2023年11月9日

保護犬の譲渡費用はなぜ高いの?保護施設ごとの平均や譲渡条件を紹介

保護犬を引き取りたいけれど、譲渡費用が高くてためらっている人もいるでしょう。
保護施設によって異なりますが、保護犬の譲渡費用は平均1~6万円です。

この記事では、保護犬の譲渡費用の平均額、譲渡費用がかかる理由、譲渡条件などについて解説します。
記事の後半では、譲渡費用や飼育費用の捻出が難しい人でもできる、保護犬の支援方法も紹介しています。

保護犬の引き取りや、それ以外の方法でも何かしら保護犬のためになる支援活動をしたい人は、ぜひ参考にしてください。

 

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保護犬の譲渡費用は高いの?保護施設ごとの平均額

保護犬をかわいがるい女の子

保護犬の譲渡費用は保護施設ごとに異なり、無料の場合もあるものの平均1~6万円となるため、高いと感じる人もいるでしょう。
犬の保護をしている施設を大きく分けると、下記の3つがあります。

  • 保健所・動物愛護センター
  • 特定非営利活動法人
  • 法人ではない団体や個人

保護施設ごとの譲渡費用を解説していきます。

保健所・動物愛護センター

保健所・動物愛護センターは、自治体が運営する施設です。

基本的に保護犬の譲渡費用自体は無料ですが、マイクロチップ登録などに関わる手数料は実費となり、合計1万円程度の費用となる場合があります。
公的機関のため、譲渡費用がもっとも安く済むうえ信頼できるでしょう。

なお、自治体によっては、保健所や動物愛護センターから引き取った犬の不妊・去勢手術において、補助金や助成金制度を設けている場合もあります。

特定非営利活動法人

特定非営利活動法人(NPO法人)は法律に基づき設立された法人格を持つ団体で、ボランティア活動や社会貢献活動などを行っています。
特定非営利活動法人の場合、保護犬の譲渡費用は1〜6万円程となることが多いです。

営利目的ではない団体ですが、法人運営を継続するために必要な収益を得ることは認められています。
そのため、譲渡費用には実費以外の費用が含まれている場合もあるのです。

法律を遵守している団体なので、安心かつ信頼ができます。

特定非営利活動法人の活動内容が分かる動画がありますので、ぜひご覧ください。
殺処分を目前にして助けられた保護犬 夢之丞の物語

法人ではない団体や個人

法人格を持たずに、ボランティアで犬の保護活動をしている団体や個人もあります。

法人ではない団体や個人の場合、保護犬の譲渡費用は1~5万円程となることが多いようですが、幅があります。
法人ではないため、譲渡費用に含められるのは実費のみとなります。

資金使途や活動内容が不透明なため、信頼性はやや低いでしょう。
なかには犬の保護活動をしていないにも関わらず譲渡費用をだまし取ったり、不可解な請求や怪しい条件を提示してきたりするといった詐欺もあるので注意が必要です。

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保護犬の引き取りに譲渡費用がかかる理由

保護犬と引き取り人との初対面

保護犬の譲渡費用がかかる理由は、譲渡時にさまざまな手続きや医療費が必要だからです。
保護犬の引き取りで生体価格を支払う必要はありませんが、以下の手続きにかかる費用は譲渡費用として保護犬を引き取る人に請求されます。

  • 登録の届け出
  • 不妊・去勢手術
  • 健康診断
  • ワクチン接種

税金で運営している保健所・動物愛護センターからの引き取りでも、これらの実費を支払わなくてはなりません。

特定非営利活動法人は税金ではなく寄付金が主な運営資金です。
施設の運営費・スタッフの人件費・犬の飼育費・保護や譲渡活動などに多額の費用がかかります。

無事に一匹譲渡が完了したあとでも、まだまだ譲渡を待っている犬たちがたくさんいる状況です。
保護犬を預かっている団体としては、そのような犬たちを譲渡できるまで保護・飼育し続けなければなりません。
寄付も毎月決まった額が集まるわけではなく、資金不足に悩む団体も多いのが現状です。

