【ワンだふるLIFE】甘えることを知らなかった「ちゅうえい」の物語

ピースワンコから卒業していったワンコは、5200頭以上にのぼります。ワンコたちはどの子もみな家族ができると、穏やかで幸せそうな表情になり、まるで別人のように変わります。湘南譲渡センターから卒業した「ちゅうえい」も幸せを手に入れたワンコの1頭です。

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「ちゅうえい」を家族に迎えてくださったのは、義父様が愛犬のシェパードを虹の橋に見送られて気落ちしてために、ワンコを探しておられた里親さまご家族。ご主人と息子さんが「ちゅうえい」に一目惚れし、気が付けば義両親の家族ではなく、ご自身の家族の一員として「ちゅうえい」を迎えてくださることに。怖がりで甘えることを知らなかった元野犬の「ちゅうえい」が、撫でてもらうために里親さまの手のひらに頭を押し付けたり、お腹を出して甘えたりするようになりました。「ちゅうえい」と里親さまのエピソードをご紹介します。

●「ちゅうえい」くん(旧名:同じ)
・推定誕生日:2017/06/26
・引出日 :2017/09/26
・卒業日 :2021/11/23
・卒業場所 :湘南譲渡センター @pwj_shonan

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家族に迎えようと思ったきっかけ

義実家で飼っていたシェパードが虹の橋を渡ってしまい、気落ちしていた義父のために一緒に暮らす犬を探していました。義父も歳のため「子犬からは育てられないかも…出来れば成犬が良いかなぁ」と希望があって色々探していたとき、上の息子が「保護犬っていうのがあるらしい、近くにピースワンコの湘南譲渡センターがあるんだって。保護犬良いんじゃない」と勧めてくれました。
ホームページを検索したら、小型のシェパードのような「ちゅうえい」を発見。主人も息子も「この子しかいない!」と一目惚れし、2人に連れられて湘南譲渡センターに行きました。

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けれど、当時はコロナ禍後でまだ予約制でした。予約なしでは「ちゅうえい」に会えないんだなぁと思っていたとき、偶然、別なご家族が「ちゅうえい」のお散歩体験から帰ってきたタイミングで会うことができました!
そのご家族は「ちゅうえい」の里親を希望しておられたそうで、スタッフの方からそのご家族とのご縁が繋がらなければご連絡しますと言っていただき、後ろ髪を引かれる思いで帰宅しました。

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「いつ連絡がくるのか?“ちゅうえい”がそのご家族に決まったらどうしよう…」と主人はソワソワしていましたが、後日嬉しい知らせが!連絡を頂いてすぐ「ちゅうえい」に会いに行きました。

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ところが、間近で会った「ちゅうえい」は、小さく震えて部屋の隅に逃げて、こちらを見ようともしません。そんな「ちゅうえい」を見て私の中では複雑な気持ちが生まれていました。
下の子が中学生になり、やっと子育てが楽になり自分の時間が持て始めたところ、
「犬のお世話をするのは、私…」
「そもそも “保護犬” って何?」
「4歳って成犬だよね…、人間だと何歳くらい?」
「犬を飼うってどうしたら良いのだろう…、知識も何も無い状態で飼えるのか?」
いろいろな思いが芽生え、モヤモヤした感情で「ちゅうえい」を見つめていました。

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そんな私の気持ちとは裏腹に、他の犬を見ても主人は
「この子しかいない、“ちゅうえい”に決めた。名前も最高!」とその場で即決。
すぐに譲渡の手続きをし「ちゅうえい」を迎える日を心待ちにしながら部屋を整え、準備をし、義実家の両親のために探していた事など何処へやら…。
そんな経緯を経て、2021年11月23日に「ちゅうえい」が家族になりました。

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お迎えしてよかったこと

「ちゅうえい」を家族に迎え入れたことが、なにより良かったです。
存在そのものが可愛くて宝物で、言葉では言い表せないくらい全て愛しいです。

臆病者で、呼んでも絶対に来ないし、人に懐かない。
その反面、吠えないし、悪戯をしない、知らない物は口にしない。
家の中では常にじっとして存在を消していて居るかわからない。

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別の保護犬を迎え入れた方と仲良くなって、いろいろ相談したところ、
「元野犬の子は、人に見つからないように生きてきたから、大人しい子が多いんだよ。」
と教えて頂き、「ちゅうえい」の行動が腑に落ちました。
それまでは、あまりに吠えないので、声が出ない子なのか?と思った程でした。

血統書付きの子犬を迎えて育てた子と違い、甘える事も触らせる事もなかった「ちゅうえい」。触っていても、側にいても逃げ出さず横になっていた時は、なんとも言えない気持ちになりました。

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そうやって月日を重ねていき、「ちゅうえい」が家族になってから2025年11月で5年目を迎えます。
相変わらず大人しい「ちゅうえい」ですが、4年の間に沢山の犬のお友達も増え、それに伴い私自身も、「ちゅうえい」を迎えなければ知り合いにならなかった方たちとの交流も増え、自身の世界も広がった感じです。

「ちゅうえい」は外にいる事が大好きなので、毎日ドックランに通っています。初めましてのお友達からは「顔が怖い、乱暴そう」など言われたりしますが、いざドックランに入れば、小型犬から逃げ回り、どんな犬とも遊ばず触れ合わず一匹狼。そんな「ちゅうえい」を他の飼い主さんたちは温かく見守り接してくださいます。お蔭でドックランの中ではリードの無い自由を満喫する事が出来ています。

