【ワンだふるファミリー】全盲の「コメット」卒業!

「一緒におるだけでいいもんね」

盲目の保護犬コメットに家族が見つかりました!

ピースワンコでは現在、2700頭あまりの保護犬たちが暮らしています。その中には、高齢の犬、病気や障害がある犬たちもいます。こういった特別なケアが必要な犬たちは、元気な保護犬に比べて里親さんが見つかりにくいのが現状です。

 

 

■みんなの人気者「コメットさん!」

 

コメット(オス・推定14歳)も、里親さんが見つからずピースワンコで暮らしている犬でした。

動物愛護センターで保護されたときすでに高齢だったコメット。口の中に腫瘍があり、病気の影響で盲目、眼圧が高くなり眼球が膨らんでいました。

他にも前立腺肥大、嚢胞、フィラリア陽性と、老いた小さな体に様々な病気を抱えていました。

 

 

 

でも、コメットはそんな境遇を感じさせないほど、とても人懐っこく明るい性格でした。もしかしたら元飼い犬だったのかもしれません。

暖かい日はドッグランでのんびり日向ぼっこをしたり、音の鳴るおもちゃで遊んだり。みんなに「コメットさん!」とちやほやされる人気者でした。誰とでも仲良くなれる子で、同室のワンコ達と寄り添って寝たり、ご飯の前は周りが吠えるとつられて一緒に吠えてみたり。コメットは周りの人もワンコも明るくしてくれる存在でした。

 

 

■“運命の家族”からの連絡

 

そんなコメットに、“運命の家族”となるAさんから連絡が入ったのは、今年3月のはじめのこと。

当時のことをスタッフはこう話します。

「ホームページを見た方から『高齢や病気持ちでも会いたいです』とご連絡が来ることは最近増えてきましたが、なかなか譲渡までには繋がらなかったので、また同じ感じかな……と思っていました。だから口腔内腫瘍という大きな病気を持ったコメットを引き取ると決めてくださって、正直とても驚きました」

 

 

面会に来られたAさんに、スタッフはコメットの病気についてご説明しました。

「初めてAさんにお会いした時から、病気の治療や今後介護が必要なことは覚悟ができている様子だったので、すごく安心しました」

 

じつはAさんが以前飼っていたワンコも、コメットと同じ口腔内腫瘍を患っていたのだそうです。

 

■ピースワンコ卒業の日

 

Aさんと家族になることが決まり、ついにピースワンコ卒業の日がやってきました。

コメットは普段と違う様子に少し緊張気味でした。スタッフはこれまでコメットの明るい性格に元気をもらえていたので、寂しい気持ちと本当によかったという気持ちが複雑に入り混じっていたそうです。

そんな空気を感じてか、Aさんのお宅に到着してもコメットはなかなかケージから出られませんでした。目の見えないコメットにとって、周囲の変化は私たちが思う以上に怖いことだったのかもしれません。

 

しかし、AさんとAさんのお母さんからやさしく声をかけられ、撫でてもらうと、コメットも少しずつ緊張が解けたようでした。

Aさんはコメット好みの音の鳴るおもちゃを買って待っていてくださいました。そのおもちゃを鳴らした途端、いつもの遊ぶスイッチがON! 全力で遊びはじめました。

 

 

 

■「いっしょにおるだけでいいもんね」

 

緊張するコメットのペースに合わせて迎えてくださったAさん。

 

 

「施設で一生を終えるなら、一匹でも家庭に引き取ってゆっくり過ごした方がいいかな、って」

 

「一緒におるだけでいいもんね」

 

そう語りかけるAさんの声に、コメットも安心した様子でした。

 

 

同行したスタッフはこう話します。

 

「私たちが帰る頃には、もう心配いらないぐらい縁側でくつろいでいました。こんなにも早くコメットの緊張がほぐれたのは、Aさんご一家のあたたかい雰囲気があったからだと思います」

 

今回、Aさんにお話を伺う際、「お顔を映すのがNGであれば映さずに撮影もできますが……」とお伝えしましたが、「顔が映った方が、どんな人に引き取ってもらったかわかるから、支援者さんも安心してくれるんじゃないですか」とおっしゃってくださいました。

 

これまでコメットを応援してくださった支援者の皆さんにもきっと安心していただける、とてもやさしい里親さんが見つかりました。

 

 

■新しい家族とのしあわせな毎日

 

卒業後のコメットは、Aさんのお宅の縁側で日向ぼっこをしたり、Aさんの足に顎を置いて甘えたり、すっかり馴れたようです。

おもちゃ遊びは相変わらず大好きなようで、大ハッスルしながら遊んで、おもちゃを枕に寝ていることもあるそう。最近ではテレビから聞こえてきたおもちゃの音に反応することもあるそうです。

 

 

最初はピースワンコから持って行った毛布の上で寝ていましたが、今ではAさんのお宅のリビングにあるカーペットがお気に入りで、のびのび寝ているそうです。

じつはこのカーペットは亡くなった先住犬も大好きだったそう。

 

 

「ずっとうちにいたような感じでくつろいでいます」とAさん。

病気も障害も含めて大切にしてくださる“運命の家族”とめぐりあえたコメット。

 

これからもずっとずっと、しあわせにね。

 

 

 

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