捨て犬を見つけたら「どこに連絡すれば良いの?」「自分が保護しても良いの?」などの疑問を抱くかもしれません。
捨て犬を保護する場合、まず近づける状態かを確認し、そのうえで適切な機関に連絡しましょう。
しかし、保護する際に犬に逃げられてしまったり、攻撃されてしまったりするかもしれないので、具体的な保護のやり方を把握しておく必要があります。
本記事では捨て犬を見つけたらまずどうすれば良いのか、また捨て犬を見つけたときの連絡先や保護の手順などについて解説しますので、参考にしてください。
目次
捨て犬を見つけたらどうすればよい?
捨て犬を見つけたら、まずは犬の状態を確認して近づけそうなら保護しましょう。
保護せずに放置すると、犬自体に危険が及ぶだけでなく、人間や周辺環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。
捨て犬を見つけたときの対応方法を詳しく見ていきましょう。
犬の状態を確認する
捨て犬を見つけたら、まず犬の状態を確認します。
捨て犬は警戒心が強いケースが多いので、安易に近づいてはいけません。
驚いて逃げてしまったり、かみつかれてしまったりするかもしれません。
少し離れた場所から、捨て犬が興奮していないか、人に馴れているかを確認しましょう。
また、捨て犬なのか迷子犬なのか分からないケースもありますが、犬の興奮状態や人への反応などを注意深く観察すると本当に捨て犬なのか判断しやすくなります。
捨て犬も迷子犬も見つけたときの対応方法は基本的に同じですが、迷子犬なら飼い主が探していて、早めに飼い主が見つかる可能性が高いです。
捨て犬と迷子犬を見分ける際のポイントを以下にまとめました。
捨て犬 | 迷子犬 |
・ 段ボールに入っている ・ 近くに「もらってください」などと書かれた手紙がある |
・ 首輪やリードが付いている ・ 服を着ている ・ 人になれている |
また、捨て犬がよくいるのは人気のない場所や保健所の前などである一方、迷子犬がよくいるのは住宅街に近い公園や河川敷などです。
ただし、上記のような迷子犬の特徴に該当していても、実は捨て犬だったというケースもあるので、あくまで参考として捉えておいてください。
犬の状態を確認しつつ、犬を見つけた場所や時間帯もメモしておくのがおすすめです。
メモしておくと、飼い主が見つかった場合や施設で保護してもらう場合に、犬がどのような状況に置かれていたのか細かく伝えられるでしょう。
可能であれば保護する
犬の状態を確認し、近づける状態であれば保護します。
犬に近づけても保護する際に興奮し始める可能性もあるので、焦らず慎重に行いましょう。
実際の保護の手順は後ほど解説しますので、ぜひ参考にしてください。
なお、保護しないままだと交通事故に遭ったり、野良犬になったりしてしまうかもしれません。
野生化して生き延びても、最終的には保護されて殺処分の対象になることもあるのです。
捨て犬を保護しないままだとどうなってしまうのか気になる方は、以下の記事もご覧ください。
➤ 捨てられた犬はどうなる?現状と保護・引き取り・支援の方法を紹介!
無事に保護できたら、ネームプレートはないか、ケガをしていないかなどを確認しましょう。
そして適切な場所へ連絡します。
捨て犬を見つけたらどこに連絡するべき?
捨て犬を見つけたときの連絡先は、主に以下の5通りがあります。
- 飼い主
- 近所の動物病院やお店
- 警察
- 保健所や動物愛護センター
- 動物保護団体
保護できた場合とできなかった場合でも連絡すべき場所が異なりますので、詳しく見ていきましょう。
飼い主が分かれば連絡する
捨て犬を保護できた・近づけた場合で、飼い主の連絡先や住所が分かれば直接連絡もしくは訪問しましょう。
飼い主の連絡先は、首輪のネームタグ・首輪の裏・洋服などに記載されているケースが多いです。
なお、飼い主の連絡先が分かる場合は、捨て犬ではなく迷子犬の可能性が高いと言えます。
連絡先に飼い主の住所が記載されていて、犬を見つけた場所が近所ならばその場で少し待ってみるのも良いでしょう。
近所の動物病院・お店に連絡する
捨て犬に接近できたものの飼い主の連絡先が分からない場合は、近所の動物病院に連絡しましょう。
飼い主が住んでいる場所が近所ならば、かかりつけの動物病院が見つかり、飼い主と連絡をとれるかもしれません。
かかりつけの動物病院でなくても、犬にマイクロチップが装着されていたら、獣医師が読み取り機で飼い主の情報を照会してくれるでしょう。
動物病院でも飼い主が分からなければ、近隣のペットショップやホームセンターなどのお店に連絡してください。
飼い主が迷子犬を探すためのポスターなどが貼られている場合や、よく行くお店が見つかり、スタッフの方が飼い主に連絡してくれる可能性もあります。
警察に連絡する