そのため、特定非営利活動法人は、犬の保護や譲渡活動を継続するために最低限必要な費用を、譲渡費用に含めている場合があります。

保護犬の引き取り時にかかる譲渡費用には、犬の譲渡に際して必要な実費と、特定非営利活動法人が運営をしていくために必要な費用の2つが含まれるのです。

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保護犬の譲渡条件とは

保護犬の譲渡条件について説明する動物保護団体のスタッフ

譲渡費用を支払えば誰でも保護犬を引き取れるわけではなく、保護施設が定めた譲渡条件も満たさなければなりません。
譲渡条件の代表例はこちらです。

  • 20歳以上であること(60歳以上の人は有事の際に犬を飼育してくれる引受者がいること)
  • 家族全員の同意があること
  • ペット可の住居であること
  • 愛情を持って終生飼養できること
  • 登録と狂犬病予防注射を実施できること
  • 去勢・不妊手術を実施できること

上記は最低限の譲渡条件です。
なかには先住犬の頭数が決まっている、講習会の受講をする、既定のケージを用意するといった条件を定めている施設もあります。

保護犬の譲渡条件の詳細や引き取りの流れ、保護犬を引き取るメリットを知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
保護犬の引き取り条件は厳しい?センターが提示する譲渡条件を紹介
保護犬を飼うには?3つのメリットや具体的な譲渡方法を解説

譲渡条件が厳しいと感じる場合もあるかもしれませんが、保護犬のほとんどが虐待されたり捨てられたりと人間に傷つけられた経験があります。
そのような犬たちを保護した施設側は「譲渡先で再び不幸な目に遭ってほしくない」「家族の一員として大切にしてもらいたい」と願っています。

このような背景を見ると、厳しい条件を提示するのも納得できるでしょう。

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譲渡費用が高額な保護犬ビジネスに注意する

悲しそうな眼差しでこちらを見つめる保護犬

保護犬の譲渡費用が平均より高い場合は、保護犬ビジネスの可能性もあります。
悪質な団体にだまされないために、保護犬の譲渡費用に関する知識を身に付けておきましょう。

ここからは、保護犬の譲渡費用について確認しておくべき注意点を紹介します。

営利目的でない保護犬の譲渡は無償が基本

保護犬の譲渡は無償で行われるのが基本です。

そもそも日本では、第一種動物取扱業の登録をしていない人が、営利目的で動物の販売・保管・展示などをするのは違法行為となります(注1)。
第一種動物取扱業はペットショップ・ブリーダー・ペットホテル・ペットシッターなどで、犬の保護施設は該当しません。

そのため、犬の保護施設が譲渡で利益を得るのは禁じられています。
ただし、医療費や飼育費など譲渡されるまでにかかった実費を、譲渡費用として請求するのは営利目的ではないので問題ありません。

保護犬の譲渡で実費をはるかに上回る高額な費用を請求されたら、違法な団体の可能性があります。
請求費用をうのみにして支払わないようにしましょう。

譲渡費用の内訳を確認する

保護犬の譲渡費用を提示されたら、必ず内訳を確認してください。
譲渡費用として適切な項目の一例はこちらです。

  • 登録費用
  • ワクチン接種費用
  • 不妊・去勢手術費用
  • 健康診断費用
  • マイクロチップ装着費用
  • フィラリア・ノミ・ダニの駆虫および予防費用
  • 交通費

上記の項目に関する費用でも、実際にいくらかかったのかが分かる領収書をもらえるか確認しましょう。
なぜなら、本来かかった医療費やワクチン接種費用などに上乗せして、高額な請求をしてくる悪質な団体もあるからです。

譲渡費用のほとんどは、ワクチン接種や手術など医療機関で必要な費用であるため、医療機関発行の明細があるはずです。

また、保護施設が遠方で引き取る人が保護犬を送り届けてほしいと依頼した場合は、交通費も実費として請求可能ですが、一方的に交通費を請求される場合は実費に該当しません。
さらに交通費が一律料金になっていないかも確認すべきです。

