同じ志を抱く人4 ― 桐山マキさん

心を支えてくれる存在

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「幼いころから犬と一緒に育ってきました。大人になった今、彼らに恩返しをしたいと思うようになったんです」

そう話すのは、ファッションモデルとして活躍する桐山マキさん。数々の広告や雑誌に出演し、長年ファッションシーンの第一線を歩んできた。

3頭の保護犬と暮らす彼女は、2025年9月に青山で行われた、りく・なつプロジェクトとピースワンコ共催の譲渡会「WAN DREAM GARDEN〜保護犬猫と人の幸せな暮らし方〜」にプライベートで訪れていた。

同年12月には、同じ青山で保護犬譲渡会「WOLF LADY」を主催。これは2022年に彼女が個人で立ち上げたもので、今も3ヶ月に一度のペースで開かれている。

本業がありながら、このような活動をするのは理由がある。

保護犬を多くのひとに知ってほしい。
犬とひとの幸せな未来があってほしい。

そう、ピースワンコと同じ志があった。

できることを探す日々

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WOLF LADYのロゴには、昨年の春にお空へ行った愛犬・小春ちゃんがデザインされている。里親募集のサイトを通じて出会った子だ。

「小春ちゃんの前はラブラドールと暮らしていました。16歳で亡くなった後、心にぽっかりと穴が空いてしまって……。犬がいない生活が本当に寂しくて、保護団体へボランティアに行くようになったんです」

その後もご縁があり、宮古島の野犬だったココワカメちゃんと元繁殖犬のブウちゃんを、家族として迎えた。

ブウちゃんはもともと家族が決まるまで預かっていた子で、一緒にいくつかの譲渡会に参加した。彼らとの暮らしや現場を見るうちに、日に日に保護犬の魅力を感じ、たくさんのひとに知ってほしいと思うようになったという。

「ただ、同時にこの世界の厳しさも感じました。保護団体は素晴らしいものだけれど、時間もお金も覚悟も必要で、人生をかけてやるべきことだと思ったんです。とても今の私にはできないと……」

ピースワンコの取り組みもよくご存知の桐山さん。プロジェクトリーダーの安倍誠氏のレスキュー動画には、毎度心を打たれていた。さまざまな角度から学んだうえで、彼女は自分にできることを探した。保護団体は難しくても、犬と家族が出会う場所をつくり、ご縁を繋ぐことは可能では……?

そうして立ち上げたWOLF LADYは今回で16回目となり、多いときの来場者数は2000人近くになる。

さまざまな支援のかたち

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WOLF LADYの会場を見かけたひとは口をそろえて「何のイベント?」「ブランドの展示会?」と、興味深そうに呟く。

「おしゃれな譲渡会」と銘打ったこのイベントは、一般的な内容とは異なるものだ。

「保護犬や譲渡会のイメージを変えるために『おしゃれでアクセスがしやすい』ことを大事にしました。青山という土地で、楽しい印象のもの、たとえばファッションや美容と掛け合わせたらどうかな?と。職業柄どちらにも関わりがあるので、私でもできそうだと思ったんです」

譲渡会に加えて、売上が保護団体に寄付されるチャリティイベントも同会場で行うことにした。ペットグッズはもちろん、ファッションや美容アイテムまで、幅広くそろえている。

「一般的に廃棄されがちな鰻の頭をフリーズドライにした犬のおやつなど、体と環境に優しい食品のほか、仕事を通じて出会ったデザイナーの友人にデザインしてもらった洋服もあります」

意識しているのは、犬を迎えられないひとや偶然見かけたひとにも、気軽に立ち寄ってもらえる空間づくり。保護犬支援とは、家族に迎える以外の選択肢もあるのだ。

「それぞれが好きなかたちで支援に関わってもらえたらと思っています。まずは保護犬のかわいさを知っていただくだけでもうれしいです。ショップは私が本当に買いたいところを選んでいるので、お買いものは純粋に楽しんでほしいですね」

ずっと続けていく意味

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会場には似顔絵やドッグケアブース、撮影会などが設けられ、愛犬と一緒に過ごす来場者も多い。犬とともに参加しやすい工夫がされており、譲渡会をより身近なものにしている。