捨て犬を保護できない場合や、保護できても飼い主が分からない場合は、交番や警察に連絡しましょう。
警察に連絡して良いのか不安になるかもしれませんが、捨て犬や迷い犬は「落とし物」と同じ扱いになるため、見つけたら警察へ連絡しなければなりません。
捨て犬や迷い犬を保護できたら、7日以内に交番や警察で拾得物の届け出をします(注1)。
警察は24時間365日連絡がつながるので、土日祝や夜間などに捨て犬を見つけた場合も心強いでしょう。
保健所・動物愛護センターに連絡する
捨て犬を保護できない場合や、保護できても飼い主が分からない場合は、警察への連絡とあわせて保健所や動物愛護センターへ連絡するのも選択肢の一つです。
飼い主もペットが迷子になったときは、警察よりも保健所や動物愛護センターへ連絡するかもしれません。
また、保健所や動物愛護センターでは、犬に鑑札(かんさつ)が付いていれば、鑑札の登録番号から飼い主の情報を確認できるのです。
鑑札とは、市町村等へ登録されたペットであることを証明する標識です。
さまざまな場所へ捨て犬の情報を届けることで、いち早く飼い主を見つけられる確率が高まります。
しかし、「保健所=殺処分」というイメージがあり、捨て犬を見つけても保健所や動物愛護センターへの連絡をためらう方もいるでしょう。
確かに、保健所に保護された犬は、飼い主が引き取りを拒否したり、飼い主が見つからなかったりした場合、最終的に殺処分される可能性があります。
保健所に保護された犬がどうなるかは、以下の記事をご覧ください。
➤ 保健所の犬はどうなる?日本の殺処分の実態など解説
動物保護団体に連絡する
保健所や動物愛護センターへの連絡をためらう方は、動物保護団体に連絡しましょう。
動物保護団体とは、殺処分される動物を減らすために、動物たちを守る活動をしている団体です。
動物保護団体に連絡することで、捨て犬を殺処分から守れるうえ、新たな飼い主を見つけ出せるかもしれません。
団体ごとに活動内容は多少異なりますが、広島県に拠点を置く「ピースワンコ・ジャパン」は、犬の保護・トレーニング・里親探しなどを通して幅広く活動しています。
また、保健所や動物愛護センターとも連携して、保護活動を行っています。
動物愛護センターから行き場のない犬たちを実際に引き出した様子を、以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
➤ 【保護活動】動物愛護センターからの引き出し(9月27日)
捨て犬を保護する際の手順
捨て犬を保護する重要性を解説してきましたが、実際に保護する手順が分からないと捨て犬を見つけても戸惑うでしょう。
ここからは捨て犬を保護する4つの手順をご紹介します。
犬だけでなく自分自身を守るためにも、正しい手順で保護しましょう。
少し離れた場所から声をかける
捨て犬を見つけたら、まず少し離れた場所から声をかけます。
捨て犬は人間に不信感を持っている、興奮しているケースが多いため、安易に近づくとかまれるかもしれません。
また、大きな声を出さないようにすることも大切です。
安全な距離を保ち、優しく声かけをしましょう。
人間になれている犬ならば「おすわり」「伏せ」といった言葉に従ってくれるかもしれません。
捨て犬に首輪やリードがない場合は、近くにいる人に代用できる物を持ってきてもらうと良いです。
誰もいないなら、そっと自分で取りに行きましょう。
近づいてくれるか様子を見る
声をかけても逃げ出さず、攻撃性もないのであれば、犬のほうから近づいてくれるか様子を見ましょう。
このとき、しゃがんで犬と目線を合わせると、威圧感を与えません。
最初は興奮していた犬も落ち着きを取り戻す可能性があります。
声かけを続けながら、辛抱強く待ちます。
近づいてこない場合は保護が難しいので、警察や動物保護団体に連絡しましょう。
低い位置から手を差し出す
犬が近づいてきたら、低い位置から手を差し出しましょう。
犬の目線より高い位置から手を出すと、犬が驚いてしまうかもしれません。
捨て犬のなかには虐待された経験を持つ犬もいますので、「たたかれる」と勘違いされないように、ゆっくりと手を差し出します。
首輪やリードをつかむ・装着する
犬に手を差し出しても問題なければ、そのまま首輪やリードをつかみましょう。
首輪やリードがない場合は、代用できる物を装着します。
捨て犬を連れて、交通量が少ない安全な場所へ移動しましょう。
これで無事に保護は完了です。
捨て犬の飼い主が見つからない場合の対処法
捨て犬を保護してさまざまな機関に連絡をしても飼い主が見つからない場合は、自分で飼う、もしくは動物保護団体に引き渡すことを検討しましょう。
飼い主が見つからない場合、保健所や動物愛護センターに引き渡す選択肢もあります。
しかし、保健所や動物愛護センターに引き取られると、捨て犬は殺処分されてしまうかもしれません。
