
5月8日、徳島県動物愛護管理センターから緊急引き出しの要請が入り、ピースワンコ・ジャパン プロジェクトリーダーの安倍誠とスタッフが現場へ向かいました。そこで私たちが目にしたのは、下顎がまったくないという、かつて見たことのないほどの過酷な状態の母犬と、生まれたばかりの子犬たちでした。
下顎がない母犬は、右下に歯が1本あるだけで舌が出たまま。ご飯もほとんど食べられず、極度に衰弱していました。その日の早朝に複数頭出産したものの、母乳も出ていないようで、子犬たちも衰弱しています。母子ともに命の危険が迫っていました。

「母子ともに救えるのか」、プロジェクトリーダーの安倍は頭を悩ませました。
徳島から広島までの移動の負担を考慮し、「衰弱した母子を当日中にすぐに連れて帰るのが良いのか?」「数日間、愛護センターでできる医療処置をしてもらい、少しでも状態が良くなってから移動するのが良いのか?」「母子一緒に連れて帰るか?」「乳の出ない母と衰弱した子を分けて、それぞれケアしていくのが良いのか?」等々、、、瀕死の母犬と衰弱している子犬、両方の命を助けるために最善の判断は何かと、安倍は現場で考え続けました。

ピースワンコが活動を開始してからこれまでに8600頭以上を保護してきましたが、これほど難しいケースは初めて。安倍は動物愛護管理センターの職員さんと話し合いながら、協力団体にも力を貸してもらえないか、電話をかけ続けました。
そして、一本の電話が運命を変えました。
手を差し伸べてくださったのは、ピースワンコが連携している広島の動物福祉団体「春の舞い青く」の代表・花房さん。消えそうになってる命を見過ごせない、行き場がないならうちへと、母子ともに預かって頂けることになったのです。母子の命が繋がった瞬間でした。

移動が決まった母子の状態が少しでも良くなるようにと、動物愛護管理センターの皆さんは、子犬たちにミルクを飲ませてくださったり、出産時の胎盤などで身体が汚れていた母犬を綺麗に拭いて点滴をしてくださったり、出発するまでずっとお世話をしてくださいました。過酷な状況でも一生懸命に生きようとする母子、その命をつなごうとする多くの人の想いが重なり、奇跡が起きました。

母犬と子犬は安心できるように同じケージに入り、安倍やスタッフと一緒に徳島県動物愛護管理センターから広島の花房さんの元へ向かいました。ピースワンコの活動始まって以来の最も困難な引き出しとなった私たちの活動の様子、ぜひ動画でご覧ください。
⇒ ピースワンコTV(20分10秒)

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