「保護犬ボランティアとはどんな活動なのか」「自分にもできる支援はあるのか」と考える方もいるのではないでしょうか。
保護犬ボランティアの活動には、実際に犬を預かることから動物保護団体のサポート業務まで、さまざまな内容があります。
本記事では、保護犬ボランティアが必要な理由をはじめ、ボランティアの活動内容や探し方を解説します。
また、保護犬ボランティア以外の支援方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
保護犬のボランティアとは?
保護犬とは、さまざまな事情から動物保護施設に引き取られた犬のことです。
環境省が発表した調査によると、令和3年度に日本で引き取られた犬は約2万4000頭います(注1)。
保護犬は飼い主が見つかれば返還や譲渡をされますが、それ以外は殺処分の対象になってしまいます。
保護犬のボランティアは、保護犬を殺処分から救うために保護施設のさまざまな活動をサポートするものです。
まずは、保護犬について解説します。
保護犬とはどのような犬?
一言に保護犬といっても、保護された背景によりさまざまです。
飼い主が分からない犬 | もともとは飼い犬で捨てられた犬や、迷子になってしまった迷い犬 または、もともと飼い主がいない野犬 |
飼い主に手放された犬 | さまざま理由から飼い主に手放された犬 (飼い主の高齢化や病気、家庭環境の変化、思い通りに飼育できないための飼育放棄など) |
劣悪な環境で飼育されている犬 | ブリーダーの高齢化や悪質なブリーダーなど、多頭飼育により世話が行き届かず、劣悪な環境で飼育されている犬 |
現在、日本で最も多く保護されているのは、飼い主が分からない犬です。
環境省のデータによると、1年間で引き取られた犬の約90%が飼い主が分からない犬が保護されたという結果がでています。
(出典:犬の引き取り数内訳|環境省)
保護犬は最終的にどうなる?
保健所や動物愛護センターで保護された犬は、保護できる一定の期間が過ぎると、最終的に殺処分の対象になってしまいます。
収容数にも限りがあり、保護できる期間を決めなければ、保護犬を収容しきれません。
保護期間内に引き取り手が見つからなければ、どんなに元気な犬であっても殺処分されてしまう現状があります。
そのため、1頭でも多く保護犬を殺処分の対象にさせないためには、保護犬の命を守るボランティアや支援などの活動が必要です。
捨てられた犬の現状について知りたい方は、こちらをご覧ください。
➤ 「捨てられた犬はどうなる?現状と保護・引き取り・支援の方法を紹介!
保護犬ボランティアや支援が必要な理由
保護犬を救うためには、保健所や動物愛護センターからの引き取りが必要です。
しかし、多くの保護犬を引き取るためには動物保護団体の力が必要であり、活動には人手やスペース、資金が欠かせません。
そこで支えになるのが、保護犬ボランティアと支援です。
保護犬ボランティアや支援が必要な理由は、以下のとおりです。
- 殺処分を減らすことにつながる
- 犬に人との共生を教えられる
殺処分を減らすことにつながる
保護犬ボランティアや支援により、殺処分を減らすことにつながります。
それは、保健所や動物愛護センターで保護されている間に引き取ることで、殺処分の対象から免れられるためです。
環境省が令和3年度に発表した調査によると、日本で殺処分となった犬は約2700頭います(注1)。
(出典:全国の犬・猫の引取り数の推移|環境省)
過去と比較すると、減少傾向で推移していますが、いまだ殺処分はなくなっていません。
保護犬を引き取るためには、世話をする人手の確保や資金が必要です。これらの確保により、多くの命を救えるでしょう。
犬に人との共生を教えられる
保護犬ボランティアは、保護犬に人との共生を教えられます。
保護犬の中には、人との生活経験が無かったり悪質な飼い主から飼育放棄を受けたりした過去から、人に対して強い警戒心を抱いている犬もいます。
そのため、新しい飼い主の元に巣立つためには、まず人と生活するための基礎の習得が必要です。
しかし、動物保護団体だけでは人員やスペースに限りがあり、保護犬の世話や里親探しなど、すべての活動を担うには限界があります。
そこで求められるのが預かりボランティアの力です。動物保護団体だけでは限界がある活動の一部を担ってもらい、人との生活は安心できるものと経験させることが可能です。
保護犬ボランティアへの参加者が増えることで、より多くの保護犬が新しい家族のもとに巣立つ準備ができるでしょう。
保護犬ボランティアの主な活動内容
