犬を殺処分するガス室とは?殺処分の理由や殺処分機の仕組みを解説

「犬を殺処分するガス室とはどのようなものなのか」「殺処分を減らすためにできることはあるのか」と思う方もいるのではないでしょうか。

犬の殺処分は全てが安楽死とはいえません。現在は、殺処分ゼロを目標とした取り組みや、苦痛を与えない殺処分の方法の見直しなどが行われています。

本記事では、犬の殺処分の現状や、自治体や動物保護団体の取り組みを解説します。また、ガス室での殺処分から犬を救うための方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

犬を殺処分するガス室とは

檻の中の犬

日本で行われている殺処分の方法は、主に二酸化炭素ガスによる窒息死や薬による安楽死です。犬を殺処分するガス室とはどのようなものなのか、以下のことを解説します。

  • 殺処分機のガス室で行われること
  • 殺処分される犬の安楽死について

環境省はできる限り動物に苦痛を与えない方法を求めており、殺処分の方法の見直しを検討する自治体も増えています(注1)。

注1人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト|環境省

殺処分機のガス室で行われること

犬の殺処分は、殺処分機「ドリームボックス」と呼ばれるガス室で行われます。保護期間を過ぎた犬や猫は、収容されている部屋から狭い廊下へ出されたあと、ボタン1つで動く金属製の壁に押され、ガス室に押し込まれるのです。

そして、その狭い部屋に二酸化炭素ガスを注入し、窒息死させるのが「ドリームボックス」の仕組みです。このドリームボックスの中には、動物たちが苦しんだ爪あとが無数に残っています。

殺処分される犬の安楽死について

安楽死とは、人または動物に苦痛を与えず死に至らせることです。一般的には、麻酔を使用し意識や感覚を消失させた後に、薬物を投与し心停止させる方法が挙げられます。

そのため動物にとってドリームボックスによる殺処分は、狭い空間に追い込まれた段階で恐怖に震えて苦痛を感じているため、安楽死とはいえないでしょう。

安楽死と殺処分機の違いについて理解を深めたい方は、こちらをご覧ください。
【残酷】安楽死と殺処分機は何が違うのか

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犬の殺処分の現状

檻の中でぐったりと身を寄せ合う子犬2頭

全国の保健所や動物保護センターで収容されている犬や猫は、飼い主や引き取り手が見つかれば返還や譲渡をされます。

しかし、それ以外は殺処分の対象です。犬の殺処分の現状を知るために、以下のことを解説します。

  • 日本で殺処分される犬の数
  • 殺処分をしなければならない理由
  • 犬の殺処分を食い止める動物愛護センター

殺処分の現状を変えるためは、飼い主は最後まで責任を持ち育てることが大切です。

日本で殺処分される犬の数

環境省が令和4年度に発表した調査によると、日本で引き取られた犬は約2万2,392頭。そのうち殺処分となった犬が約2,434頭います(注2)。

全国の犬の引き取りおよび殺処分の状況・推移
参照:環境省|犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況

引き取りも殺処分の数も、年々減少傾向で推移していますが、まだ殺処分がなくなったわけではありません。

注2犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況|環境省

殺処分をしなければならない理由

殺処分をしなければならない理由は、保護施設では収容できる数に限りがあるためです。数を制限しなければ、次々やってくる犬や猫を保護できなくなってしまいます。

そのため、日本の保健所や動物愛護センターに保護されている犬や猫には、保護期間が決められています。以下の場合は、殺処分の対象です(注3)。

  • 保護期間内に引き取り手が見つからない
  • 譲渡することが適切ではない(病気や攻撃性があるなど)

譲渡できる健康な犬や猫であっても、殺処分されてしまう悲しい現実があるのです。

注3動物愛護管理行政事務提要の「殺処分数」の分類|環境省

犬の殺処分を阻止する動物愛護センターもある

動物愛護センターでは、さまざまな理由で犬や猫が保護されます。

  • 野良犬や野犬など飼い主がいない犬
  • 飼い主の都合により飼育ができなくなった犬
  • 虐待を受けている犬

環境省のデータによると、保護された犬の約90%が飼い主がいない犬という結果がでています。

犬の引取り及び処分の状況


(出典:犬の引き取り数内訳|環境省

動物愛護センターで保護されている期間に飼い主や引き取り手が見つかれば、殺処分から免れることができます。

捨てられた犬の現状や保護について知りたい方は、こちらをご覧ください。
捨てられた犬はどうなる?現状と保護・引き取り・支援の方法を紹介!

