2024年4月17日

犬が嘔吐する原因は?自宅で様子見か病院を受診するべきか目安を解説【獣医師監修】

愛犬が突然吐いてしまって、あせったことはありませんか?犬は、口と胃が地面と水平なため、からだの構造上、人と比べて吐きやすい動物といえます。そのため、愛犬が嘔吐してもその原因が食べすぎや車酔いといった、あまり心配しなくてもよい場合と、嘔吐の原因が病気の可能性があり、すぐにでも病院で先生に診てもらったほうがよいケースもあります。
 
そこでこの記事では、動物病院を受診すべきか、自宅で様子見をしてよいかを見極めるポイントを解説します。愛犬が吐いてしまってもあせらず、最良の対応ができるように、ぜひ参考にしてみてください。
 

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犬が吐いた!どうすればいい?

愛犬が吐いたとき、飼い主としては犬の症状や吐いたものをよく観察して、病院に連れていくべきか、少し様子を見てもよいか判断することになります。その前に、まずは犬が吐いてしまったときの注意点について解説しましょう。

吐いた後は食事はひかえ、水分は少しずつ与える

犬が吐いた後は、半日程度食事は与えず、胃腸を休ませてあげてください。脱水を起こさないよう、水は少量を何回かに分けて与えましょう。半日経過し、犬に食欲が戻ってきたら食事を再開しますが、様子を見ながら少量ずつ与えるようにしてください。

吐いたものを食べたがるけれど、そのまま食べさせていいの?

嘔吐後に吐いたものを食べてしまう犬もいますが、嘔吐が起こったのは胃腸や内臓に何らかの異常があったためと考えられます。また、異物や中毒性のある食事を吐いた場合は、再び食べてしまうと危険です。犬が吐いた後は、嘔吐物から離し、食べさせないでください。

病院を受診すべき犬の嘔吐のチェックポイント

犬が嘔吐したとき、病院に連れていくべきかどうかのチェックポイントをみていきましょう。もしも下記のような症状がみられるときは、嘔吐の原因が病気の可能性があるので、できるだけ早く動物病院を受診してください。

●嘔吐を繰り返す
●1日に嘔吐する回数は少ないが、何日も嘔吐が続いている
●元気や食欲がない
●脱水を起こしていて、皮膚をつまむとなかなか戻らず、目がくぼんでいる
●発熱、下痢や腹痛などの症状がある
●水を飲んでも吐く
●吐いたものに血が混じっている
●吐いたものの中に虫がいる
●犬にとって危険な食べ物を食べた

犬はおなかが痛いとき、じっとして動かない、おなかを足でたたいたり顔を向けたりしている、おなかを触ると嫌がる、背中を丸めている、頭を低くしてお尻をあげ、祈るような姿勢をとるなどのサインを送ります。少し元気がないなと思ったら、サインを見逃さず、注意深く観察しましょう。

受診時に獣医師に伝えること

動物病院を受診するときは、嘔吐したときの状況を獣医師になるべく詳しく伝えましょう。伝えてほしいチェック項目は、以下のとおりです。

□嘔吐をする時間帯
□回数
□何日間嘔吐が続いているか
□嘔吐以外に腹痛や下痢などの消化器の異常があるか
□嘔吐物の色やにおい
□血や虫が混ざっていないか
□内容物

嘔吐物の色、においから考えられる病気の原因

嘔吐物の色やにおいで嘔吐の原因を予測できることもあります。動物病院にかかる際も診断のヒントになりますので、犬が嘔吐したら色や内容物をチェックするようにしてください。写真に撮って獣医に見てもらうことも効果的です。

白い泡や黄色い液体

白い泡は胃液で、黄色い液体は胆のうから腸管に分泌される腸液です。腸液は、胃の中が空っぽだと胃の中に逆流してきます。空腹で胃がムカムカして嘔吐した場合は、白い泡や黄色い液体の混ざったものを吐きます。

うんちのようなにおい

腸に腫瘍や異物などがあり、そこから先に食べ物が進まずに嘔吐を繰り返していると、腸の中にあるものが逆流するため、吐いたものはうんちのようなにおいがすることがあります。