そのため、捨て犬の飼い主が見つからない場合は、殺処分のリスクを回避できるよう対処すべきです。
自分で飼う
捨て犬の飼い主が見つからなければ、自分で飼うこともできます。
ただし、迷子犬は「落とし物」と同様の扱いになるため、遺失物法が適用され、保護しても3カ月間は元の飼い主が所有者となります(注1)。
そのため、自分で保護する場合も3カ月間は元の飼い主を探す必要があるのです。
3カ月経過すれば、自分が正式な飼い主となります。
しかし、明らかな捨て犬の場合、元々所有者がいないと見なされるので、3カ月を経過せずとも保護した人が所有権を主張できます。
自分で飼う場合は、飼い始めた日から30日以内に自治体に登録の届け出をしなければなりません。
また、狂犬病の予防接種もしましょう。
動物保護団体に引き渡す
捨て犬を自分で飼えない場合は、警察や都道府県等の自治体に通知すると同時に、動物保護団体に相談するのもよいでしょう。
動物保護団体に引き渡せば殺処分を回避でき、新たな飼い主が見つかる可能性があります。
新たな飼い主が見つからなくても、災害救助犬やセラピードッグなどで活躍できるかもしれません。
自分で飼えないからといって再び外に逃がすのは命の危険を伴うので、絶対にやめてください。
動物保護団体も多数あるので、活動実績や口コミなどを確認し、信頼できる団体を見つけましょう。
捨て犬を殺処分から守る方法
捨て犬は常に殺処分と隣り合わせの状況です。
捨て犬を殺処分から守る方法として、里親になる、動物保護団体へ寄付するという2つが挙げられます。
殺処分される犬は年々減少傾向にあるものの、最新の統計でも約2,700頭もの犬たちが殺処分されているのが現状です(注2)。
殺処分される犬たちを一頭でも減らすために、動物保護団体は尽力しています。
しかし、動物保護団体は保健所や動物愛護センターのように税金で運営しているわけではないので、活動資金が不足すると捨て犬の保護活動を続けられなくなってしまうのです。
捨て犬を守る2つの方法を詳しくご紹介します。
里親になる
保護犬の里親になることで、他の捨て犬を殺処分の危険から救い出せます。
動物愛護団体は、殺処分の危険にある犬たちを動物愛護センターから引き出して、保護しています。
しかし、動物愛護団体の施設の収容数にも限界があり、すでにキャパオーバーの状況だと動物愛護センターからの引き出しができなくなるでしょう。
一匹でも多くの保護犬が施設を卒業してくれると、その分他の捨て犬を受け入れられるようになります。
そのため、保護犬の里親になることで、間接的に殺処分される可能性のある捨て犬を守れるというわけです。
保護犬を家族として迎え入れる方法や注意点などを以下の記事で解説していますので、里親に興味がある方は参考にしてください。
➤ 保護犬をペットにしたい!その方法とは? 受け入れ時の注意点を紹介
また、動物愛護センターの近くで捨てられていた犬が、「ピースワンコ・ジャパン」によって新たな飼い主に引き取られた様子もぜひご覧ください。
➤ 【譲渡活動】飼い主に捨てられた「みゆき」卒業!
寄付をする
里親になるのは難しい場合、動物保護団体への寄付という方法でも犬たちを殺処分から救えます。
動物保護団体の運営には、施設の管理費・人件費・飼育費用など多額の費用がかかるのです。
税金で運営されている保健所や動物愛護センターと違い、動物保護団体は皆さまからの寄付が主な資金源となります。
寄付金が不足すると、保護活動を継続できなくなるかもしれません。
つまり、動物保護団体への寄付により保護活動のサポートができ、殺処分の軽減につながると言えます。
寄付にもさまざまな種類があり、都度の寄付や継続的な寄付のほか、ふるさと納税による寄付ができる団体もあるのです。
「ピースワンコ・ジャパン」では、1日約30円の寄付で犬たちを守れる「ワンだふるサポーター」や、譲渡が困難な犬たちを遠方から支える「ワンだふるファミリー」があるので、ぜひご検討ください。
➤ ワンだふるサポーター
➤ ワンだふるファミリー
捨て犬を見つけたら適切な行動を
捨て犬を見つけたら、保護して適切な場所に連絡するのが理想的です。
どこに連絡するかは、飼い主が分かる場合と分からない場合で異なります。
捨て犬は飼い主が分からない場合がほとんどなので、殺処分の危険を回避するため、動物保護団体に相談するのがおすすめです。
また、捨て犬を殺処分から守るには、里親になる、保護団体に寄付するという方法があります。
里親になるのが困難な場合でも、寄付なら気軽にできるでしょう。
「ピースワンコ・ジャパン」では、捨て犬を殺処分から守り、新たな家族に出会えるための活動もしています。
このような活動を続けていくには皆さまからのご寄付が必要不可欠ですので、ぜひご支援をお願いします。