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犬を殺処分から救う自治体の取り組み

保護して落ち着いてきた子犬兄弟

病気により苦しんでいる犬や攻撃性がある犬など、譲渡が適切ではない場合には殺処分がやむを得ないと判断されることもあります。

自治体が犬を殺処分から救うために行っている取り組みには、以下の3点が挙げられます。

  • 収容数減少の推進
  • 元の飼い主への返還の推進
  • 里親への譲渡の推進

神奈川県動物愛護センターでは、平成25年度に犬の殺処分をゼロを達成しました。そのため、神奈川県の取り組みを例としてご紹介していきます。

収容数減少の推進

犬の殺処分数を減らすために、収容数の減少を推進しています。犬猫の引き取りマニュアルを強化したり、引き取りの際にかかる手数料を見直したり、簡単に手放さないよう終生飼養の啓発活動を行いました。

その結果、引き取り数が減少したのです。野良犬や野犬の収容と、放し飼いをする飼い主への徹底した指導により、適切に飼養管理が行われるようになったといえるでしょう。

元の飼い主への返還の推進

収容した飼い主が分からない犬の情報をホームページに掲載し、元の飼い主への返還を推進しています。

他にも、以下のような取り組みが行われました。

  • 鑑札・迷子札・マイクロチップの普及啓発
  • 検索システムや収容情報
  • ペットがいなくなってしまった飼い主専用ページ
  • 県民が保護している動物の情報の掲載

その結果、返還頭数や返還できなかった頭数が減少したのです。

近年はインターネットの普及により、飼い主が見つかる可能性が高くなっています。今後も返還率を向上させるためには、鑑札やマイクロチップ装着などの普及が求められるでしょう。

里親への譲渡の推進

登録ボランティアを呼びかけ、里親への譲渡を推進しています。譲渡に関して積極的なボランティアは、意識も高く、行動力や柔軟性があります。

神奈川県が殺処分ゼロを達成できた背景には、県民に譲渡が難しい成犬を引き取ってくれるボランティアの存在が大きな力になりました。今後も積極的に活動を行っていくためには、行政とボランティアの連携が大切といえます。

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犬を殺処分から救う動物保護団体の取り組み

ドッグランで一緒に走る人と犬

動物愛護センターに収容されている犬は、今もなくなっていません。引き取りが行われなければ、殺処分になってしまうのが現状です。

動物保護団体が犬を殺処分から救うために行っている取り組みには、以下の2点が挙げられます。

  • 保護犬を引き取り命を救う
  • 殺処分機自体をなくす

引き取りが強化され、殺処分機自体がなくなれば、悲しい思いや苦しい思いをする犬を減らせるでしょう。

保護犬を引き取り命を救うための取り組み

動物保護団体は犬を殺処分から救うために、動物愛護センターから保護犬を引き取る取り組みを行っています。引き取った犬は健康管理を行いながら飼育され、新しい飼い主が見つかるよう育成されます。

ピースワンコ・ジャパンでは、2016年4月に日本で初めて「殺処分の対象となった犬を全て引き取る」という取り組みを行いました。全頭引き取りに成功したものの、引き取りの継続は簡単なことではありません。

