ピースワンコで暮らす保護犬たちは、様々なトレーニングをしています。家族ができたときのために、実際にスタッフと一緒に暮らしてみることも大切な訓練です。
8月のある日、1頭のワンコがお泊りトレーニングをすることになりました。愛玩動物看護師の資格を持つスタッフ、石橋のおうちに泊まることになったのは、2019年11月26日に推定3歳でピースワンコに保護された、白いモフモフの男の子「アビゲイル」です。
初めてのおうちへお泊り
ピースワンコ閉館の19時。犬舎にいる「アビゲイル」を石橋が迎えに来ました。「アビゲイル」は先日行ったばかりの病院へまた連れていかれると思ったのか、なかなか自分の部屋から出ようとしません。なんとか部屋の外へ連れ出して、クレートに入れて車に乗せ、石橋の自宅へ向かいます。
階段が怖くて上れない
到着後、クレートを空けると「アビゲイル」は周りのにおいを嗅ぎながら、パッと出てきました。けれど、階段を前にして動かなくなってしまいました。野生での暮らしていた元野犬の保護犬にとって、階段はなじみがない異質な物体。警戒して怖がってしまう子が多いです。石橋は、体重約14キロの「アビゲイル」を抱っこして階段を上がりました。
ピースワンコに来て5年目の「アビゲイル」
部屋に入った「アビゲイル」は、初めての環境の中でソワソワしながらも、好奇心旺盛にあちこちを観察していました。「アビゲイル」は人懐こくて、お散歩もシャンプーも上手にできます。すぐにでも譲渡できる状態なのですが、右眼の怪我のせいか、ピースワンコに来て約5年、まだ家族とのご縁が繋がっていません。
初めての環境に緊張…ごはんを食べない
石橋は、「アビゲイル」のためにお水やごはんを用意して、部屋に設置しました。食べるのが大好きなのにもかかわらず「アビゲイル」は何も口にせず、隣で石橋が食事をしていい匂いがしても、全く動きません。
保護犬は警戒心が強いので、新しい環境に行くと、この場所が安全かどうか?危険はないのか?など不安と緊張で、ごはんやお水を口にできず、トイレも我慢する子が多いです。そんな時に大切なのは、この場所は安全で怖くないことをワンコが分かってくれるまで「待つ」こと。
そっと見守る
石橋はこの場所が怖くないことを分かってもらうために、無理に食べさせようとしたり構ったりせず、「アビゲイル」が慣れるまでそっと見守りました。
保護犬は、人に見られていると気になって食べられないけれど、人の目がないと食べられる子が多いです。「アビゲイル」も石橋がベッドに入った瞬間に一口食べ、石橋が寝ている間に、ごはんを食べていました!
人と暮らしながら成長
ワンコは、人間と一緒に暮らすことで、少しずつ成長していきます。今年推定7歳の「アビゲイル」は、2024年8月31日、初めてお泊りした石橋の元へ卒業していきました。「アビゲイル」のお泊りの様子、ぜひ動画からもご覧ください。
⇒ ピースワンコTV(11分31秒)
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