
いつも足元で寝る愛犬はとても可愛いものですが、「体調が悪いの?」「分離不安では?」と心配に感じる方もいることでしょう。本記事では、犬が足元で寝る理由から、事故や病気に関する注意点、愛犬が安心できる快適な寝床づくりについてご紹介します。寄り添って寝る愛犬の本音を知ることで、より心地よく一緒に過ごせるようになるはずです。
犬が足元で寝るのはなぜ?

愛犬が飼い主の足元で眠る行動の原因は、まだはっきりと解明はされていません。しかし、野生時代の習性や様々な行動観察の研究などから、犬の本能や、飼い主との信頼関係、犬自身の心理状態が深く関係しているのではと考えられています。
飼い主への信頼や防衛本能
犬が飼い主の足元で眠る理由として、飼い主への信頼と防衛本能の両方が関係しているという考え方があります。直近の研究では、犬が「飼い主と一緒に眠る」とき、特に見知らぬ環境では「睡眠開始が早く、睡眠効率が上がる」という変化が報告されています。そのため、信頼できる飼い主のそばではより安心してリラックスできるため、そこで眠ってしまうのかもしれません。また、飼い主を守ってあげたい忠誠心の表れとして、足元で眠っている可能性も考えられています。
出典:Family Dogs’ Sleep Macrostructure Reflects Worsened Sleep Quality When Sleeping in the Absence of Their Owners: A Non-Invasive Polysomnography Study
群れで寝る野生時代の習性

また、野生時代の群れでの睡眠スタイルに由来している可能性もあります。犬が仲間とくっついて寝る姿はオオカミの行動に近く、野生時代は寝るときにお互いを感じることで外敵への警戒を保っていました。家の中でも飼い主を「群れの一員」と見なし、足元で眠る行動が自然に現れるのかもしれません。
気温や体温調整のため
犬が足元で寝る理由として、環境的要因、特に体温調整の目的もあるとされています。床に近い足元は夏は涼しく、冬場は人の足元の温かさを感じられる場所です。犬は居心地が良い場所を探して寝る位置を変える傾向があるため、飼い主の足元の環境を過ごしやすい場所と考えている可能性があります。
不安・ストレスが原因の場合も
一方で、足元で寝ることが不安やストレスのサインである場合もあります。特に雷や花火、留守番直後などに見られるなら、恐怖や不安から逃げるために足元にきている可能性があります。長期間執拗に飼い主のそばにいる傾向があるなら、不安やストレスのサイン、分離不安症の兆候として注意が必要です。
寝る位置やくっつき方でわかる気持ち

「足元」「膝の上」「少し離れた位置」など、犬が選ぶ寝る場所で、愛犬の気持ちを推測することができます。ちょっとした寝方の違いから、愛犬の気持ちが少しわかるようになるかもしれません。
足元で寝る:安心・信頼・飼い主を守りたい
犬が足元でリラックスして眠っている場合は、飼い主への安心と信頼の現れの可能性が高いです。また、飼い主であるリーダーを守ろうとする防衛本能も考えられます。
足の間や股の間:飼い主に密着して甘えたい

足の間や股の間に入り込んで寝る場合、それは甘えたい、もっと近くにいたいという感情の表れの可能性があります。特にパピー期や不安が強い性格の犬によく見られ、人の匂いや体に密着することで安心感を得ているのではと考えられています。
膝の上で寝る:温もりの欲求・独占のことも
犬が膝の上で寝たがるのは、単に温もりを求めるだけでなく、飼い主を独占したいという心理も含まれている可能性があります。しかし「自分が上だ」という優位性を示す行動(マウンティング)である可能性もあるため、注意が必要です。優位性を示す行動が疑われる場合は、一度犬を降ろしましょう。
少し離れて寝る:信頼しているからこその自立かも
逆に犬が少し離れた場所で寝るのは、「信頼しているからこそ、安心して距離を取れる」状態かもしれません。もちろん信頼関係の無い他人に対しては警戒するため離れますが、飼い主に対して行動する場合は自立心の表れの可能性があります。
犬が足元で寝るときの注意点