保護犬ボランティアの活動内容は、主に以下の5点が挙げられます。
- 譲渡センターや保護施設でのボランティア
- 預かりボランティア
- ミルクボランティア
- 搬送ボランティア
- 運営ボランティア
保護犬ボランティアは、犬を世話する活動だけではありません。
保護団体の活動サポートも、重要なボランティアの1つです。
自分にも参加できることはないか、詳しくみていきましょう。
譲渡センターや保護施設でのボランティア
譲渡センターや保護施設でのボランティアの役割は、施設で暮らす犬の世話です。
作業内容は募集している場所によって異なりますが、主に以下の作業が求められます。
- 食事
- 散歩
- シャンプー
- 施設の清掃
- 事務作業
現在、ピースワンコ・ジャパンには全国に8ヶ所の譲渡センターがあり、スタッフが日常の世話をしながら、里親希望の方に保護犬を紹介する活動を行っています。
下記の譲渡センターでは、広島県神石高原町にあるピースワンコ・ジャパンの神石高原シェルターで保護され、健康管理や人馴れトレーニングが行われた犬5~9頭が暮らしています。
全国のピースワンコ・ジャパン譲渡センターにて随時ボランティアを募集しています。お散歩ボランティアなど興味のある方は、お近くの譲渡センターまでお気軽にお問い合わせください。
ピースワンコ・ジャパンの活動に興味がある方は、こちらをご覧ください。
➤ 活動を支援したいのですが、どうすればいいですか?
保護犬の支援活動に興味がある方は、こちらをご覧ください。
➤ 保護犬の支援活動がしたい人にできることは?ボランティア・ふるさと納税も
預かりボランティア
預かりボランティアは、里親が見つかるまで自宅で保護犬を預かり世話をする役割を果たします。
保護犬が預かりボランティアと生活をともにすることで、人間との生活に慣れることができ、新しい家族が見つかった際に人との生活をスムーズに送れます。
なかには明確な期間が決まっている場合もありますが、基本的には里親が見つかるまでとされており、預かり期間は決められていません。
短期間の預かりでも、責任のある飼育が求められるため、里親と同じような条件が設けられています。
ミルクボランティア
ミルクボランティアの役割は、生後間もない犬の世話をすることです。
預かりボランティアと同様に自宅で預かり、ミルクを与えたり、健康観察をしたりと子犬に必要なケアを行います。
預かり期間は、基本的には生後2カ月頃までとされています。それは、子犬が自力で固形物を食べられるようになる頃が目安とされているためです。
ミルクボランティアは2〜3時間おきにミルクを与える必要があり、健康観察も欠かせないため、自宅で終日子犬を見守る時間を確保できる方が求められます。
搬送ボランティア
搬送ボランティアは、保護犬や物資などを運ぶ役割を果たします。
主に、以下の役割を担います。
- 保護施設から譲渡先や預かり先への移動
- 譲渡会の会場への移動
- 動物病院への移動
- 物資の運搬
搬送に使う車は、一般的には自分で用意しなければなりません。
とはいえ、車と運転免許があればできるため、犬に関する知識がなくても始めやすいでしょう。
運営ボランティア
運営ボランティアの役割は、保護団体の運営活動をサポートすることです。
日々保護犬の世話で忙しく、運営作業にまで手が回らない保護団体のスタッフの支えとしてPR活動を担います。
主に以下の制作や更新、管理を行います。
- ホームページ
- SNS
- チラシ
インターネットを活用した作業の場合は自宅で対応できることもあり、離れた地域からでもサポートが可能です。
保護犬ボランティア募集の探し方
保護犬ボランティア募集の探し方には、以下の方法があります。
- 動物保護施設の公式サイトから探す
- 求人情報から探す
まずは、自分の住んでいる地域ではどんな募集が行われているのか、自分が支援できる活動はあるのかなど、状況の把握から始めるのも良いかもしれません。
自分に合った内容や探し方で見つけましょう。
動物保護施設の公式サイトから探す
1つ目は、動物保護施設の公式サイトからボランティア募集を探す方法です。
- 保健所
- 動物愛護センター
- 動物保護団体
自分が住んでいる地域から近い施設を探し、電話やメールなど定められた方法で申し込みます。
求人情報から探す
2つ目は、求人情報からボランティア募集を探す方法です。
地域の情報を掲載した情報誌や求人情報サイトを活用し、ボランティア募集をしている団体を探します。
