虐待?人が怖くて咬傷犬になった元飼い犬

そっと見守る

ピースワンコは広島県の要請を受けて、8年以上ずっと定期的に県内の動物愛護センターから殺処分予定の保護犬を引き出しています。譲渡に繋がりやすい小型犬や純血種のワンコは、他団体さんや個人で活動をしている方たちが引き出してくださるので、ピースワンコは、譲渡に時間がかかる野犬や、病気や怪我、咬傷犬など問題があってどこにも行き場がないワンコを保護しています。

9月10日の引き出しの日、動物愛護センターの職員から一頭のトイプードルの保護を依頼されました。

どの団体からも引き取ってもらえなかったその子は、ケージ越しに触ることはできるけど、ケージの上から手を伸ばして触ろうとすると、本気で咬みついてくる「咬傷犬」でした。マイクロチップが入っていたため調べたところ、元の飼い主さんはすでに亡くなっていました。

ケージの上から手を差し入れたピースワンコ・プロジェクト リーダーの安倍誠は、どんなに咬まれても決して動じずに、「大丈夫だよ。怖くないよ」と優しく声をかけ続けました。

「咬むのはね、怖いから。人間だって初対面でこんな大柄な男性が近寄ってきたら、怖いよね」

安倍はそう語りながら、誰も触れなかったトイプードルにリードをつけて、ケージから出して動物愛護センター内を歩かせ、抱き上げます。抱っこも怖かったのでしょう、安倍の腕の中でブルブルと震えて怯えていました。

「全然触られてなかったのかな。なんか距離が遠い。はっきり言って、虐待みたいな環境だったんだろうね。噛み癖があるから、なるべくトラウマを与えないようにお世話して、これから人間を大好きになってもらおうと思います」

広島県内の動物愛護センターに入る犬のほとんどは野犬ですが、この子のように元々人に飼われていて何らかの事情で捨てられた犬たちもいます。どんなワンコも愛護センターに来る可能性はあります。

急に飼い主が亡くなって、気が付いたら檻の中にいて殺処分されてしまうなんて…。そんな出来事が決して起こらないようにしなければなりません。これからもどこかにワンコを救える場所がなくてはいけません。

「咬傷犬」と呼ばれてどこにも行き場がなかったトイプードルは、ピースワンコの神石高原シェルターに迎えられ「旭(あさひ)」と名付けられました。「旭」は5歳3ヵ月、犬生はまだまだこれからです。「旭」のように行き場がない犬たちもピースワンコに連れ帰り、愛情を込めて接して人を好きになってもらいます。どんな子の命もあきらめず、幸せな第2の犬生を過ごしてらえるように、私たちはこれからも活動を続けます。「旭」の様子、ぜひ動画からご覧ください。

⇒ ピースワンコTV(9分3秒)

※ピースワンコは、皆さまからのご寄付だけで活動しています。一頭一頭に寄り添ったお世話ができるのも、皆さまのご支援のお陰です。ワンコの命を守る活動を続けていくために、ご支援をよろしくお願いいたします。

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