
愛犬の「ワンワン」「クンクン」 という鳴き声。いつもどんな気持ちで発しているか知っていますか?犬の鳴き声には、感情の変化や健康のサインなど様々なメッセージが込められています。この記事では、犬の鳴き声を種類別にわかりやすく解説しながら、健康に関わる要注意な鳴き方や無駄吠えのしつけ方法までくわしく解説します。鳴き声の特徴や意味を理解することで、愛犬とのより良い関係を深めましょう。
犬の鳴き声が持つ意味とは

犬の鳴き声には、驚くほど多くの「気持ち」や「体の状態」が表れています。国際的な研究でも、犬は人間や犬同士の表情や声のトーンから感情を認識できる可能性が報告されています。鳴き声という手段で、喜び・怒り・不安・痛みなどを飼い主に伝えているのです。
出典:Albuquerque N, et al. “Dogs recognize dog and human emotions.” Biol Lett. 2016;12(1):20150883.
鳴き声でわかる愛犬の気持ち

犬の鳴き方は、場面や感情によって細かく変化します。ここでは、よくある鳴き声を6種類に分類し、それぞれの意味を解説します。
ワンワン:警戒・要求・興奮
「ワンワン」という鳴き声には、場面によって複数の意味が考えられます。たとえば、高く軽い「ワンワン」は遊びたい・嬉しいといった前向きな気持ちを表しますが、低く重い「ワンッ!」は警戒や威嚇の可能性もあります。
クンクン・クーン:甘え・寂しさ・不調
鼻を鳴らすような「クンクン」「クーン」は、甘えや寂しさのサインです。
これは「かまってほしい」「一緒にいてほしい」といった感情の表れで、飼い主が見ていないときや、外出の準備中などに聞かれることが多いです。
しかし、あまりにも頻繁に鳴く場合は、不安障害や分離不安の可能性もあります。また、弱々しい「クーン」は、痛みや不快感によるものかもしれません。こうした鳴き声には、感情と健康の両方のメッセージが込められているため、愛犬の様子を丁寧に観察することが大切です。
キャンキャン:痛み・恐怖・驚き
「キャン!」という高い鳴き声は、主に痛みや驚きを感じたときに発せられます。何かにぶつかった、踏まれた、予期せぬ刺激を受けたなど、強い感覚を受けたときに反射的に出る反応です。継続的に「キャンキャン」と鳴く場合は、身体のどこかに異常がある可能性があります。この鳴き声を見逃さず、異変の早期発見につなげましょう。
ガルルル:怒り・威嚇

低く唸るような「ガルルル」という音は、怒りや威嚇の感情を表します。この鳴き方は「これ以上近づかないで」「今はやめて」といった強い意思表示であり、無理に接すると咬傷事故につながる可能性もあります。特に、テリトリー意識が強い犬や、食事・おもちゃを守ろうとする場面で見られることが多いです。この鳴き声を聞いたら、犬の緊張を高めないよう距離を取り、落ち着くまで待つのが安全です。
遠吠え:孤独・不安・仲間への呼びかけ
「ウォーン」と響く遠吠えは、孤独感や不安の表現、また本能的な仲間への呼びかけでもあります。特に留守番中の犬や、音に敏感な犬がよく行う行動で、人間の赤ちゃんの泣き声と同様に「誰かに気づいてほしい」という意味が込められています。また過度な遠吠えはストレスの兆候である可能性もあり、長時間の留守番や生活環境の変化が関係している場合があります。
アウアウ:飼い主へ呼びかけの可能性
「アウアウ」や「ウニャウニャ」といった、まるで喋るような鳴き声は、多くの場合、飼い主に何かを伝えたい・注目してほしいという意志の表れです。知能が高く感受性の豊かな犬ほどこうした鳴き方をする傾向があり、意思疎通の一環とされています。愛犬が話しかけるように鳴くときは、真剣に耳を傾けてあげてください。
鳴き声でわかる愛犬の健康トラブル

