全国殺処分ゼロを目指して、静岡県からの保護第一号「うなぽん」卒業、愛の物語が完結!

運命の出会いなんて、そうそうあるものではありません。今回は、放浪していた1頭の野犬と、たまたま職場近くでその犬を見かけた女性との物語。いつ切れてもおかしくない糸は、まさに運命ともいえる出会いとなったようです。

 

「うなぽん」誕生

今年3月、静岡県動物管理指導センターから浜松譲渡センターに、1本の電話がかかってきました。

「噛み犬で、警戒心が強く、皮膚病もある。このままだと長い時間、譲渡に出せない可能性があります。ピースワンコさんで、引き取っていただけませんか?」。

浜松譲渡センターは、去年11月にオープン。同時に、一般社団法人静岡県動物保護協会の登録ボランティアになりました。

登録ボランティアになることで、静岡県のワンコたちを助けることができるようになります。地域で活動している多くの保護ボランティアさんたちへの一助になることで、全国殺処分ゼロを目指していく。それが、ピースワンコの目標です。

こうした経緯もあり、ピースワンコでは迷うことなく、要請を受け入れることに。スタッフは早速、静岡県からの保護第一号となるワンコの名前を考えました。話し合った結果、

「うなぽん」

に決定。浜松の名産ウナギにちなんだ名前です。

3月14日 引き出し

3月14日、ピースワンコのプロジェクトリーダー、安倍が引き出しへ向かいます。

初めて会った「うなぽん」のしっぽには毛がなく、皮膚病の可能性が感じられました。

聞けば、かなり長い間、放浪しており、捕獲もかなり苦労したらしく、ようやく動物管理指導センターに収容されたとのこと。元々飼い犬で、飼育放棄された可能性が高いといいます。

実際に、この日も「うなぽん」は警戒心が強く、体を触られることをとても嫌がりました。

この日は、動物管理指導センターから引き出したのち、近くの動物病院にて健康状態をチェック。懸念されたしっぽの診断も、疥癬(かいせん)や真菌などの心配はないことから、浜松譲渡センターにて新しい生活が始まりました。

里親さんは、本当に見つかるのか?これからスタッフが「うなぽん」の体調のケアをしながら、時間をかけて人馴れトレーニングを行っていきます。

運命のワンコ?

人馴れトレーニングを始めてからしばらくして、1人の女性からメッセージが届きました。

聞けば、放浪していたときから「うなぽん」のことを知っていたとのこと。「うなぽん」は、職場の近くを何ヵ月も放浪していたそうで、何とか自分で捕まえようとして、餌付けを試みたものの叶わず、保健所に連絡して捕獲に協力することに。

そのときから、この子の飼い主になりたいと思っていたといいます。

捕獲されてから「うなぽん」の行方は分からなくなり、ネット上で「うなぽん」を探していたところ、ピースワンコのSNSに似た子がアップされたのを発見。すぐ連絡したそうです。

里親探しを始めるには、まだしばらく時間がかかりそうでしたが、それから週末になると片道1時間以上をかけて「うなぽん」に会いに来てくださるようになりました。

「最初の頃は何とか触れるくらいだったのが、来るたびに出来ることが増えていて、触らせてくれるようにもなって。それが驚きでした」
「お散歩も上手になって、こんなに成長するのだと、びっくりしました!」

まだ譲渡対象となる前から毎週末会いに来て、会うたびに成長する「うなぽん」の姿に、彼女は心から喜んでいるようでした。そしてその「うなぽん」への深い愛情に、浜松譲渡センターのスタッフはみな確信していました。「これは、運命の出会いだ」と。

彼女のスマホには、放浪していた頃からこれまでの「うなぽん」の写真と動画が収められていき、その数は写真は170枚以上、動画は40本を超えるそうです。

 6月22日「うなぽん」卒業

そして、ピースワンコにやってきてから3ヵ月あまり。人馴れトレーニングをひと通り終えた「うなぽん」が譲渡対象のワンコとなったその日に、彼女は迷うことなく、申込書を提出してくださいました。

出会ってからおよそ半年、彼女と「うなぽん」の赤い糸はようやくつながったのです。

いつものように浜松譲渡センターにやってきた彼女でしたが、この日は特別な日。

「必ず、この子を幸せにします」

彼女は最後にそう言うと、新しい家族となった「うなぽん」と一緒に、わが家へと帰っていきました。

※ピースワンコは、皆さまからのご寄付だけで活動しています。一頭一頭に寄り添ったお世話ができるのも、皆さまのご支援のお陰です。ワンコの命を守る活動を続けていくために、ご支援をよろしくお願いいたします。

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