ページ

野犬や保護犬の飼育に不安がある方は、こちらをご覧ください。
【しつけ】野犬が普通に暮らせるトレーニングのやり方とは…【検証】野犬&保護犬は飼い犬ペットに向いてないのか?

災害救助犬として育成する

保護犬の里親探しだけではなく、災害救助犬として育成することもあります。
保護犬によっては優れた嗅覚を持つ犬もいるため、その特性を生かし、さまざまな災害で活躍できる災害救助犬として訓練するのです(注2)。

殺処分を目前に保護された野犬の夢之丞について興味がある方は、ぜひこちらをご覧ください。
殺処分を目前にして助けられた保護犬 夢之丞の物語 【ピースワンコ】

啓発活動

動物保護団体では、日本の殺処分や飼育などの現状を多くの人に知ってもらうために啓発活動を行っています。
啓発活動の一例は、以下のとおりです。

  • セミナーや講演会
  • 写真展
  • イベント
  • ホームページやSNS

飼い主のいない動物を増やさないよう、最後まで責任を持って飼育することの大切さを発信しています。

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野良犬を保護する以外にもできる支援方法

警戒した顔でおやつを見つめる保護犬

実際に野良犬を保護する以外にも、住む場所を問わず誰もができる支援方法があります。

  • ワンだふるサポーター
  • ワンだふるファミリー

これらは月額制で寄付を行い、保護犬の生活を支援します。
また、ピースワンコ・ジャパンの運営元であるピースウィンズ・ジャパンは「認定NPO法人」です。

寄付は税制優遇の対象となり、1年間で寄付した金額のうち2000円を超える部分については、最大で40%が税額から控除されます(注4)。
控除額は所得や居住地域によって異なるため、詳しくは税務署や自治体にお問い合わせください。

ワンだふるサポーター

ワンだふるサポーターとは、1日約30円(月1000円)からの寄付で保護犬たちの生活を支えるシステムです。
寄付は、保護犬に新しい家族が見つかるまでの飼育費や施設の運営費、災害救助犬の育成、啓発活動などに活用されます。

寄付金額に応じて、主に以下のことがサポートできます。

寄付金額 寄付でできること
1000円 犬1頭のフィラリア予防薬1年分
3000円 保護犬の血液検査1回分、犬1頭の避妊手術
1万円 1回分の狂犬病予防注射と混合ワクチン
1万5000円 3頭分のドッグフード約1ヶ月分

 

ワンだふるサポーターに興味がある方は、こちらをご覧ください。
ワンだふるサポーター特設ページ

ワンだふるファミリー

ワンだふるファミリーとは、高齢や病気、障害などの理由で家族に恵まれない犬を遠方から支援できるシステムです。
月々3000円を一口とし、ワンだふるファミリーではそれを「1パウ」と呼びます。

犬1頭が1ヶ月暮らすためには、最低10パウが必要です。
一人で10パウ、または複数のファミリーと合わせて10パウでも問題ありません。

ワンダふるファミリーの支援システム

ワンだふるファミリー
流れ 1:家族になりたい犬を選ぶ
2:申し込みフォーム記入・お支払い手続き
3:ファミリー証明書が届く
4:ブログや手紙で犬の日常を知り、時には交流する
特典 ・支援する犬のファミリー証明書(写真立て付き)がもらえる
・支援する犬から手紙が届く
・ブログで支援する犬の日常が見れる
・支援する犬に会える(犬の健康状態に応じて、神石高原町の犬舎にて)

 

ワンだふるファミリーに興味がある方は、こちらをご覧ください。
ワンだふるファミリーとは

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野良犬は保護する以外にも支援できる

撫でられて嬉しそうな保護犬

野良犬のなかにはトラウマにより人間に対して不信感を持っていたり、野犬で人間に警戒心を抱いていたりする場合もあるため、むやみに近づくことは危険です。

野良犬を発見した際は、状況に応じた対応をとりましょう。
また、保護された野良犬は、引き取る以外にも支援できる方法があります。

ピースワンコ・ジャパンでは、里親や寄付も受け付けております。
興味のある方は、ぜひご検討ください。

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