「ふるさと納税したけど確定申告ってどうやるの?」「どんな書類が必要なの?」
ふるさと納税で返礼品を受け取ったけれど、翌年の確定申告のやり方がわからないと悩んでいないでしょうか。
ふるさと納税には節税効果があると言われていますが、返礼品を購入しただけでは、まだその効力を発揮できません。実は、確定申告を通さなければ節税効果が生まれないのです。
この記事では、ふるさと納税の確定申告のやり方について、初心者の方でも迷わないように、必要なケースの判断方法から具体的な手順までを分かりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、面倒な手続きをスムーズに終わらせましょう。
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まずは確認!あなたは確定申告が必要?不要?簡単フローチャート

ふるさと納税を行った後、すべての方が確定申告をしなければならないわけではありません。より簡単な手続きの「ワンストップ特例制度」を利用できる場合もあります。まずは、ご自身がどちらの手続きに該当するのかを確認することから始めましょう。
確定申告が必要になる主なケース
給与所得者(会社員など)の方でも、以下に該当する場合は確定申告が必要です。一つでも当てはまれば、ワンストップ特例制度は利用できず、確定申告を行う必要があります。
まず、年間の寄付先が6自治体以上の場合です。ワンストップ特例制度は、寄付先が5自治体以内の場合に限られます。
次に、ふるさと納税以外に確定申告が必要な控除(医療費控除や住宅ローン控除の初年度など)を申請する場合です。
また、個人事業主や不動産所得がある方、年収2,000万円を超える給与所得者の方なども、元々確定申告が必要なため、ふるさと納税の分も合わせて申告します。
確定申告が不要なケース(ワンストップ特例制度の対象者)
一方で、確定申告が不要なのは、便利な「ワンストップ特例制度」の対象となる方です。対象となるのは、以下の条件をすべて満たす方です。
第一に、もともと確定申告をする必要のない給与所得者などであることです。
第二に、1年間のふるさと納税の寄付先が5自治体以内であることです。同じ自治体に複数回寄付しても1カウントとなります。
これらの条件を満たす方は、寄付先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出するだけで手続きが完了します。
| 確定申告が必要な人 | ワンストップ特例制度を利用できる人 | |
|---|---|---|
| 対象者 | ・寄付先が6自治体以上の方・医療費控除などで申告が必要な方 ・個人事業主、年収2,000万円超の方など | ・確定申告が不要な給与所得者 ・寄付先が5自治体以内の方 |
| 手続き | 税務署へ確定申告書を提出 | 寄付先自治体へ申請書を提出 |
確定申告とワンストップ特例制度の違いを比較

確定申告とワンストップ特例制度は、どちらもふるさと納税の寄付金控除を受けるための手続きですが、その仕組みや手間が異なります。自分に合った方法を正しく理解するために、両者の違いを詳しく見ていきましょう。
控除の対象と手続きの違い一覧表
最も大きな違いは、控除される税金の内訳と手続きの簡便さです。確定申告では所得税と住民税の両方から控除されますが、ワンストップ特例制度では全額が住民税から控除されます。ただし、最終的に控除される合計額はどちらの方法でも同じです。
| 比較項目 | 確定申告 | ワンストップ特例制度 |
|---|---|---|
| 手続き先 | 税務署 | 寄付先の各自治体 |
| 申請方法 | e-Tax、郵送、窓口 | 郵送、オンライン |
| 申請期限 | 原則、寄付翌年の3月15日 | 原則、寄付翌年の1月10日 |
| 控除対象 | 所得税からの還付、住民税からの控除 | 住民税からの控除のみ |
| 必要な作業 | 確定申告書の作成 | 申請書の記入・提出 |
どっちを選ぶべき?判断のポイント
どちらの制度を選ぶべきか迷った際の判断ポイントは、「ご自身の状況」と「手続きの手間」です。
寄付先が5自治体以内で、他に確定申告する用事がない会社員の方は、手続きが簡単なワンストップ特例制度がおすすめです。申請書を出すだけで済むため、手間がかかりません。
一方で、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)の申請が必要な方、寄付先が6自治体を超えた方、個人事業主の方は、必然的に確定申告を選ぶことになります。手間はかかりますが、e-Taxを利用すれば自宅から手続きを完結させることも可能です。
ふるさと納税の確定申告はいつからいつまで?