多くの保護犬を引き取るためには、飼育費や医療費、施設の維持費や修繕費など、さまざまな費用が必要です。

それでも殺処分機を稼働させないという強い信念を持っているため、日々保護活動に積極的に取り組んでいます。

ピースワンコ・ジャパンの取り組みに興味がある方は、こちらをご覧ください。
保護犬の未来を描く

また、日本の殺処分の現状について理解を深めたい方は、こちらをご覧ください。
日本の犬の殺処分の現状とは?殺処分ゼロを目指す対策など解説

殺処分機自体をなくすための取り組み

ピースワンコ・ジャパンが拠点を置く広島県では、2023年8月より動物愛護センターが移転しました。新設された動物愛護センターには、殺処分機がありません。

これまでに多くの殺処分の対象となる犬を引き取り、7年半殺処分機の稼働が行われず、殺処分ゼロを維持できているためです。

殺処分機を稼働させないために、多くの犬を収容できるように犬舎の拡大や、全国に譲渡センターを開設し、保護頭数や譲渡数を増やす取り組みを行ってきました。

広島県の動物愛護センターから殺処分機がなくなった実例に関心がある方は、こちらをご覧ください。
【終わり】ついに動物愛護センターから殺処分機、ドリームボックスが…

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ガス室での殺処分から犬を救うための支援

遠くを見つめる仔犬

ガス室での殺処分から犬を救うためには、引き取る方法以外に寄付を行い保護団体の活動を支援することでも可能です。

動物保護団体の活動には多くの費用がかかるため、寄付による支援が活動の支えとなります。

運営費用のグラフ

ピースワンコ・ジャパンでは通常の寄付に加え、以下の寄付も受け付けております。

  • ワンだふるサポーター
  • ワンだふるファミリー

居住地に関係なく、誰でもできる取り組みです。興味のある方は、ぜひご検討ください。

ワンだふるサポーター

ワンだふるサポーターとは、1日約30円(月1000円)からの寄付で保護犬たちの生活を支えるシステムです。

例えば寄付金額に応じて、以下のことが支援できます。

  • 1000円~犬1頭のフィラリア予防薬(1年分)
  • 3000円~保護犬の血液検査1回分、犬1頭の避妊手術
  • 1万円~狂犬病予防注射と混合ワクチン(1回分)
  • 1万5000円~3頭分のドッグフード(約1ヶ月分)

このほかにも寄付は上記で解説したように、保護犬の飼育費や施設の運営費など活動に必要な経費に活用されます。

ワンだふるサポーターの詳細は、こちらをご覧ください。
ワンだふるサポーター特設ページ

ワンだふるファミリー

ワンだふるファミリーとは、さまざまな理由で譲渡が難しく、家族に恵まれない犬を遠方から支援できるシステムです。

譲渡が難しい犬とは、以下のような犬のことをいいます。

  • 高齢
  • 簡単に治らない病気
  • 体に障害を持っている

月々3000円(一口)からご支援いただくことができ、ワンだふるファミリーでは犬の肉球を意味する「パウ」を使用し「1パウ」と呼んでいます。

犬1頭に対して、最低10パウが必要です。一人で10パウでも、何人かのファミリーと協力して10パウでも問題ありません。

ワンだふるファミリーの詳細は、こちらをご覧ください。
ワンだふるファミリーとは

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ガス室で殺処分される犬を救おう!

ガス室での殺処分は、安楽死ではありません。殺処分の方法を見直すことも必要ですが、根本的に殺処分が行われない状況にしていくことが大きな解決策といえるでしょう。

ピースワンコ・ジャパンでは、殺処分が行われないよう積極的に引き取りを行っています。殺処分を防ぐだけではなく、全ての犬が幸せに過ごすことを目標に日々活動に取り組んでいます。

里親募集や寄付に興味のある方は、ぜひご検討ください。
皆様のご支援への感謝と私たちの誓い【ピースワンコ】

殺処分ゼロの未来へ、一歩ずつ。一頭でも多くの命を幸せにするために、実質2000円のご負担で応援できる「ふるさと納税」からのご支援、よろしくお願いします。

\「ふるさと納税」からのご支援はこちら/
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