愛犬の鳴き方に「違和感」があれば、それは体や心のSOSかもしれません。犬の鳴き声には感情だけでなく、身体の異変や病気のサインが隠れていることがあります。普段の鳴き方と違う、急に鳴き出す、逆に声が出なくなるなどの変化は、見逃さずにチェックすべき重要な兆候です。
いつもと違う鳴き方をする時は要注意
普段は静かな子が急に吠えるようになったり、鳴き声のトーンが不自然に高くなる・低くなるといった変化は、痛みやストレス、病気のサインの可能性があります。健康診断とあわせて、日頃から愛犬の鳴き方を観察することが早期発見のカギとなります。
鳴き声が弱くなる/出ない場合

急に鳴き声が小さくなったり、声が出なくなった場合も要注意です。これは喉の炎症(気管支炎や咽頭炎)、声帯の異常、老化、さらに神経疾患の可能性も考えられます。特に、高齢犬では喉や呼吸器の機能低下が原因で鳴き声が変わることがあります。もし愛犬が普段より声を出すのを嫌がる様子や、鳴いてもかすれる場合には、早めに動物病院で診察を受けましょう。
頻繁に鳴くのも異常サインかも
「よく鳴く=元気」とは限りません。実は、鳴きすぎる場合にも健康や精神的な問題が隠れていることがあります。代表的な例として、分離不安症、慢性的な不快感(耳・歯・関節の痛みなど)があります。また、認知症の症状として夜間に無意味に鳴くケースも報告されています。「うるさい」だけで済ませず、鳴く頻度とタイミングを記録して獣医師に相談することがとても重要です。
鳴き声がうるさいときは?

犬の鳴き声が長時間続いたり、散歩中などに毎回吠えてしまうのは困りものです。原因を見極めて適切に対応すれば改善する場合も多いため、落ち着いて冷静に対応しましょう。
無駄吠えをする主な理由
無駄吠えには、必ず何らかの「理由」があります。代表的な原因には、以下のようなものがあります。無駄吠えの理由に応じて環境の変化や日々の接し方を見直すことで、無駄吠えの頻度は抑えられます。
■不安や恐怖(知らない人・音・環境)
■要求(遊んで・ごはん・外に出たい)
■退屈やストレス
■テリトリーの主張
やってはいけない叱り方

間違った叱り方は、無駄吠えを悪化させてしまうため危険です。たとえば、「大声で怒鳴る」「長時間叱り続ける」などは、犬に恐怖や混乱を与え、結果的にストレスや攻撃行動を引き起こす原因になります。さらに、「吠えた直後に構う」ことも逆効果で、犬は「吠えると注目される」と勘違いしてしまいます。
効果的なしつけの方法
無駄吠え対策で効果的なのは「静かにしているときに褒める」ことです。
インターホンが鳴っても吠えなかったタイミングでおやつを与えるなど、叱るよりも正しい行動にごほうびを与えて学習させる方が有効です。
また、事前に吠えるタイミングを見極めて、テレビや音楽、コマンド(お座りなど別の指示を出す)で気を紛らわせるのも一つの手です。また、動画サイトなどではペットのしつけ用の環境音が録音されているものもあります。必要に応じて活用してみるのもおすすめです。
専門機関に頼るのも検討して

しつけに悩んだら、無理せず専門家に相談することも重要です。動物行動学に基づいたトレーニングを行うドッグトレーナーや、問題行動に詳しい動物病院の獣医師の力を借りることで、根本的な原因に対処できます。 特に攻撃的な吠え方や、ストレスの兆候を含む場合は、専門家による指導を受けることで早期改善が期待できます。 一人で悩まずプロに頼ることも選択肢です。
鳴き声を通じてもっと愛犬とつながろう
犬の鳴き声は「うるさいもの」ではなく、家族への大切なメッセージです。愛犬が吠える、鳴く、唸るときはいつも気持ちや要求、体調のサインが込められています。毎日の中でその「声」に気づき、丁寧に応えていくことで、愛犬との絆は確実に深まります。鳴き声を通じて安心できる良い関係を築いていってくださいね。
【執筆・監修】
岡 るな
獣医師、ライター。大学卒業後、畜産系組合に入職し乳牛の診療に携わる。その後は動物病院で犬や猫を中心とした診療業務に従事。現在は動物病院で働く傍ら、ライターとしてペット系記事を中心に執筆や監修をおこなっている。