医療機関や交通費の領収書などを出してもらえるか確認し、渋るようであれば引き取りをやめたほうがよいでしょう。

譲渡条件におかしな点がないか確認する

譲渡費用のみならず、譲渡条件に不明瞭な点がないかも確認すべきです。
例えば、特定のドッグフードの定期購入や、特定のペット保険の加入を譲渡条件に設定している団体があります。

このような団体は、ドッグフードのメーカーや保険会社・代理店などと提携して、手数料を受け取る保護犬ビジネスをしている可能性が高いです。
引き取る人の参考になるようパンフレットやサンプル品を渡すくらいは問題ありませんが、「特定」の商品を「契約」しなければ保護犬を譲渡できないという内容には注意してください。

譲渡費用が平均的で、明細に不透明な点がなくても、おかしな譲渡条件を設定している団体からの引き取りは避けましょう。

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保護犬の引き取りには譲渡費用以外のお金も必要

保護犬と動物保護団体のスタッフの後ろ姿

保護犬の引き取りには、譲渡費用以外にもさまざまなお金がかかるため、予算をしっかり確保しなければなりません。
犬の生涯で必要となる費用は、約251万円というデータもあります(注2)。

譲渡費用以外にかかるお金は、大きく分けて以下の3つです。

  • 初期にかかる費用
  • 継続的にかかる費用
  • 突発的にかかる費用

それぞれの費用を詳しく見ていきましょう。

初期にかかる費用

保護犬を迎え入れるにあたって、たくさんのグッズを買いそろえなければなりません。
具体的には、ケージ・トイレグッズ・ドッグフード・リードなどの購入費用がかかります。

保護犬との生活を始めるためのグッズ購入費用は、3~4万円程度必要でしょう。

譲渡費用の支払いとほぼ同じタイミングで必要となるので、しっかり予算を確保してください。
譲渡費用と合わせると、5~9万円かかる計算となります。

継続的にかかる費用

保護犬との生活が始まってからも、さまざまな費用が継続的に発生します。
初期に購入したフードやトイレグッズもなくなれば、追加で購入しなければなりません。

ほかにも、保険やワクチン費用、洋服代、トリミング代などが定期的に必要となるでしょう。

ワクチンの費用や接種回数、接種時期などが知りたい人は下記の記事もご覧ください。
犬のワクチンはなぜ必要なの?予防接種の種類から費用まで詳しく解説

一般社団法人ペットフード協会の調査では、犬の飼育にかかる支出は月平均1万3000円です(注2)。
ただし、中型犬・大型犬は平均よりも飼育費用が高くなる可能性があるので、予算を多めに確保しましょう。

突発的にかかる費用

保護犬と生活していくなかで、突発的にかかる費用もあるので注意しましょう。
よくあるのが、ペットホテルに預ける費用や、ケガ・病気の治療費です。

特に犬の通院や手術、入院は全額自己負担となるので、治療内容によっては数十万円もの高額な費用がかかる可能性もあります。
ほかにも、第三者にケガを負わせてしまったり、他人の物を壊してしまったりした時にも飼い主に賠償責任が生じるでしょう。

治療費のみならず損害賠償金を補償できるペット保険もあるので、万が一に備えて加入を検討しておくことをおすすめします。

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保護犬の譲渡費用が高いと感じたら寄付で支援も可能

お散歩でご機嫌なワンコ

保護犬の譲渡費用は平均1~5万円かかるので、人によっては高いと感じる場合もあるでしょう。
しかし、保護施設が保護活動や譲渡活動を続けていくうえで、譲渡費用が必要不可欠であることを理解してください。

保護犬を引き取るにあたって、譲渡費用以外にも生涯でさまざまな費用が必要となります。
もし保護犬の譲渡費用が高い、引き取り後の費用を支払うのが難しいと感じたら、寄付という形での保護犬支援も可能です。

動物保護団体が犬の保護活動や譲渡活動を継続するためには、皆さまからの寄付が貴重な財源となります。

ピースワンコ・ジャパンでは、1日約30円から保護犬の命を守れる「ワンだふるサポート」や、譲渡が難しい保護犬を遠方から支える家族になる「ワンだふるファミリー」という支援方法があります。

引き取りができずとも、自分に合った方法で保護犬の支援はできるので、ぜひ前向きに検討してください。
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