ピースワンコから卒業していったワンコは、4956頭以上にのぼります(2025年4月末現在)。卒業犬はどの子もみな家族ができると、穏やかで幸せそうな表情になり、まるで別人のように変わります。生駒譲渡センターから卒業した「スティー」と「ヴィラ」も、幸せを手に入れたワンコたちです。

シャイだった「スティー」と、怖がりな「ヴィラ」を迎えてくださったのは、ミニチュアダックスの先住犬「イヴ」さんと暮らしているご夫婦とお嬢さまのご家族さま。保護犬を家族に迎えてくださったきっかけや、一緒に暮らす中で困ったことや嬉しいことなど、お嬢さまからお教えいただいたエピソードをご紹介します。
●スティーさん
・推定誕生日:2017/08/23
・受入日:2017/09/06
・卒業日:2020/02/02
・卒業した譲渡センター:生駒譲渡センター @pwj_ikoma
●ヴィラくん
・推定誕生日:2017/09/22
・受入日:2017/09/22
・卒業日:2022/08/05
・卒業した譲渡センター:生駒譲渡センター @pwj_ikoma


家族に迎えようと思ったきっかけ
学生時代に、罪のない犬猫たちが殺処分されている現実や、元野犬や繁殖引退犬、飼い主から飼育放棄された子たちが家族を探していることを知り、いつか保護犬を迎えたいと思うようになりました。毎日のように関西の保護施設の情報を調べていたとき、奈良県にピースワンコの生駒譲渡センターがあることを知り、見学に行きました。
初めて行った時は、どんな子たちがいるのかドキドキでしたが、人懐っこい子が多くて驚きました。初めましての私の手からオヤツを食べてくれたり、お手をしてくれたり。スタッフさんから1頭1頭の性格や、接し方を丁寧に教えて頂きました。
そんな中、私の存在にビクビクして、犬舎の隅っこに固まって震えていた「スティー」がいました。

帰宅してからも、犬舎の隅っこで怖がっていた「スティー」の表情が忘れられず、あの子を幸せにしたいと思うようになり、1週間後、当時10歳だった先住犬の「イヴ」を連れて、もう一度「スティー」に会いに行きました。
「スティー」は「イヴ」がいたからなのか、前回ほど緊張してる様子もなく、「イヴ」の匂いを嗅ぎに来てくれました。お散歩させてもらったところ、「イヴ」は「スティー」の後を着いて歩き、一緒に走ることができ、「スティー」も全く尻尾が下がらずに歩いてくれ、それぞれに楽しそうにお散歩できました。2頭の相性も良い感じだったので、この子と家族になりたい!家族になったら絶対に幸せにしよう!!という気持ちになり、両親と話し合って「イヴ」の妹として「スティー」を迎えることを決めました。

「ヴィラ」をお迎えしたきっかけは、「スティー」の里帰りをした時、いつも譲渡センターのリビングの隅っこで震えていて鼻水垂らしながらワンワン吠えていた「ヴィラ」が、私の手からオヤツを食べてくれた時に聞いた、生駒譲渡センターのスタッフさんの一言からでした。

怖がりが故に吠えてしまい、なかなかご家族が見つからなかった「ヴィラ」。なかなか卒業できず、譲渡センターの在籍が長くなっているので気になっていました。でも、我が家の住宅環境的に、吠える子を家族に迎えるのは難しいかなと正直思っていました。
けれど、センターのスタッフさんから“「ヴィラ」はお家に行ったら良い意味で変わると思います。”という話を聞き、その言葉で私の考えが変わり、「ヴィラ」と家族になりたいと思うようになりました。

そんな矢先、「ヴィラ」のトライアル開始の投稿をインスタグラムで見て、絶対に幸せになるんだよ!と願っていました。ですが数日後トライアル中止となり、譲渡センターに帰って来たというお知らせが。もうこれは運命なのかなと思い、すぐ譲渡センターに電話して、里親希望であることを伝えて会いに行きました。
「ヴィラ」は良く吠える子なので、いつも通りすごく吠えられましたが、その時はきっと「オレを連れて帰って~」と言ってるのかな?と思いました(笑)。帰宅してから家族で話し合い、「イヴ」や「スティー」との相性も良さそうだったので「ヴィラ」を一生幸せにしようと決め、「イヴ」と「スティー」の弟に迎えて家族になりました。

お迎えして大変だったこと
大変だったことは、「スティー」は分離不安症、「ヴィラ」はお散歩とお留守番中の吠えです。
「スティー」を迎えた当時、私は高校生でしたが、お迎えしてすぐ緊急事態宣言で休校になったので「スティー」をお留守番させることがありませんでした。「スティー」を知り、仲良くなるチャンス!毎日いっぱい遊んであげて、一緒に過ごしました。

でもそれが原因でお留守番が出来なくなってしまい、緊急事態宣言が解除された後、「スティー」にたくさん辛い思いをさせてしまいました。
「スティー」が少しでも安心してお留守が出来るように、ケージに私の服や掛け布団など私の匂いが付いているものを入れて、数分家を空けてみる、という練習を繰り返していたのですが、私の姿が見えないと鳴き叫び、中に入れた服や掛け布団はボロボロに。ケージも、家の壁も、扉も、ボロボロになるくらいでした。

