犬の問題行動と環境の重要性~「バーリー」の物語~

2017年3月末、生後1ヶ月頃だった「バーリー」が、ピースワンコの神石高原シェルターへやってきました。食べることとお散歩が大好きな「バーリー」はスタッフからも可愛がられ、人馴れトレーニングも順調に進んでいました。すぐに家族が見つかるだろう、と誰もが思い、ピースワンコ・ジャパン広島譲渡センターへ移動してきました。

思いがけない一面

すぐに家族が見つかると期待されていた「バーリー」ですが、広島譲渡センターで過ごすうちに、今まで見せたことのない一面がでてきました。人懐っこく甘えるけれど、実は、知らない人がニガテだったのです。神石高原シェルターと違い、譲渡センターには毎日知らない人がやってきます。初対面の人が怖くて、自分に注目されることも苦手な「バーリー」は、環境になかなか慣れることが出来ませんでした。日に日に警戒心が高まり、吠えたり唸ったりすることが多くなってしまいました。

スタッフのジレンマ

家族とのご縁を繋ぐために、来場者に「バーリー」を見てもらいたいけれど、人を見ると吠えてしまい、抱っこも嫌がるようになってしまった「バーリー」。吠えられた人は“怖い”というイメージを強く持ってしまい、本当は“優しくていい子”であることをなかなか伝えられません。

「バーリー」の家族を探したくても、このままでは、誰も可愛いと言ってくれず家族とのご縁が遠のいてしまう、、、。譲渡センタースタッフは悩みました。

新たな選択とアプローチ

スタッフは、先ず「バーリー」が吠える原因を取り除き、落ち着ける環境を整える必要があると考え、来場者に直ぐ「バーリー」を見てもらうことを諦めました。そして、「バーリー」専用のお部屋を用意して、吠えなくてもいい環境を整えました。

バーリーの変化

数週間が経ち、「バーリー」は日に日に穏やかになっていきました。環境の変化が彼の心に余裕をもたらし、行動も変わっていったのです。専用のお部屋で過ごすことで、抱っこの練習も成果を上げ、抱っこされても嫌がらなくなりました。

「バーリー」が吠えてしまったのは、怖くても逃げる場所がなく、安心できる場所もなくて、しんどかったからだったのです。

環境の重要性

犬の性格形成や行動に「環境」が大きな影響を与える、ということを私たちは実感しました。問題行動がみられるとき、人間でもそうですが、ワンコたちも同様に、その行動の原因は環境にあるかもしれません。環境を見直して、犬が安心して過ごせる空間を整えてあげることで、「バーリー」のように問題行動が改善されることがあります。愛犬に困った行動がある場合、まずは環境を見直してみてあげてください。犬たちに安心できる環境を提供することが、彼らの幸せに繋がっていきます。

2024年6月2日、推定7歳の「バーリー」の繊細な性格も理解してくださる優しいご家族の元へ卒業していきました!今では、2頭の先住ワンコと一緒に、のんびりと暮らしています。「バーリー」、安心して幸せに暮らせる家族ができて良かったね!これからも幸せにね。

※ピースワンコは、皆さまからのご寄付だけで活動しています。一頭一頭に寄り添ったお世話ができるのも、皆さまのご支援のお陰です。ワンコの命を守る活動を続けていくために、ご支援をよろしくお願いいたします。

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