愛犬が足元で寝る姿は微笑ましいものですが、実は足元で寝る行為に注意が必要なケースもあります。
踏む・蹴ってしまう事故リスク
犬が足元にいると、誤って踏んだり蹴ったりしてしまう事故が起こる恐れがあります。足元は見えにくく、誤って寝返りの際に踏んだり、ベッドから蹴り落としてしまう位置にあるからです。また、椅子の脚で犬の尻尾を踏んでしまうなど、家具の巻き込みにも注意が必要です。愛犬の場所を常に意識することと、危ない場所は避けてあげましょう。
睡眠の質や衛生面への影響も
足元で寝る習慣は、犬だけでなく飼い主の睡眠の質に影響を及ぼす場合もあります。寝返りのたびに犬が動いて目を覚ましたり、逆に飼い主が気を遣って自由に動けなくなることがあります。さらに、犬が外から持ち込んだ汚れや被毛の落下が寝具に付着することで、ハウスダストやノミ・ダニの温床になるリスクも指摘されています。特にアレルギー体質の家族がいる場合は注意が必要です。
しつけや分離不安の問題
足元で寝ること自体に問題はありませんが、それが「飼い主から離れられない状態」になっているなら注意が必要です。分離不安になると、飼い主から離れるたび強いストレスを感じてしまうため、執拗に足元で寝る傾向があります。また災害時の同行避難でも、距離を保って過ごさなくてはならない場面もあるため、日頃からお互い離れていても安心できるようにすることが大切です。
こんな場合の寝方は要注意

犬が足元で寝る行動は、基本的に自然で問題のない行動ですが、急な変化や極端な依存行動が見られる場合は、体調や精神面でのトラブルの可能性も考えられます。
飼い主が離れると落ち着かない
飼い主が部屋を出たり、離れた瞬間にそわそわしたり鳴き出す場合、分離不安の兆候の可能性があります。分離不安は放置しておくと、留守番中に家具を壊したり、自傷行為に及ぶような重度の不安行動に発展することもあります。早めに獣医師やトレーナーなどの専門家に相談することが重要です。
急に足元にくるようになった

これまで別の場所で寝ていたのに、突然足元で寝るようになった場合は、何かしらの環境や体調の変化が関係している可能性があります。例えば、加齢に伴う聴覚や視覚の低下、不安感の増加などが影響しているケースなどで見られます。行動の変化は病気のサインであることもあるため、異変に気づいたら早めに対処しましょう。
食欲低下・元気もないならすぐ病院へ
犬が普段と異なり足元で寝たがるうえ、食欲の低下や元気のなさが同時に見られる場合、体の不調のサインかもしれません。すぐに動物病院を受診し、必要な検査や治療を行うことが不可欠です。
犬が安心して眠れる寝床の整え方

足元で寝ることに大きな問題はありませんが、足元以外の場所でも同じように安心して寝られる環境を整えてあげることが非常に重要です。静かで落ち着けるスペースに、柔らかいベッドやお気に入りの毛布を置いたり、飼い主の匂いがする布を忍ばせるのもおすすめです。クレートやケージを活用すれば、より安全な睡眠スペースを作ることができ、分離不安の予防にも効果的です。
足元で寝る愛犬を理解してもっと仲良く
犬が足元で寝る理由には、本能や周りの環境、飼い主への信頼の気持ちなどが複雑に絡んでいます。飼い主と愛犬双方の健康と安全面を考え、一緒にいても離れていても安心できる関係性を作ることが大切です。今度愛犬が足元にきた際には、意識を傾けて愛犬の心のなかを覗いてみてはいかがでしょうか。
【執筆・監修】
原田 瑠菜
獣医師、ライター。大学卒業後、畜産系組合に入職し乳牛の診療に携わる。その後は動物病院で犬や猫を中心とした診療業務に従事。現在は動物病院で働く傍ら、ライターとしてペット系記事を中心に執筆や監修をおこなっている。