周りの方からは「大変だね」と言われましたが、でもそれを大変と思う事はありませんでした。お互いが安心して外出とお留守番出来るように、たくさんお散歩に行って、寂しいけど過剰なスキンシップをやめて、必ず私が家に帰ってくる事を「スティー」に覚えてもらいました。
今でも私の姿が見えないと少し不安になることがあるみたいですが「スティー」が不安な思いをしないように毎日努力しています。

怖がりで、元々お散歩もあまり得意ではなかった「ヴィラ」。我が家に来てから慣れない環境でのお散歩は、見慣れない物、大きな音にビクビクし、時には身体に触れた草にまで驚くほどでした。
頼りにしている「スティー」と一緒に行っても、怖くて歩けない日々。無理に連れて行くのは「ヴィラ」にとってシンドイかなと思い、家の近くの公園で排泄をさせ、「ヴィラ」の余裕がある時はくん活をさせたりする程度の散歩をしていました。でも、そんな毎日を過ごすのは「ヴィラ」とってはストレスがどんどん溜まるだけだったようで、お留守番中に家の中で走り回り、吠える日々が続きました。

色々調べて試してみるも、そう簡単に「ヴィラ」が変化することはなく、譲渡センターのスタッフさんに相談してアドバイスをもらいました。その日から、散歩の時間を早朝や夜中、昼間など、人が少ない時間に切り替えて、「ヴィラ」が歩けそうなお散歩コースを探して、一緒に頑張りました。お休みの日は出来るだけドッグランに行き、行けない日はノーズワークをしたりオモチャで一緒に遊んだりして、「ヴィラ」がストレス発散できるように工夫しました。とにかく「ヴィラ」がお外を好きになってくれるように、色々なところに連れて行きました。

そんな日々を過ごしていると、少しずつ私たちと「ヴィラ」の距離も縮まり、お散歩も好きになってくれました。とはいえ、ビビりなところは相変わらずですが(笑)、今ではお散歩の準備やお出掛けの準備をすると、尻尾をブンブン振って喜んでくれるようになりました。

お迎えして良かったこと、嬉しかったこと
お迎えして良かったことは、この子たちとたくさんお散歩に行って、今まで見たことのない景色を一緒に見たり、旅行に行ったりドッグイベントに参加したり、この子たちがいないと経験できないことをたくさんさせてもらっていることです。

困った時はいつでも相談に乗ってくださり、「スティー」や「ヴィラ」の成長を一緒に喜んでくださるピースワンコのスタッフさんたち。そして、ピースワンコ卒業犬の里親さんたちや他の団体さんからの卒業犬の里親さんたちとの出会い。色々なご縁があり、本当に毎日が楽しいです。

「スティー」や「ヴィラ」もビビり犬で初めは怖くてビクビクしてたのに、一緒に色々な経験をしていくうちに、信頼してくれるようになりました。

仕事から帰ってくると尻尾を振って喜んでくれたり、お散歩で歩ける距離が伸びたり。そんな小さな成長がとっても嬉しくて、毎日が本当に楽しいです。この子たちを幸せにしてあげたいと思っていた私たち家族ですが、私たちの方が幸せにしてもらっています。

保護犬と暮らしたいと思う人へのメッセージ
初めはお互いがドキドキの毎日。
「どうしたらいいのかな?」「これでいいのかな?」「間違ってたかな?」
そんな時は、ピースワンコのスタッフさんが相談に乗ってくれるのでとても心強いです。
その子のペースに合わせて、急がず、焦らず、接していくうちに、今では困った顔や拗ねた顔、笑った顔、色々な表情を見せてくれるようになりました。

これからワンコを迎えたいと思う方や、保護犬が気になった方は、ぜひお近くの譲渡センターや譲渡会に行ってみて欲しいです。特別なonlyワンコに出逢えるかもです。

生駒譲渡センター スタッフからのメッセージ
「スティー」と「ヴィラ」が、苦手な事も全て受け入れて真摯に向き合ってくださる、優しいご家族様に出会えたこと、スタッフ一同、とても嬉しく思っています。
分離不安でシャイだった「スティー」が、こんなにもおっとりした甘えん坊さんになるとは思っていませんでしたし、怖がりで賑やかな場所が苦手だった「ヴィラ」とワンコマルシェのイベント会場で会える日が来るとも思っていませんでした!優しい先住ワンコの「イブ」さんと、いつも犬目線で考えてくれている里親さまご家族のお陰だと、心から感謝しています。

とても可愛がっていただいていて、元気で幸せそうな「スティー」と「ヴィラ」。優しい家族ができて本当によかったね!ついに”うちの子”になれたね。これからも家族一緒に色んな景色を見て、楽しい思い出を作っていってね!里親さま、これからも「スティー」と「ヴィラ」をよろしくお願いいたします。(生駒譲渡センター スタッフ一同)




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