確定申告には定められた期間があります。期限を過ぎてしまうと、せっかくの税金控除が受けられなくなる可能性もあるため、スケジュールをしっかり把握しておくことが大切です。
参考:国税庁|No.2020 確定申告|
申告期間と提出期限
確定申告の期間は、寄付を行った翌年の2月16日から3月15日までが原則です。例えば、2024年中に行ったふるさと納税の申告は、2025年の2月16日から3月15日の間に行います。
この期間内に、必要書類を揃えて申告書を作成し、税務署へ提出する必要があります。e-Taxでの電子申告もこの期間内に行います。期限間際は窓口が混雑したり、サーバーが繋がりにくくなることもあるため、早めの準備と提出を心がけましょう。
申告を忘れた・間違えた場合の対処法「更正の請求」
もし、うっかり申告を忘れてしまったり、ふるさと納税の寄付金控除を申告し忘れた状態で提出してしまった場合でも、諦める必要はありません。
「更正の請求」という手続きを行えば、法定申告期限から5年以内であれば申告内容を訂正し、払い過ぎた税金を還付してもらうことが可能です。手続きには「更正の請求書」と、申告漏れの内容を証明する書類(寄付金受領証明書など)が必要になります。気づいた時点で、速やかに所轄の税務署に相談しましょう。
参考:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき
| 状況 | 対応策 | 期限 |
|---|---|---|
| 申告忘れ | 期限後申告 | 気づき次第、速やかに |
| 控除の記載漏れ | 更生の請求 | 法定申告期限から5年以内 |
| 内容の間違い | 更生の請求または修正申告 | 状況により異なる |
【5ステップ】ふるさと納税の確定申告のやり方・流れを徹底解説

ここからは、実際にふるさと納税の確定申告を行うための具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。この流れに沿って進めれば、初めての方でもスムーズに手続きを完了できます。
STEP1:必要書類を準備する
申告書を作成する前に、まずは必要な書類を手元に揃えましょう。事前に準備しておくことで、後の作業が格段にスムーズになります。
【全員必須】寄付金控除に関する証明書(または寄付金受領証明書)
ふるさと納税を行った証明となる最も重要な書類です。寄付先の自治体から送られてくる「寄付金受領証明書」を寄付した分だけ集めるか、特定のふるさと納税サイトから発行される「寄付金控除に関する証明書」を利用します。後者は、1年間の寄付内容が1枚にまとまっているため、管理が非常に楽でおすすめです。
【会社員の方】源泉徴収票
会社員や公務員など給与所得者の方は、勤務先から年末に配布される「源泉徴収票」が必要です。確定申告書には、この源泉徴収票に記載されている支払金額や所得控除の額、源泉徴収税額などを転記する必要があります。
【全員必須】本人確認書類(マイナンバーカードなど)
申告者本人のマイナンバーを確認できる書類と、身元を確認できる書類が必要です。マイナンバーカードがあれば、1枚で両方の確認が可能です。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバー通知カードや住民票の写しと、運転免許証やパスポートなどの身元確認書類の組み合わせが必要になります。
【全員必須】還付金を受け取る口座情報
確定申告によって所得税が還付される場合、その振込先となる金融機関の口座情報(銀行名、支店名、口座番号)が分かるものが必要です。申告者本人名義の口座である必要がありますので、通帳やキャッシュカードを準備しておきましょう。
STEP2:確定申告書を作成する
必要書類が揃ったら、いよいよ確定申告書を作成します。手書きや会計ソフトを利用する方法もありますが、最もおすすめなのは国税庁のウェブサイトです。
おすすめは国税庁「確定申告書等作成コーナー」
国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」は、誰でも無料で利用できる非常に便利なシステムです。画面の案内に従って収入や控除の金額を入力していくだけで、税額が自動計算され、確定申告書が完成します。計算ミスや記入漏れの心配が少なく、初めての方でも安心して利用できます。
参考:国税庁|「確定申告書作成コーナー」作成コーナートップ
マイナポータル連携で入力がさらに簡単に
マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルと連携することで、さらに手間を省くことができます。連携を行うと、ふるさと納税の「寄付金控除に関する証明書」や、医療費、生命保険料控除証明書などの情報を一括で取得し、申告書に自動で入力することが可能です。一つひとつ手入力する手間が省け、非常に効率的です。
STEP3:e-Tax(電子申告)で提出する【推奨】
完成した確定申告書は、e-Taxを利用してオンラインで提出するのが最もおすすめです。税務署に行く必要がなく、24時間いつでも自宅から提出できます。
スマホ・PCでの提出手順
e-Taxでの提出には、マイナンバーカードと、それを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダライタが必要です。「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成後、そのまま画面の指示に従って進むと、e-Taxでの提出画面に移行します。マイナンバーカードを読み取り、電子署名を行えば送信完了です。添付書類の一部を省略できるメリットもあります。
STEP4:印刷して郵送・窓口で提出する
e-Taxの利用が難しい場合は、従来通りの紙での提出も可能です。「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書をPDFでダウンロードし、自宅やコンビニのプリンターで印刷します。
郵送・持ち込みでの提出方法と注意点
印刷した申告書に、源泉徴収票や各種控除証明書、本人確認書類のコピーなどを添付して、管轄の税務署へ郵送するか、直接窓口へ持参します。郵送の場合は、信書として送る必要があるため、普通郵便や宅配便ではなく「郵便物」として送付してください。控えが必要な場合は、返信用封筒(切手貼付・宛名記入)を同封するのを忘れないようにしましょう。
STEP5:所得税の還付・住民税の控除を確認する
確定申告書を提出したら、手続きは完了です。あとは、税金が正しく控除・還付されるのを待つだけですが、いつ、どのように反映されるのかを確認しておくとより安心です。
いつ・どのように税金が控除(還付)される?
確定申告を行うと、まず所得税からの還付が行われます。e-Taxで提出した場合は、申告から約3週間後が目安です。その後、控除額の残りの部分が、翌年度の住民税から減額される形で反映されます。住民税は、申告した年の6月以降に支払う分から安くなります。
住民税決定通知書のチェックポイント
住民税の控除が正しく行われているかは、毎年5月~6月頃に勤務先から受け取る(または自治体から送付される)「住民税決定通知書」で確認できます。通知書の「税額」の欄にある「寄付金税額控除」や「税額控除額」といった項目に金額が記載されていれば、正しく控除が適用されています。
ふるさと納税における会社員・個人事業主の違い