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極めつけはランの後でたくさんのお友だちとの、お楽しみおやつタイム。オスワリを知らない「ちゅうえい」が、みんなの真似してオスワリをして待つのですが、それがまた、何故かポジション決めが下手でどんどん下がって遠くに座ってしまう。近くに寄せても、下がってしまう。その姿が可愛くて可愛いくて、みんなの笑顔を誘ってます。
そうして今日もたくさんのお友だちに囲まれて、私も「ちゅうえい」も楽しい日々を過ごさせてもらってます。

お迎えして大変だったこと

迎え入れた当初の3ヶ月ほどは、精神的なものからか嘔吐と下痢が続き、家のあちこちで吐いたり下痢をしたりと、その始末が大変でした
食事面でも「食べることが好きな子」と伺っていたのに、驚くほど食べない子で、1日分の食事量の半分食べれば良い方。人がいる時は決して食べようとしませんでした。

「少しでも食べてほしい」と、フードがダメならおやつでも…と思って与えても、それすら食べない。いろいろな種類のおやつを買い集めて試しても本当に食べないので、「どうして?大丈夫かしら…」と不安が募りました。
毎日試行錯誤しながら、「ちゅうえい」の好きな食材を探す日々が続き、鶏が好きだと分かった時は本当にホッとしました。

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散歩の時も、隙あらば逃げ出そうとするので気が抜けません。
臆病な「ちゅうえい」は、車・バイク・自転車が横を通り過ぎるだけでパニックになり、走り出したり、震えて固まってしまう。また、他の犬や人に後ろへ回られるのがとても苦手で、そのたびに飛び上がって逃げようと走り出してしまう。

多くの苦労がありましたが、その中でも「ちゅうえい」にとって一番の恐怖は、ペットボトルを押して、戻ってくる時の「バチッン」と鳴る音でした。
家族みんな、飲み物を飲む時には音が鳴らないように気を配り、特にお散歩中はパニックになりやすいため、細心の注意を払いながらお水を与えていましたね。

これから保護犬を迎えようと思っている人へのメッセージ

犬を家族に迎えるということは、どんなことに対しても責任を伴うことだと思います。特に成犬から飼うことの難しさで、今まさに悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。

犬に限らず、人も動物も、すべての生き物や植物でさえ「育てる」ということには責任があり、大変なことですが、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
大変なことは多々あるかもしれませんが、それらを忘れてしまうほどの不器用な愛情と、大きな幸せを与えてくれます。

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特に保護犬は、ペットショップなどで生体販売されている犬よりも臆病で、懐きにくいかもしれません。そんな子たちが
長い時間をかけて一緒に過ごすことで少しずつ心を開いてくれる姿は、何にも代えがたい喜びです。

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甘えることを知らなかった「ちゅうえい」が、頭を撫でた時に「もっと撫でて」と手のひらに頭を押しつけてきた時や、決して仰向けでお腹を見せない「ちゅうえい」が毛づくろいの最中にお腹を見せてしまい、我に返って「ヤバっ!見せちゃった」みたいな顔をして素に戻ってしまう姿。外出から帰ってた時の前身で喜んでくれる姿や、遠慮がちに手を舐めてくれた時、困ってる時は必ず私の顔を見つめてくる時。
この4年間で、言葉では表しきれないほどたくさんの幸せを、私はちゅうえいからもらいました。

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悩んでいる方に伝えたいのは、「保護犬は思っているよりずっと暮らしやすく飼いやすく、どの子も皆、愛らしく尊い存在である」ということです。
ぜひ一度、保護犬に会いに行ってみてください。きっと良い出会いがあり、「この子だ!」と思える子が見つかるはずです。

もうすっかり“親バカ”ならぬ“犬バカ”の私ですが、「ちゅうえい」の最期、虹の橋を渡るその時まで、今よりもっとたくさんの思い出をつくって、幸せにしてあげたいと思っています。

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湘南譲渡センター スタッフからのメッセージ

「ちゅうえい」と里親さまの初めての出会いはとても印象的でした。
「ちゅうえい」と夕方のお散歩に出たところ、「わ~!かわいい!!かわいいな~!!」と声をかけて下さる方がいらっしゃいました。「ちゅうえい」はとても嬉しそうにニコニコして里親さまをジーっと見て、「ぼくのこと?」とそーっと近寄っていきました。それが「ちゅうえい」の未来のご家族との出会いでした。
「ちゅうえい」が自らご家族とのご縁をつなぐ場面に立ち会わせてもらったような経験でした。

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「任せてください!「ちゅうえい」を幸せにします!」と力強く温かい言葉をかけてくださいました。
卒業後に里親さまに大変だったことはありますか?と伺った時に、
「何もありませんよ!とってもいい子で、“ちゅうえい”は最高です!!」と答えてくださいました。
時々、譲渡センターに遊びに来てくださると、「ちゅうえい」のことがかわいくて仕方がないです!と愛情とたくさんかけてくださっていることを感じて、感謝の気持ちでいっぱいになります。
里親さま、これからも「ちゅうえい」をよろしくお願いいたします!
「ちゅうえい」、これからも里親さまごかぞくにたくさん可愛がってもらってね!
(湘南譲渡センター スタッフ一同)

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