また、環境省では人と動物が共生できる社会を実現するために「つなぐ絆、つなぐ命」というパートナーシッププロジェクトを行っています(注2)。
このプロジェクトは保護犬や保護猫の譲渡促進や、活躍できる場を拡大していくことが目的です。
保護犬ボランティア以外の支援方法
ピースワンコ・ジャパンでは保護犬ボランティア以外の支援方法として、以下の取り組みを行っています。
- 保護犬の引き取り
- ワンだふるサポーター
- ワンだふるファミリー
- 単発の寄付
- 物品購入による支援
保護犬を引き取ったりボランティアとして活動したりできない方でも、支援できる方法はあります。
保護犬を救うために自分にできることはないか、ぜひ参考にしてください。
保護犬の引き取り
里親として引き取ることで、保護犬の命を救えます。
しかし、里親になるためには、引き取るためのさまざまな条件があります。
- 家族全員の同意が得られているか
- ペットが飼育できる住宅か
- 経済的な余裕はあるか
- 時間的な余裕があるか
- 訪問による調査に応じられるか
これは一例であり、引き取りの条件は自治体や動物保護団体によって異なります。
基本的には保護犬が再び悲しい思いをしないために、最後まで責任を持って飼育できるかが求められるのです。
保護犬の引き取りに興味がある方は、こちらをご覧ください。
➤ 保護犬の引き取り ➤ 保護犬の引き取り条件について
ワンだふるサポーター
ワンだふるサポーターとは、月1000円から保護犬の生活を支えるシステムです。
寄付は、保護犬に新しい家族が見つかるまでの飼育費や施設の運営費などに活用されます。
寄付金額に応じて、以下のサポートが可能です。
寄付金額 | 寄付でできること |
1000円 | 犬1頭のフィラリア予防薬(1年分) |
3000円 | 保護犬の血液検査1回分、犬1頭の避妊手術 |
1万円 | 狂犬病予防注射と混合ワクチン(1回分) |
1万5000円 | 3頭分のドッグフード(約1ヶ月分) |
ワンだふるサポーターの詳細は、こちらをご覧ください。
➤ ワンだふるサポーター特設ページ
ワンだふるファミリー
ワンだふるファミリーとは、月々3000円(一口)で高齢や病気・障害などの理由で譲渡が難しい犬を、遠方から支援できるシステムです。
ワンだふるファミリーでは、一口を「1パウ」と呼びます。
1頭が1ヶ月暮らすためには最低10パウが必要で、一人で10パウでも、複数のファミリーと合わせて10パウでも問題ありません。
ワンだふるファミリーの流れは、以下のとおりです。
- 1. 家族になりたい犬を選ぶ
- 2. 申し込みフォーム記入・お支払い手続き
- 3. ファミリー証明書が届く
- 4. ブログや手紙で犬の日常を知り、時には交流する
ワンだふるファミリーになると、手紙やブログで支援する犬の様子が見られます。
犬の健康状態次第では、広島県神石高原町の犬舎で実際に会うことも可能です。
ワンだふるファミリーの詳細は、こちらをご覧ください。
➤ ワンだふるファミリーとは
単発の寄付
継続的な寄付以外に、単発で寄付する方法もあります。
単発の寄付なら、寄付額やタイミングを自由に決められます。
ピースワンコ・ジャパンでは、以下の方法で寄付が可能です。
- クレジットカード
- 郵便振込
- 銀行振込
- Yahoo!ネット募金(Tポイントを使用)
- つながる募金(ソフトバンクの携帯電話料金とまとめて支払う)
単発の寄付による支援に興味がある方は、こちらをご覧ください。
➤ 今回のみ支援する
物品購入による支援
物品の購入による間接的な支援も可能です。
多くの保護犬を飼育するためには、相応の物品が必要とされます。
必要な物品の一例は、以下のとおりです。
- フードやおやつ
- ハーネスやリード
- ペットシーツ
- ブラシ
- 清掃用品
これらの物品の支援は、活動の大きな支えとなります。
ピースウィンズ・ジャパンでは、Amazonで「ほしいものリスト」を公開しており、こちらから保護犬の飼育に必要な物品の寄付ができます。
物品購入による支援に興味がある方は、こちらをご覧ください。
➤ 【神石高原シェルター】支援物資のお願い
保護犬にはボランティアや支援が必要
多くの保護犬を救うためには、動物保護団体の力だけでは限界があります。
そのため、保護犬ボランティアや支援などの協力が必要です。
保護犬ボランティアや支援により、動物保護団体の活動をサポートでき、多くの保護犬を救えます。
ピースワンコ・ジャパンでは、ご紹介したさまざまな寄付や里親としての引き取りを受け付けております。
興味のある方は、ぜひご検討ください。