鮮やな色の血

口の中や食道などに出血があると、嘔吐物に鮮やかな色の血が混ざることがあります。

赤黒い色の血

胃や腸などに出血があると、消化液と混ざったり嘔吐までに時間がかかったりするため、変色した色の血が混ざります。

病気が原因で起こる犬の嘔吐の例

犬の嘔吐の原因が病気の場合、以下のようなものがあります。

●消化器系の病気
●消化管以外の内臓の病気
●細菌やウイルスによる感染症
●食事によるもの
●代謝性、内分泌系の病気
●中枢神経系の病気
●誤嚥(ごえん)

それぞれ詳しくみていきましょう。

消化器系の病気

胃、小腸、大腸に炎症や腫瘍(しゅよう)、閉塞(へいそく)といった病気があると、嘔吐することがあります。

胃拡張・胃捻転症候群

ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェパードなどの大型犬に多い病気で、ひどくなると胃や脾臓がねじれてそれぞれの内臓が機能しなくなってしまうため、早急な処置が必要です。おなかの張りや腹痛、嘔吐、空えづきなどの症状が見られたら注意してください。

腸閉塞(ちょうへいそく)

異物や腫瘍、腸管が変形してしまう腸重積(ちょうじゅうせきしょう)など腸の働きが低下して食べ物が体のなかでうまく進まなくなり、腸が詰まってしまう病気です。腸閉塞になると、食欲不振、嘔吐や下痢などの症状が見られます。

寄生虫性の病気

犬回虫(いぬかいちゅう)、犬鞭虫(いぬべんちゅう)、コクシジウムなどの寄生虫感染は子犬の時期に多く見られ、嘔吐物に虫が混ざることがあります。病院では、糞便検査で虫卵を検出して診断します。

消化管以外の内臓の病気

肝臓や胆のう、膵臓、腎臓の炎症、腫瘍、子宮にウミがたまる子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)などで嘔吐が起こります。

膵炎(すいえん)

膵臓の消化酵素で膵臓自身を消化して炎症を起こす病気です。急性の膵炎では嘔吐がよくみられます。ほかにも、食欲不振や腹痛、下痢などが見られます。

細菌やウイルスによる感染症

サルモネラ菌やカンピロバクター、コロナウイルス、バルボウイルスなどの感染で嘔吐が起こります。

パルボウイルス感染症

ワクチン未接種の子犬で注意するべきウイルス性の感染症で、激しい下痢や嘔吐が起こります。感染力が非常に強く、またウイルスは長く生き続け、死亡率も高いこわい病気です。

食事によるもの

食物アレルギーや、ごはんを変更したとき、胃腸にストレスがかかり嘔吐することがあります。

食物アレルギー

食物アレルギーでは、強いかゆみや皮膚の一部が赤くなる(発赤)など皮膚症状のほか、嘔吐や下痢などの消化管症状が起こります。

ごはんの変更

犬は、急に食べ物が変わると消化管のバランスを崩し、嘔吐することがあります。症状は徐々に収まっていきますが、動物病院で薬をもらったほうが早く治る場合もあります。

代謝性・内分泌系の病気

体の状態を一定に保つためのホルモンを出す副腎皮質の働きが悪くなる副腎皮質機能低下症や、腎臓の働きが悪くなったときに起こる尿毒症、アンモニアなどの有害物質が溜まることで起こる肝性脳症などで嘔吐が起こります。

中枢神経系の病気

脳の病気や薬の影響で、脳の中にある嘔吐中枢が刺激されて起こる嘔吐もあります。

誤嚥(ごえん)

布の切れ端、ボタン、タバコなどの異物を飲んでしまったときや、玉ねぎ、チョコレートなど犬に中毒症状を起こす食材を食べてしまったときに嘔吐することがあります。

自宅で様子見をしてよい犬の嘔吐の例

ここからは、嘔吐してもしばらく自宅で様子をみても問題ないケースについてご紹介します。ただし、嘔吐が続いたり、いつまでも体調が戻ったりしない場合は、動物病院を受診してください。

●精神的ストレスによる嘔吐
●空腹時の嘔吐
●乗り物酔いの嘔吐
●草を食べた直後の嘔吐
●早食いの後の嘔吐

精神的ストレスによる嘔吐

引っ越しや、同居するペットが増えたり減ったりして家族構成が変わるなど、環境の変化が精神的ストレスの原因となり、嘔吐することがあります。この場合、徐々に新しい環境に慣れさせてストレスを減らしていくように努めましょう。