ふるさと納税を利用する際に気を付けなければならないのが、会社員と個人事業主でいくつかの違いがあることです。参考として、会社員と個人事業主の違いを表にまとめました。
| 会社員の場合 | 個人事業主の場合 | |
|---|---|---|
| 確定申告orワンストップ特例制度のどちらがいい? | ワンストップ特例制度 | 確定申告 (ワンストップ特例制度は利用できない) |
| 控除上限額の高さ | 個人事業主より低い (給与所得であるため) | 会社員より高い (事業所得であるため) |
まず会社員と個人事業主は、所得に関する考え方が異なります。
会社員は給与所得として計算し給与控除が働きますが、個人事業主は事業所得であるため給与所得がありません。
よって、個人事業主のほうが給与所得を控除されない分、控除上限額が高くなり大きな節税効果を期待できるのです。
また、会社員と個人事業主では、申請の方法が違います。
会社員は自分で確定申告とワンストップ特例制度を選べますが、個人事業主は確定申告しか利用できません。
確定申告を実施する際には自分がどちらにあてはまるのか、そしてふるさと納税の控除額がいくらになるのかを具体的に計算することが重要です。
参考:三井住友カード|ふるさと納税の仕組みやデメリットは?会社員、個人事業主向けの注意点も解説
こんな時どうする?ふるさと納税確定申告のQ&A

ここでは、ふるさと納税の確定申告に関して、多くの方が疑問に思う点や、つまずきやすいポイントをQ&A形式で解説します。
医療費控除や住宅ローン控除(2年目以降)も一緒に申告したい
医療費控除や住宅ローン控除(2年目以降は年末調整で可能ですが、申告も可)など、他の控除とふるさと納税の寄付金控除は、一枚の確定申告書でまとめて申告することが可能です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、それぞれの入力画面が用意されているため、案内に従って各項目の金額を入力すれば、合算して税額が自動計算されるので便利です。
参考:国税庁|No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
ワンストップ特例を申請したけど、確定申告が必要になった場合は?
ワンストップ特例の申請書を提出した後に、医療費控除の必要が生じたり、寄付先が6自治体以上になってしまった場合は、確定申告が優先されます。その際は、ワンストップ特例の申請は自動的に無効となるため、特に自治体への連絡は不要です。確定申告を行う際に、ワンストップ特例を申請した分も含め、すべての寄付金額を改めて申告し直す必要があります。
| ケース | ワンストップ特例の申請 | 確定申告の対応 |
|---|---|---|
| 申請後に確定申告が必要になった | 申請済み | 申請は自動で無効になる。すべての寄付を確定申告する。 |
| 両方を行った | 申請済み | 確定申告の内容が優先される。 |
参考:国税庁|確定申告書等作成コーナー|よくある質問|ふるさと納税をした場合
寄付金受領証明書をなくしてしまった
万が一、自治体から送られてきた「寄付金受領証明書」を紛失してしまった場合は、寄付先の自治体に連絡し、再発行が可能か問い合わせてみましょう。対応は自治体によって異なりますが、再発行してもらえるケースが多いです。ただし、時間がかかる場合もあるため、紛失に気づいたら早めに行動することをおすすめします。
参考:鎌倉市|ふるさと納税をした寄附金について寄附金控除の申告をしたいのですが、寄附金の受領証明書を紛失した場合はどのようにすればよいですか?
まとめ:ポイントを押さえて、ふるさと納税の確定申告をスムーズに終わらせよう

ふるさと納税の確定申告は、ご自身が対象かどうかを正しく判断し、手順に沿って進めることが重要です。この記事で解説した5つのステップを参考に、必要書類の準備から申告書の作成・提出までを着実に行いましょう。便利なe-Taxやマイナポータル連携を活用して、面倒な手続きを効率よく完了させ、ふるさと納税のメリットを確実に受け取ってください。
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