とくに都内では動物が自由に出入りできる場所はそう多くないため、愛犬との休日時間を満喫する姿も見られた。この日を心待ちにしているリピーターも多く、WOLF LADYでは毎回新しいコンテンツを取り入れている。

今回初の試みは、犬だけでなく保護猫も交えた譲渡会だ。

「これまで『猫はいないの?』というお問い合わせをいただくことがあり、お声に応えるかたちで実現しました。愛犬・ブウちゃんのお郷さん、BeSail Animalの保護猫たちです。犬好きの方にとっても、保護猫の魅力を知る機会になるかもしれませんね。まずは4匹からですが、この子たちにも素敵なお話がありますように」

こうした活動で得られる一番のやりがいは、やはり『家族が決まった』という報告を聞けたときだという。

「何年も待っていた子のお家が決まると、やってよかったと胸がいっぱいになりますね。また、皆さんのご協力により毎回合計で約70万円を、複数の保護団体に分けて寄付することができています。金銭的な支援が叶っているのは、定期的に続ける意味のひとつになっています」

心に決めていること

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仕事と啓発活動に向き合いながら、日々忙しく過ごす桐山さん。それでもその表情は活き活きとしていて、無理をしている様子はない。

「WOLF LADYの新しい内容を考える際に、良い意味で頭を悩ませることはありますが、無理はしていないですね。頑張りすぎてしまうと家族に目が届かなくなるので、そこは気をつけています。

たとえば、3ヶ月ごとの開催にしているのも理由があるんです。仮に2ヶ月にすると仕事や生活と両立できないし、4ヶ月空けたら出会いが減ってしまう。自分にとっての心地良いバランスを探して、なるべく保つようにしています」

ほかには、今のところ「多頭飼いは3頭まで」と決めているそう。実際に経験したうえで、今の生活で丁寧に向き合える頭数だと考えている。現在は、2頭の愛犬と預かりボランティアのおはぎちゃん、あわせて3頭のお世話に夢中だ。

愛情深いひとほど周囲や犬に尽くしすぎてしまうものだが、桐山さんは犬がいる毎日に満たされていて、お互いに肩の力が抜ける存在であることが伝わってきた。

同じ志の仲間として

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ピースワンコが掲げる目標「殺処分ゼロ」と同様に、桐山さんは「保護犬がいなくなる世界」が理想だと語る。

「それぞれが命の尊さを知り、自分に何ができるのかを考えることが大切ですよね。現代の慌ただしい生活では難しいかもしれませんが、まずは個々に意識を持つこと。そのきっかけづくりをしていきたいです。

ゆくゆくは、犬だけではなく動物と人間の距離が、もっと近くなることを願っています」

譲渡会に行くことのハードルを下げ、まずは参加してもらうこと。意識の変化はそこから生まれていく。この考えの根底にあるのは、彼女が積み重ねてきた現場経験だ。

「多頭崩壊のレスキュー現場に立ち会ったときは、予想以上の劣悪な環境に言葉を失いました。施設の掃除ボランティアも、やってみて初めて見えてくることがある。だからこそ、これからも足を運ぶ時間は作るつもりです」

それぞれができることを選び、無理のない範囲で、支え合っていく。

「私がやるべきなのは、隣にいてくれる愛犬を大事にしながらご縁を広げていくこと。すべての犬への愛情や理想は持ちつつ、活動は長く続けていきたいです」

犬たちを守りたいと思うひとがいる。立場や生きる場所が違っても、志はひとつ。その志が重なり合えば、社会を変えるという願いは、いつしか確信へと変わっていく。

取材・執筆:青木 桃子
ライター・編集者。愛犬は5歳の女の子。製薬会社勤務を経て独立。現在は雑誌やWebにて、主に犬にまつわる記事を手掛けている。


#同じ志を抱く人
1 ー GO GO groomers 猪野わかなさん
2 ― 小野真弓さん
3 ― 雑誌『ZASSHU』発行人 矢野江里子
4 ― 桐山マキさん


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