空腹時の嘔吐

ごはんの間隔があくと、空腹で胃にむかつきを覚え嘔吐することがあります。この場合、胃液や胆汁(たんじゅう)が混ざった、ネバネバした白い泡や黄色い液体を吐くことが多く見られます。これは、「胆汁嘔吐症候群」といい、犬ではよくあることなので、それほど心配はいりません。

乗り物酔いによる嘔吐

犬も乗り物酔いをしやすい子としにくい子がいます。乗り物酔いをすると、最初のうちはよだれやあくびなどが多くなったり、元気がなくなったりする症状がみられ、ひどくなると嘔吐をしてしまうことがあります。

対策としては、1時間~30分前に普段より少なめにごはんを食べさせ、空腹でも満腹でもない状態で乗り物に乗せましょう。犬はキャリーバッグやケージに入れて、トランクや床など、安定している場所に乗せてあげると、犬も安心しやすくなります。また、動物病院で酔い止めを処方してもらうこともできるので、相談してみるとよいでしょう。

草を食べた直後の嘔吐

犬は胃がむかむかすると、自分から草を食べてその刺激で嘔吐を起こします。1度くらいなら様子見で問題ありません。しかし、何日も同じように草を食べて嘔吐する場合は、消化管に異常があることも考えられるので動物病院を受診し、おなかの状態を診てもらいましょう。

早食いした後の嘔吐

早食い後の嘔吐は、食べ物がのどに詰まったり、胃が空気や食べ物でパンパンになったりするせいで苦しくなったという理由なので、様子見で問題ないでしょう。

早食い癖のある犬には、

●早食い防止用の食器(底に凸凹があるものなど)に変えてみる
●フードをふやかし、水分量を増やして早く満腹感を得られるようにする
●食事回数を1日1回から2回に増やして空腹時間を減らす

といった対策を取り入れて、ゆっくり食事を食べさせるようにしましょう。

嘔吐と吐出の違い

嘔吐と似ていますが、「吐出(としゅつ)」という症状もあります。

嘔吐と吐出の見分け方

嘔吐は、一旦胃の中に入ったものを吐きます。一方吐出は、食道の中にあるものを吐きます。この2つは、飲み込んでから吐くまでの時間と、吐いたものの形を確認することで分かります。

吐出の場合

吐出では、食べたものは胃に入らず、食道から逆流してきます。食べ物は未消化で、飲み込んだものがそのままの形で、勢いよく口から出てきます。

飲み込んですぐ、または30分以内くらいの吐き戻しは、嘔吐ではなく吐出の可能性も疑われます。吐出する犬は、食欲が落ちていないことがあります。しかし、食道内の異物や腫瘍による通過障害、巨大食道症による機能低下など、食道の異常が疑われるため、一度、病院で先生に診てもらったほうがよいでしょう。

嘔吐の場合

嘔吐は胃に一度入った食べ物が逆流して出てきます。嘔吐物は消化されているため、形が崩れ、胃液などの消化液が混ざっています。嘔吐の原因によっては、犬の食欲が低下することもあります。

まとめ

犬の嘔吐について、病院を受診すべき嘔吐のチェックポイント、病気が理由で起こる嘔吐と自宅で様子見をしてよい嘔吐の例、嘔吐と似た症状である吐出との違いなど解説しました。

犬は比較的吐きやすい動物ですが、大きな病気が隠れていることもあります。愛犬が嘔吐したら、まずはよく観察することが重要です。病気の疑いがある症状がある場合は、早めに病院で先生に診てもらってください。嘔吐以外にもつらそうな様子が見られたり、嘔吐物に血や虫などが混ざっていたりするなどの異常があれば、動物病院を受診しましょう。

 

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【執筆・監修】
獣医師:安家 望美
大学卒業後、公務員の獣医師として家畜防疫関連の機関に入職。家畜の健康管理や伝染病の検査などの業務に従事。育児に専念するため退職し、現在はライターとしてペットや育児に関する記事を執筆中。

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